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2020年度 表彰式・受賞記念講演会@日本チタン協会 その2 航空機チタンと東邦チタニウム

2020.11.27 15:09

 一般社団法人 日本チタン協会による2020年度 表彰式・受賞記念講演会が、11月26日(水)に学士会館で開催された。この表彰式は、1984年(昭和59年)に始まり、今回が37回目となる。2020年度は、3名が技術賞を受賞した。取材が許されたので、技術賞を受賞した、東邦チタニウム㈱、㈱神戸製鋼所、日本製鉄㈱の3名の講演概要を紹介する。

 

→ 「2020年度 表彰式・受賞記念講演会@日本チタン協会 その1 金属チタン製造の基礎編」からの続き

 

 

3.5航空機に用いられるチタン合金鍛造品

 チタン合金鍛造品は、様々な航空機機体構造部品及びエンジン部品に用いられている。

 型機、1機あたりのチタン合金の使用量(推定)は、100トン前後となる。炭素繊維協会樹脂(CFRP)とチタン合金は適合性が良く、CFRP部材と締結してもガルバニック腐食が生じにくく、熱膨張率が近いため、温度変化による歪を抑制できる。

 

 機体構造部品に用いられる一般的なチタン合金は、Ti-6Al-4V(略称Ti-64)合金であり、80%~90%を占める。Ti-64は、最も汎用的なα+β合金(粒状α組織)であり、各種特性が良く、豊富なデータ及び実績がある。

 

 一方、機体構造部品のなかでもランディングギヤと呼ばれる航空機の脚部には、およそ200トン~400トンもの重量の中大型航空機を支え、着陸時の衝撃に耐える必要があるため、高強度・高靭性の材料が求められる。現行NiCrMo鋼が主流であるが、Boeing777型機やエアバスA380型機では、Near β(α+β合金の中でβ安定型元素濃度が高い合金)の高強度チタン合金Ti-10V-2Fe3Al、また、Boeing787型機ではTi-5Al-5Mo-5V-3Crといったチタン合金が適用されている。これらのチタン合金はTi-64より高価であるTi-64鍛造性に優れるとともに、鍛造後の溶体化時効処理を行うことで強度を向上させることができる。

 

 590℃以下のファンや圧縮機の部分にチタン合金が使用されている。ファンディスクや低圧圧縮機ディスクにはTi-64合金が用いられ、中空圧縮機ディスクにはNearΒのTi-6Al-2Sn-4Zr-6Mo(Ti-6246:板状α組織)合金やTi-5Al-2Sn-2Zr-4Cr-4Mo(Ti-17)合金を溶体化時効処理をしたものが使用される。

 

 Near α(α+β合金の中でβ安定化元素濃度が低い合金)のTi-5.8Al-3.5Zr-0.7Nb-0.5M0-0.35Si合金(IMI834)など耐熱チタン頭金鍛造品が使用されている。

[参考文献 KOBE STEEL ENGINEERING REPORTS Vol.64 No.2(2014) 航空機向けチタン合金の鍛造工程設計技術 長田 卓氏他]

 

 

4.講演概要

 ① 東邦チタニウム(株) 執行役員 チタン事業総括本部

   インゴット事業部長新良貴健氏

『EB溶解法による高効率チタンスラブ製造技術の確立』

 

 概要:EB炉での製造技術開発により、高速溶解、大型化、原料供給の自動・連続化を達成し、品質の安定化により、高効率治安スラブ製造技術を確立した。

 

 また、分塊鋳造/分塊圧延の省略が可能な薄型スラブ(DCスラブ:チタン市場拡大に向け、日本製鉄との共同開発)の表面清浄化をハース及びモールド内の溶湯温度(低温化)や引き下げモードを調整することに達成した。2011年(平成23年)量産化開始

 

 EBシングルメルトによる合金溶解技術を開発し、製品化を可能とした。

 スクラップリサイクル技術の確立し、溶湯滞留時間をコントロールすることにより、ガス溶断面の溶解前処理をショットブラストのみとした。

 

<東邦チタニウムの沿革>

1953年(昭和28年)銅製錬大手の日本鉱業株式会社(現・JX金属株式会社)、チタン製錬の優れた技術者であった石塚父子[株式会社大阪特殊製鉄所〈現・株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ〉の創業者・石塚幸次郎氏とその子息・石塚博氏]及びチタンの将来性に注目していた第一物産株式会社(現・三井物産株式会社)の三者合弁で設立

