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阪和興業 新規事業推進室インタビュー--廃タイヤ熱分解からSAFまで――循環型資源ビジネスの可能性

2026/07/24 17:12
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阪和興業 新規事業推進室インタビュー--廃タイヤ熱分解からSAFまで――循環型資源ビジネスの可能性

(PKSやペレットのサンプルをもとに、特性や用途について意見を交わすIRuniverse棚町社長と阪和興業 食品・エネルギー・生活資材新規事業推進室 松崎課長(右)・駒野氏)

MIRUは6月12日、阪和興業の食品・エネルギー・生活資材新規事業推進室を訪問し、廃タイヤリサイクルを起点とした脱炭素・資源循環事業の現在地と今後の展望について話を聞いた。阪和興業は、輸入タイヤチップの取り扱いに加え、ASEANを中心に拡大するタイヤ熱分解事業への資本参加を通じ、熱分解カーボンの石炭代替燃料としての活用を模索している。さらに、PKSや木質燃料、ホワイトペレット、ブラックペレットなどのバイオマス燃料に加え、SAF(持続可能な航空燃料)の原料調達にも取り組む。単なる燃料の売買にとどまらず、廃タイヤやバイオマスなどの資源を起点に、脱炭素社会に向けたサプライチェーンの構築を目指す同社の「本物の新規事業」への挑戦を聞いた。

聞き手:MIRU棚町
話し手:阪和興業 食品・エネルギー・生活資材新規事業推進室 松崎課長(右)・駒野氏

廃タイヤリサイクル事業の現在地
棚町:
タイヤ事業は現在どのような状況なのでしょうか。

駒野氏:
事業の全体像が見え、本格展開に向けた基盤が整った段階ですね。これからが本当の意味での新規事業です。
脱炭素の流れは今後も続くと思っていますので、その中で廃タイヤの可能性は大きいと考えています。

タイヤチップ市場の現状と新たな可能性
棚町:
日本へのタイヤチップ輸入量はどのくらいなのでしょうか。

松崎氏:
年間20万トンくらいだと思います。ここ数年は大きな伸びはありません。理由は、輸入タイヤチップの価格が上昇することによって、カロリー当たりのコスト競争力が下がるからです。

棚町:
石炭代替燃料としては厳しいということですか。

松崎氏:
石炭代替燃料として一定の需要はあります。ただ、私たちは輸入タイヤチップと並行して、ASEANで大規模に行われているタイヤ熱分解で生成されるカーボンにも大きな可能性を感じています。
現在は、タイヤ熱分解カーボンを石炭代替燃料として販売する事業の構築に力を入れています。

熱分解カーボンに期待
棚町:
タイヤチップだけでなく、熱分解カーボンにも注目しているのですね。

松崎氏:
はい。熱分解事業者は基本的に熱分解油で利益を上げています。カーボンは副産物という位置付けです。その副産物を石炭代替燃料として販売することで、新しい市場を作ろうとしています。

棚町:
GXの流れも追い風になりそうですね。

松崎氏:
その通りです。

日本ではGXや脱炭素政策による環境価値が加わります。石炭代替燃料として販売することで、一定のプレミアムも期待できるので、熱分解カーボンの需要が拡大していくのではないかと考えています。

ASEANを中心に熱分解事業を拡大
棚町:
熱分解事業者はどの地域に多いのでしょうか。

駒野氏:
現時点ではASEAN・インド・中国が中心ですね。昨年、タイの最大手熱分解事業者に資本参加しました。

棚町:
商社としてはかなり踏み込んだ取り組みですね。

駒野氏:
そうですね。単なる売買だけではなく、サプライチェーン全体を構築する方向に進んでいます。
熱分解事業者に資本参加し、より安定した供給体制を作りたいと考えています。

廃タイヤ価格上昇の背景
棚町:
最近、海外の廃タイヤ価格も上がっていると聞きます。

松崎氏:
熱分解事業者が世界中で増えていることが要因の一つだと思います。ASEAN各国では、自国内で熱分解原料として利用するための需要が高まっています。さらに、インドや中国などの熱分解事業者も原料となる廃タイヤを買い集めており、需給が引き締まっています。

バイオマス燃料事業も拡大
棚町:
タイヤ以外の脱炭素燃料分野はいかがでしょうか。

駒野氏:
PKS(パーム椰子殻)や木質燃料も扱っています。最近はPKSよりもホワイトペレットの方が伸びています。

棚町:
ホワイトペレットが伸びる理由は何でしょうか。

駒野氏:
ボイラーを選ばないからです。PKSは利用できる設備が限られますが、ホワイトペレットは流動層ボイラーでも微粉炭ボイラーでも利用できます。

棚町:
ブラックペレットにも取り組んでいるそうですね。

松崎氏:
はい。ブラックペレットはバイオマスを炭化したもので、発熱量が高く、石炭だけでなくコークス代替としても活用できる可能性があります。

SAF原料調達にも参入
棚町:
最近話題のSAF(持続可能な航空燃料)についても取り組まれているそうですね。

駒野氏:
はい。現在は廃食油などの原料調達を進めています。
日本は2030年に向けて大量のSAFが必要になりますが、国内供給だけでは到底足りません。そのため海外も含めた原料調達ネットワークを構築していきます。

注目する「非可食油」
棚町:
原料不足への対応策はありますか。

駒野氏:
非可食油に期待しています。食用にならない植物由来の油です。荒廃地でも栽培できる植物があり、食料と競合しないというメリットがあります。
現在、東南アジアなどでの事業可能性を調査しています。

熱分解油がSAF原料になる可能性
棚町:
タイヤ由来の熱分解油はSAF原料として使えるのでしょうか。

松崎氏:
現時点では認められていません。
しかし業界全体が制度変更を注視しています。
もし認められれば、タイヤ熱分解油の価値は大きく変わります。

棚町:
かなり大きなインパクトになりそうですね。

松崎氏:
そうですね。世界的にSAFは不足しています。制度変更が実現すれば、熱分解油の市場価値は一気に高まる可能性があります。

「本物の新規事業」に挑戦
棚町:
最後に、現在の取り組みを一言で表すと。

駒野氏:
これまでの阪和興業にはなかった、本当の意味での新規事業だと思っています。
タイヤ熱分解カーボン、バイオマス燃料、SAF原料調達――。
それぞれを個別に見るのではなく、脱炭素社会に必要な資源循環の仕組みとしてつなげていく。
そこに私たちの挑戦があります。

棚町:
ありがとうございました。今後の展開を楽しみにしています。

Risa.S

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