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ドクターE 江守哲の相場解説SEASON2#4 改めて金相場先行きを解説 2025年に4000ドル

2020.09.24 15:06

 金相場見通しについてはこのドクターeシリーズで金は最高値更新でも買い時ということを主張していたが、足元(9月23日)踊り場局面にある金相場について改めて解説を試みたい。

 

→(関連記事)ドクターE 江守哲の相場解説 最高値更新でも改めて言う 金は買い時②&銀相場はどうなる?

 

 金価格は高値からの調整期間が続いている。コロナ危機を受けた各国の資金供給による金融緩和と、今後の世界経済の先行きへの疑念から、安全資産として世界的な注目度が高まってきた金に資金が流入し、8月7日には2072.50ドルの史上最高値を付けた。しかし、その後は8月12日には一時1863.66ドルまで下落した。しかし、7月中旬に1800ドルを超えてからの上昇スピードが速すぎたこともあり、現在の値動きはスピード調整のための期間であろう。事実、最高値から下げても下落トレンドに入ることなく、現在も1940ドル台を維持しており、次の動きをうかがう展開にあるといえる。

 

 

ny金相場の推移(usd/toz )3か月

グラフ

 

 

 最近目立つのは、これまで金に否定的な見方をしてきた米国の著名投資家や学者などが、こぞって金投資の重要性を説くようになっている点である。例えば、8月に世界一の株式投資家であるウォーレン・バフェット氏が、カナダの産金会社バリックゴールド株を購入したことが明らかになった。これまで「金投資は無意味」と公言してきたバフェット氏が、金価格の上昇が最大の収益源になる産金会社の株式を購入したのである。いうまでもなく、産金会社の収益は、金価格の上昇によってもたらされる。バフェット氏が金相場に間接的にかけたと考えるのが妥当である。このような動きは、「変節」というより、むしろ「時代の変化への対応」といったほうが正しいだろう。

 

 市場の重鎮たちが金投資に関する見方や考え方を大きく変えているのが最近の「世界の潮流」である。米国株の強気派として広く知られるジェレミー・シーゲル教授も、金に対するスタンスを明確に変えた一人である。シーゲル教授は、200年以上にわたる米国株の長期リターンを研究し、株式の長期投資がもっとも儲かるとの結論に至ったとして、かねて株式投資の優位性を主張してきた。その根拠として、1802年に米国株に1ドルを投資していれば、現時点で150万ドルになり、217年間で米国株はインフレ控除後で平均6.7%上昇。一方、米国長期債に1ドル投資していれば、現在価値は2000ドル、金は3.5ドル程度にすぎない。つまり、国債と金の場合の実質利回りは、年間平均でそれぞれ3.5%と0.6%でしかないとデータで示している。

 

 しかし、当時示されたデータは、「1800年代」からのものであり、現代の金融市場を取り巻く環境にそのまま当てはめるには、かなり無理がある。現在の金融政策は、歴史上経験がない緩和政策がとられており、明白な結果はまだ出ていない。それを考えると、「前提が変わった」、すなわち、過去のデータと比較することに意味がなくなったといって差し支えない。シーゲル教授も最近になって、これまでの自身の金投資に対する見解を明らかに変え、金投資の効用を訴え始めている。シーゲル教授は、「金融政策が長い間、拡張的な状態に据え置かれ、短期金利はFRBが政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を介して操作し、雇用が回復するまで超低金利が維持される」としている。この点は、8月27日にFRBが「新戦略」として明示した、低金利政策の長期化からも十分に想定できるシナリオである。

 

 そしてシーゲル教授は、「長期金利はFRBが操作せず、結果としてイールド・カーブ・コントロールは採用されず、緩やかに上昇する」とし、さらに、「インフレは長期金利の上昇以上に上昇することで、結果的に実質金利はマイナスのままで推移し、これが金やコモディティ、実物資産の魅力を高める」としている。

 

 マイナスの実質金利が維持されれば、実物資産だけでなく、米ドルの下落にもつながる。FRBが打ち出した「新戦略」と呼ばれる、インフレ率の上昇を一定期間容認するという大胆な政策は、まさにドル安・金価格の上昇を促す格好の材料である。経済が回復するにつれて流動性が高まり、これがインフレに油を注ぐ可能性がある。そうなれば、ますます金価格が上昇しやすくなる。このような状況からも、これまで金投資に否定的だったシーゲル教授も、金価格の見通しに強気にならざるを得ず、金投資の必要性を説くにいたったのであろう。

