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E-WASTE MARKET UP DATE 輸入基板Scrapの現況報告

2013.08.28 23:46

写真 関係筋御承知のようにE-WASTE(電子機器スクラップ)基板(以下、基板スクラップ)の処理において、日本はベルギーのユミコア、スウェーデンのボリデン、カナダのエクストラータ(ホーン製錬所=旧ノランダが所有)という欧州系の錚々たるカッパースメルターに引けをとらない基板処理能力、貴金属抽出技術、そして環境対策技術によって世界各国から基板スクラップを購入している。
 特に昨年秋から香港、中国ルートが実質止まったことにより東南アジアから日本へ向かう基板スクラップの物量は多くなっている。(*但し、韓国は今年に入って基板スクラップの輸出はライセンス制をとっていることもあり、韓国からはあまり日本に入らなくなっているようだが・・・)
 それは日本のカッパースメルターが先の金銀銅などの有価金属の抽出技術が高い、というだけではなく、有害物の処理、管理もしっかりしている、あるいは支払いが良い、という意味でも日本は世界の基板Scrapコレクター、シッパーから高い人気を得ている。

 

 

 

 

写真 昨今では基板スクラップは非先進国あるいは人件費の安い国で発生するケースが多い(例えばブラックベリーの生産が多いブラジルなど)。また豪州、米国などでは基板を効率的に処理できる製錬所がない(少ない)こともあり、多く日本が購入している。基板専門筋によると、欧米先進国から月間で約2000トン前後、東南アジア、非先進国等で500トンの合計2,500トン前後の輸入があると推定される。この輸入格差の遠因には、後述するがOECD加盟とOECD非加盟国とで別れる輸入手続きの違いがある。
 豪州では長らく基板スクラップを埋立処理していた時が長く、甚だしい場合にはノートパソコン、テレビなどもそのままつぶして埋め立てていた。勿論今では、かつて埋立大国だった豪州も日本の家電リサイクル法を参考に、E-WASTEのリサイクル率を高める施策を講じている。
 基板スクラップは価値があるだけではなく、一方では有害金属も含有している。下図参照。

 

 

 

図表

 

 

写真 このため、場合によっては「バーゼル法」の対象になる基板スクラップもある。鉛含有値が0.1%以上になると対象だ。ただし、OECD加盟国同士であれば輸出入は基本的に通常の貿易手続きで問題はない。OECD非加盟のいわゆる非先進国の国から輸入する場合は必要になるケースもあるのだが、基板スクラップの分析値で鉛含有が0.1%以下であればバーゼルの手続きは必要ない。これまで日本は数年間にわたって基板スクラップを輸入しているが、鉛含有で問題になったことはない。無論、環境的な問題が生じたことはない。
 しかし今、基板スクラップの輸入ではこの鉛含有量が問題となり、通関で滞るケースが生じているという。あるいは「次回からはバーゼル手続きで書類を作るように」と税関職員に諭された業者もいるという。ちなみにこの業者は環境省傘下の日本環境衛生センター(以下、日環センター)に分析値等の書類を提出し、輸入を受領されているにも関わらず、税関でクレームをつけられたという。通常、日環センターで許可を得ているものが止められることはない。
 この点について経済産業省の環境指導課に聞いてみると「今年2月の検討会(雑品スクラップに含まれる電気電子部品の有害性分析方法の検討)で出された資料にもありますが、プリント基板の場合、8割の確率で鉛含有分が基準値を上回っていることが判明しました」とのことで、これによって雑品スクラップの輸出を規制するのがねらいだった(はず)なのだが、同時に輸入にも適用せねば不公平、との論理で輸入の基板スクラップの監視も強めている現状だという。

 

 

日本の高度な精錬リサイクル技術を活用すべき
写真 確かに言わんとすることはわからないでもない。しかし、これは非合法な家電雑品スクラップを止めるのが当初の目的だったはず。それを杓子定規に輸入にも当てはめるには一考の余地があろう。本末転倒といえば言い過ぎだろうか?
というのも前述したように、先進国のなかでも有価金属の回収率(実収率)が高く、有害物の処理技術にも長けているのが日本である。
 「日本は世界一厳しい環境規制のなかで高度なリサイクルを行っている。なかでも日本の非鉄製錬所のリサイクル技術は世界一といってもいい。その後の排水、排気処理も厳しい数値をクリアしている。むしろ日本に輸入する場合は有害物の許容値を広げ、鉛は1%以上でもOKというくらいに受け口を広げるべき。そうすることで中国等、主に非先進国で行われている不適切なリサイクルによる二次公害が世界的に防ぐこともできる」と基板専門家筋は熱く語る。実際バーゼル法には国際基準はない。輸入する国によって規制値は変えることができる。その運用手法は各国の置かれた環境、技術によってカスタマイズできるのである。
 例えば、ベルギーのユミコア。同社は欧州で最も信頼されている欧州最大の精錬リサイクル企業だが、バーゼルフリーであらゆる有害物を処理できる許可をEU各国から得ている。だから処理困難物はユミコアに集まる。この点、日本と欧州では大きな開きがある。日本の非鉄製錬所のリサイクル技術は決してユミコアにひけはとらない。要は、欧州各国が信頼しサポートしているユミコアと、政府が足を引っ張る日本、という構図でみるとわかりやすいだろう。

 

 

前出の経済産業省環境指導課の担当氏は「申告された書類で鉛含有ゼロ、というのは基板についてはあり得ない数値」という指摘もわかる。実際、多くの基板スクラップ輸入業者は半ば惰性的に鉛含有ゼロという書類を作ってきた。そこが「おかしい」と指摘されれば確かにそうで、業者側も改めるべき点である。しかしそれはOECD非加盟国からの輸入で、バーゼル対象になると手続きに半年かかるという煩雑さが嫌われているからでもある。
写真 日本は有価金属回収でも環境対策でも世界に誇れる高い技術力がある。ならば、その技術力を活かすべく、バーゼルの運用を変えて、有害(とされる)金属の高いもの、処理の難しいものこそ積極的に輸入すべきではないか?実際、レアメタル、レアアースの安定供給問題かまびすかしい頃、レアメタル、貴金属含有のスクラップは積極的に輸入すべし、との議論が盛り上がった時もあった。基板スクラップは鉛、カドミウムなどの有害な金属も含んではいるがその価値は金銀銅、白金にある。有害物を輸入している訳ではない。また鉛、カドミウムも日本の製錬所はきっちり抽出し、有用金属にアップグレードすることも無論、可能だ。今後はOECD非加盟の国が多い東南アジアからの輸入は必然的に増えてくる。東南アジアで日本が輸入しづらいとなったら、宝(優秀な製錬所)の持ち腐れである。
 そもそもの家電雑品スクラップの輸出問題に端を発している本件は、有害物の問題から輸出を規制していき、小型家電リサイクルなど国内循環を促進するためである。ならば同じ基準値で輸入に規制をかけていく「お役人仕事」ではなく、日本もユミコア方式を学び、柔軟なバーゼル運用に変えていきながら、既存の国内非鉄製錬所をおおいに活用し、本当の意味で世界に冠たるリサイクル技術大国になるべきである。
(IRUNIV棚町裕次)

 

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