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自然エネ財団 石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由

2020.07.02 18:35

 国際的な批判を受けている日本の石炭火力発電所の輸出政策で、その誤りを指摘する報告書を「自然エネルギー財団」が発表した。財団は、政府が石炭火力を正当化する根拠をデータを元に論破。小泉環境大臣は5月26日、「(石炭火力発電所が)売れるから売るのではなく、脱酸素への移行が促進されない限り輸出しない」と脱炭素原則への転換をめざすと宣言した。しかし経済産業省は石炭火力発電を正当化する「懇談会報告書」を提起し、転換姿勢を打ち出そうとしない。

 

 6月末に発表の「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」の中で、日本の技術が世界トップであることと、石炭火力と脱炭素が両立することの誤り、東南アジアの自然エネルギービジネスの可能性、すでに企業は自然エネにシフトしていることをファクトベースで指摘。輸出政策転換が必要な4つの理由を提起した。

 

 

<その1>「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」は誤り

 残念なことに日本の石炭火力事業の競争力は事実上、中国に抜かされている。2010年頃から中国は超高温高圧火力発電プラント(USC)の実績を積み上げ、価格面と同時に性能も高めてきたことが分かる。環境省は「日本のプラントとカタログ上のスペックは遜色ない状況」と述べ、経産省の報告書では「日本製機器の優位性のみで海外のインフラ市場を獲得できた時代は終わりつつある」と述べられている。

 

 

表

 

 

 それでも経産省は、スペック値に差がないことを認めながらも「長期的な稼働期間での実績と品質の確保」では、日本の石炭火力発電に優位性があると述べていた。しかしこれについても、実際に電力ビジネスを行う専門家たちによる「電力情報技術ネットワーク(NEPIE)」では、「品質や耐久性も遜色がなくなりつつある」と指摘する。

 

 2015年以降中国は、日本がまだ手掛けていない2段再熱USC 石炭火力の製作、そして運転が開始され、その熱効率は日本にある(1 段再熱)USC 石炭火力より2~3ポイント上回っているという。

 

 石炭火力発電を進める大前提が崩れたことが明らかにされた。

 

 

<その2>「石炭火力と脱炭素化の両立」は非現実的

 経産省が示す、「石炭火力発電と脱炭素化の両立」を可能とする石炭ガス化複合発電(IGCC)は、CO2削減効果が小さく高コストである上、その技術は未だ確立してないものだ。

 

 J-POWER(電源開発)は、設備価格や実績等の壁があり、具体的な案件に発展するにはまだ時間を要するとしており、JERAはIGCCの課題について、①利用できる炭種が極めて制限されている、②CAPEXの大きさと達成できる熱効率のバランス、③設備構成の複雑さに起因した稼働率低下リスクの三点を指摘している。

 

 CO2削減については、USCは従来型の石炭火力に比べて8%の削減率、IGCCは16%と天然ガスより多く、ほぼ100%削減の自然エネルギーと比べてその差は歴然。これまでに日本のIGCCの輸出実績はなく、国内では2基が稼働中、福島県いわき市で1基が建設中というのが現状だ。

 

 

図

 

 

 もう一つの気候対策で自然エネルギー財団が時代遅れと酷評するのは、経産省が提唱するCCSだ。プラントからCO2を回収して圧力をかけ地中深くに埋めるCCSを、かつてEUが進めていたが、実証プロジェクトは失敗している。世界に2件ある実績は石油の増産のためのEORが主な目的だ。自然エネルギーコストが安価になる中、EUの「2050脱炭素戦略」では、電力部門の削減対策としてCCS技術は一切活用を予定していない。高いコストをかけてCCSをつけてもCO2排出はゼロにはならず、「日本政府の気候変動対策の誤りの代表例である」と同財団は指摘した。

 

 

写真

(北海道・苫小牧市のCCS実証実験/資源エネ省HP)

 

 

<その3>東南アジアにある自然エネの大きなビジネスチャンス

 経産省は報告書の中で、東南アジアでは気候条件が悪く太陽光・風力発電の大規模導入が難しいとしているが、これは事実ではない。確かに世界には、日照量、風況で東南アジアより良い地域は存在するが、東南アジアの日射照度が年平均1,500~ 2,000kWh/m2以上と、ドイツなど欧州や日本と比べても導入ポテンシャルは十分に大きい(下グラフ)。

 

 

図

(東南アジアの太陽光設備利用率は14-19%。中東のUAEには劣るものの導入量世界1の中国や欧州各国、日本と比べても高い/ブルームバーグNEF)

 

 

グラフ

 

 

 コスト面では、石炭火力の持つLCOE(発電量あたりのコスト)の50~80ドル/MWhと比較しても、競争力のある太陽光導入ポテンシャルは8TW以上と試算される。この場合、太陽光だけでIEA(国際エネルギー機関)が見込む東南アジアの2040年電力需要(2,345TWh)の3倍の発電量になる。タイ、ベトナムでは、LCOEが50~100ドル/MWhの太陽光ポテンシャルが、少なくとも2017年の電力供給実績の4倍以上。ミャンマー、カンボジアでは100倍以上あるとの試算となった。

 

 

図

 

 

 経産省は報告書の中で「石炭資源が豊富かつ安価なASEANでは、石炭火力が当面コスト競争力を有する」としているが、現時点ですでに石炭火力と自然エネのコストは同等。さらに自然エネのコストは年々下がってきている半面、石炭火力は高コストのIGCCやCCSを導入すれば、上がると予測できる。

 

 太陽光以外の風力については、ベトナムとミャンマーでは現在の全電力供給量の数倍のポテンシャルがある。フィリピン、タイにも適地があるとしている。

 

 地熱については、インドネシアとフィリピンはポテンシャルが非常に高い。水力では、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアで大きな可能性がある。地域に応じた自然エネ開発を進めることで、東南アジアの自然エネルギーポテンシャルを最大限に活用できる。

 

 東南アジアの自然エネの優位性は、コスト面や日照時間など環境面だけではない。欧州並みに成長しつつある国際導電網が整備されている。

 

 経産省は、欧州と異なり「ASEANは地理的状況等の課題もあり、国・地域ごとの独立性が高い系統」と記述しているが、実際にはインドシナ・マレー半島には国際送電網が存在する。タイは欧州並みに電力の13%を国際連系線で調達しているという。島しょ部でも建設・計画が進行中で、IEAは「ASEANの国際送電網を拡大することは、経済的、系統運用的、環境的な利益をもたらす」と指摘している。今後のビジネスとして大きく期待される。

 

 

図

 

 

<その4>企業・金融機関はすでに転換

 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている。金融機関、商社は脱石炭の方向に舵を切っており、電力会社も石炭火力の必要性はあるとしつつ新規開発の予定はない。地熱発電用タービンの世界シェアは東芝や富士電機など日本メーカーが67%を占められているほか、ほとんどの企業がすでに脱炭素へ舵を切っている(下図はその一例)。

 

 

図

 

 

 自然エネルギー財団は発表の最後に、世界の気候変動対策に貢献するためにも、日本のビジネス展開の促進のためにも、「インフラ輸出戦略」を見直し、 石炭火力輸出政策を完全に中止し、自然エネルギービジネス支援に転換すべき時だと締めくくった。

 

 

(IRuniverse)

 

 

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