 

 「コモディティ王」と呼ばれるデニス・ガートマン氏も、「金はまだ強気相場が継続しており、弱いときには買ってよい」との見方を示している。ガートマン氏は一時、金について慎重なスタンスに転じていたが、最近の金価格の調整で再びポジティブになりつつある。ガートマン氏は、金を買う方法として、ボラティリティの高い金鉱株より金上場投資信託(ETF)を勧めている。これはバフェット氏と真逆のスタンスである。興味深いのは、ガートマン氏が新たに提示したポートフォリオ戦略である。従来の「60/40ポートフォリオ(株式60%+債券40%の資産配分)」から、「株式40%+債券40%+金などインフレ・ヘッジ20%」にすべき、としたのである。加えて、「さらに積極的にするのであれば、株式40%+債券30%+金30%にすべきである」とした。

 

 実は、7月に刊行した拙著『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)で、私の持論である「株式・金・現金3分割法」のポートフォリオを紹介している。日本では株式投資の専門家は多いが、コモディティの専門家が少ないためなかなか理解されないようだが、拙著を知るはずもないガートマン氏が、図らずも私と似たような「ゴールドシフト」を推奨し始めたことは実に興味深いところである。このように、市場の重鎮たちが、金をポートフォリオに組み込むことの有用性を説いてきた私の投資戦略にお墨付きを与えるような発言をしていることは、非常に心強く感じられる。実は、2000年から現在までの20年間の金投資と株式投資のリターンの差は、比較する意味もないほど圧倒的に金投資のリターンが高い。ちなみに、この20年間で金価格は7倍以上になったが、米国株は2.5倍である。配当を入れても、金投資のリターンには及ばないのが「事実」である。

 

 金価格が史上最高値を更新したのは、歴史の転換点の象徴とも言える。過去のデータを重視しながらも、現在の経済環境や市場動向に柔軟に対処できる者だけが生き残れるだろう。また、FRBが長期的な継続を半ばコミットしたかのような緩和的な金融政策は、いずれ崩壊に至るだろう。金融政策が成功裏に終わったためしはない。現在のような行き過ぎた緩和は、株価を支えざるを得ない環境下では、もはや止めることができない。止めることができるのは、経済が新型コロナウイルスの感染拡大前の水準をはるかに上回る状態を回復し、株価も安定して推移し、さらにインフレ率が2%を超えて安定的に一定期間推移するようになってからである。しかし、そのような平和な状況が訪れる前に、異常な緩和政策のツケで株価はいずれ崩壊するだろう。それは、今も昔も同じである。今後も金に注目すべき期間が相当長い間、続くことになりそうである。

 

 ちなみに、日本の投資家は、このように世界の重鎮たちが考えを変えていることや、世界の投資家が金を買っていることを知らないようである。事実、金上場投資信託(ETF)を経由した金の購入量は、世界各国と比較してもきわめて少ない。今年8月までの日本の投資家の購入量・金額は、米国の1割にも満たない。日本より経済規模が小さいドイツやフランス、カナダ、豪州よりも少ないのである。日本の投資家が金を真剣に買い始めれば、金価格はさらに上昇しそうである。2000ドルは通過点でしかなく、調整が終了すればいずれ上昇基調がさらに強まりそうである。主要国の政府が財政出動を継続し、中銀が緩和的な政策を続けることを前提に考えれば、金価格は2025年ごろに4000ドルになっていてもおかしくないと考えている。

 

 

国別の金ETFのフロー(年初来、8月31日時点)

表

 

 

金上場投資信託(ETF)の投資資金フローの推移

表

 

グラフ

 

 

主要市場の推移

グラフ

 

 

 このたび、新刊「金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり」(プレジデント社)を上梓した。金投資の重要性、基軸通貨ドルの行方、米中新冷戦の結末や覇権国家の移行などについて解説している。ぜひご一読いただければと思う。

 

 

「金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり」

図

 

 

(TETSU EMORI)

(編集IRUNIVERSE)

 

 

ドクターE 江守哲の相場解説Season2#3 どうなる原油相場?その2

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