 

1960年(昭和35年)溶解第1工場完成。大型VAR炉導入により、大型インゴット(15トン)の製造開始。設備能力120トン/年

                                                                                                   

1998年(平成10年)EB炉稼働(2 000 kW:日立工場)。設備能力2 640トン/年

 

2008年 八幡EB1炉(4 800 kW)稼働

 特徴:鉄鋼設備に適した大型インゴット(25トン型)化、大型チタンスクラップのリサイクル処理実現

 

2014年 八幡EB2炉(6 400 kW)稼働

 特徴:DCスラブ専用炉、世界最高出力による高速溶解実現、原料供給設備の自動・連続

 

 

図

図1 東邦チタニウムホームページより

 

 

 ② (株)神戸製鋼所 技術開発本部

  材料研究所 材質制御研究室 主任研究員 伊藤良規氏

『航空機向けチタン合金鍛造品の超音波探傷性を考慮した組織設計技術』

 

概要:チタン合金スラブには、組織観察ではα粒微細組織であっても、結晶方位が揃った局所的に不均一な領域が存在する。これは、「局所集合組織領域」(もしくは「マクロゾーン」)と呼ばれる。この組織が存在すると、材料組織起因のノイズが検出され、材料欠陥との識別が困難となることから、検査を難しくしていた。

 

 そこで、材料組織形態が超音波散乱強度に及ぼす影響を系統的に調査した。

 

 研究の目的は、超音波探傷性を考慮した鍛造設計技術の確立であり、組織粒の形状による散乱ノイズの大きさの違いを多層モデルとして、FEM(有限要素法)解析を取り入れることで、ノイズの抑制を可能とした。

 

 

 ③ 日本製鉄(株) 技術開発本部 鉄鋼研究所 材料信頼性研究部

 主幹研究員 國枝知徳氏

『Super-TIX523AFM※の相変態を活用した高機能化に関する研究開発』

 

※日本製鉄ブランドSuper-TIX523AFM(Ti-5Al-2Fe3Mo)は β 安定化元素である鉄(Fe)や モリブデン(Mo )を5 mass%も含有した near β 型の α+β 型チタン合金であり,Super-TIX51AF(Ti-5Al-1Fe),Super-TIX®52AF(Ti-5Al2Fe)をベースに、更なる高強度化のためFeと偏析方向が逆であるMoを3 mass%添加することで、高いコストパフォーマンスを有する合金として 2000 年代初頭に開発され,二輪車や一部高級四輪車の吸気エンジンバルブ等(非航空機分野)に使用されている。これらの Fe を添加したチタン合金は,室温を含む中低温域では FeTi 金属間化合物が平衡相であるが,その生成速度が遅いため,焼鈍後,室温付近で使用する場合は,基本的に FeTi 相ではなく準安定相の β 相が存在し,実質的に α+β 型チタン合金として取り扱うことが可能である。

 

概要:汎用元素[Fe, 銅(Cu)、けい素(Si)、酸素(O)、窒素(N)など]活用による低コスト化を実現し、非航空機分野へのチタン合金適用拡大を図る。

 

 Super-TIX523AFMの機械的特性を広範囲に制御するため、機械的特性に及ぼす熱処理条件の影響を調査した。本合金は、α+β二相高温域での溶体化処理、急冷による不安定β相の残留やマルテンンサイト変態の活用、時効処理条件などを変化させることにより、高機能特性[低0.2 %耐力(400 MPa~600 MPa)、高引張強度(1 250 MPa~1 400MPa)、低ヤング率(78GPa)]を発現する。

 

 

<2020年度 チタン協会事業計画>

 チタン協会の本年度の事業計画によると、

 チタン協会は、国際競争力強化への取組みとして、引き続き国際貿易問題、関税格差是正問題、電力料金問題等に関して政府・関係省庁への働きかけを継続するとともに、産学連携研究助成による人材育成、安全交流会や啓発活動を通じた産業事故防止の徹底など産業基盤強化のための取組みを図っていくとある。

 

 また従来からのチタン需要の裾野を広げるための用途開拓活動、チタンの規格化の推進、 5 年目となるチタン需要開拓助成事業等の事業活動を継続し、『より多く、より広く、より便利に世界中でチタンを使ってもらえるようにする』ため、チタンの適用拡大、需要開拓に向けて 積極的に取り組んでいく方針である。

 

→(事業概要)一般社団法人日本チタン協会 (titan-japan.com)

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

 

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