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「低品位ニッケル鉱石の性状解明およびニッケル品位改善に向けた基礎試験の実施」報告書

2020.12.04 08:36

 JOGMECは平成31年度現場ニーズ等に対する技術支援事業を令和2年11月26日公開した。

 

 今回は「低品位ニッケル鉱石の性状解明およびニッケル品位改善に向けた基礎試験の実施」報告書の抜粋を行った為、詳細な図は割愛したので、JOGMEC公開報告書を参照願いたい。

 

http://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2020/11/needs_fy31_01.pdf

 

 

1.要約

 近年優良な鉱床の枯渇等により現在操業している、あるいは今後開発されるニッケル鉱山のニッケル品位は低下することが予測されており、低品位ニッケル鉱の品位を向上する技術の確立が求められている。そこで本スタディにおいて、低品位ニッケル鉱石の鉱物学的な性状把握及び基礎的な選鉱試験を実施した。

 

 ニッケル鉱石の性状把握として粒度分布測定および元素分析を行ったところ、粗粒が比較的多い粒度分布を持つが、細粒側のニッケル品位が高いことが判明した。鉱物単体分離解析装による分析の結果、主な含ニッケル鉱物はSerpentine であり、Serpentine とFe-oxide が複雑に混在した相も多く観察された。またSerpentine のニッケル品位は0~15%程度と不均一であった。

 

 この結果から選鉱シミュレーションを行ったところ、ニッケル回収率を低下させないよう全てのSerpentine を回収した場合、ニッケル品位は0.23%の上昇だが、ニッケル品位の低いSerpentineも除去した場合、ニッケル品位は0.46%の上昇となった。また、基礎選鉱試験では選択粉砕を行い、給鉱のニッケル品位が1.61%に対し、最大2.00%まで品位を上昇させることができた。

 

 

図

 

 

2.概要

 ①背景

 ニッケルの酸化鉱石であるサプロライト鉱は東南アジア等で採掘された後、本邦においてフェロニッケルやニッケル地金等に製錬されているが、近年優良な鉱床の枯渇等により現在操業している、あるいは今後開発されるニッケル鉱山のニッケル品位は低下することが予測されている。

 

 

 ②目的

 低品位ニッケル鉱の品位を向上する技術の確立は本邦企業の鉱山権益獲得における競争力強化に資することから、低品位ニッケル鉱石の鉱物学的な性状把握及び基礎的な選鉱試験を実施する。

 

 

 ③スタディ方法

 本スタディは、次の業務を行う。

 

 (1)試料のキャラクタリゼーション

 分析前処理として、対象とする低品位ニッケル鉱石(以下、試料という。)を湿式にてふるい分けして複数の粒群に分割し、以下の分析を実施する。

 ・ 含有金属の測定

 ・ 鉱物単体分離解析装置によるニッケルを含む鉱物の同定及び、それら鉱物のグレインサイズ、単体分離度測定これらの分析により、ニッケル成分について粒度偏析の有無、単体分離性を確認し、適切な選別方法を検討する。また、鉄分が高過ぎる鉱石は、フェロニッケル製品の品質維持を難しくすることから、試料中の鉄の存在形態も同時に把握する。

 

 

3.基礎選別試験

 ニッケルが特定の鉱物として存在している場合、脈石との物理的性質の違いを利用した選別(比重選別、磁選等)を検討する。ニッケルが複数の鉱物に固溶して鉱石中に薄く分布している場合、ボールミル等の装置によりニッケルが濃縮しているとされる鉱石表面を剥離する粉砕試験を行い、細粒へのニッケル濃縮の可能性を検討する。

 

スタディ実施期間:令和元年11月27日~令和2年2月28日

 

 (3)共同スタディ

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、双日株式会社、大平洋金属株式会社

 

 (4) 試料のキャラクタリゼーション

 ニッケル鉱石の性状把握のため、元素分析と鉱物単体分離解析装置(以下「MLA」という。)を用いた含有鉱物の分析を実施し、ニッケル鉱石中の含ニッケル鉱物の確認や鉱物重量割合、鉱物粒径等の把握を試みた。

 

 (5) 試料概要

 本スタディではニッケル1.5%の比国産低品位ニッケル鉱石を試験に供した。

 

 (6) 分析前処理

 試料の粒度分布を図 2-2 に示す。粗粒の割合が比較的高いことが分かった。

 

 (7) 元素分析

 

 (8) 分析目的

 ニッケル鉱石の性状を把握するため、元素の定性・定量分析を行った。

 

 (9) 分析方法

 ICP 分析結果とXRF 分析結果を比較したところ、鉄、マグネシウムは大きな差はなかった。ニッケルは13.2mm 以下の試料については差がほとんどなかったものの、+13.2mm 試料についてはICP 分析値がXRF 分析値よりも割合として13%低かった。また、アルミニウム、カルシウム、コバルト、クロムは全粒度においてICP 分析値の方が低くなり、特にクロムは割合で70~80%の差が見られた。これはクロムなどの元素が難溶性鉱物中に多く存在していたためと推察される。

 

 

表

 

 

 (10) 分析結果 鉱物種

 表 2-4 にMLA で確認された鉱物種を示す。MLA 分析の過程で全30種に分類したが、似た性質の鉱物についてはグループ化を行い、8種にまとめた。含ニッケル鉱物としては、蛇紋石(Serpentine)、酸化鉄(Fe-oxide_Ni)、マンガン鉄酸化物(MnFe oxide_NiCo)、カオリナイト(Kaolinite_Ni)の4種があることが判明した。本分析において、Serpentine_Ni〇と記述した鉱物はニッケル品位が〇%であるSerpentine を示している。これはSerpentine 中のニッケル品位は粒子によりばらつきが大きいためであり、数字の区分としては0%、1%、2%、6%、15%の5つに分類した。その中間の値のニッケル品位のSerpentine も存在するが、今回の解析では、この5つのうち最も近い値に分類するようにした。また、Serpentine-Fe-oxide はSerpentine とFeoxideが複雑に入り混じった状態の相を示している。これは反射電子像(図 2-7)に示すように、微細なFe-oxide がSerpentine に広がっており、今回のMLA の分析条件ではSerpentine とFeoxideを区別することができなかったためである。

 

 

表

 

 

 (11) 鉱物重量割合

 図 2-8、図 2-9 に各粒群の鉱物重量割合を示す。+13.2mm の試料は89%がSerpentine である一方、13.2mm 以下の試料についてはSerpentine が30~50%で、Serpentine-Fe-oxide が28~48%占めている。+13.2mm の試料はニッケル品位が1%のSerpentine が他の粒群に比して多く占めており、これが元素分析においてニッケル品位が低い理由であると推察される。

 

 主な非ニッケル鉱物は、ケイ酸塩鉱物(Si minerals; 2.8~7.3%)、クロマイト(Chromite; 0.6~4.8%)であり、ケイ酸塩鉱物としては石英(Quartz; 0.8~3.0%)、普通輝石(Augite; 0.4~1.1%)が比較的多く存在している。

 

 

グラフ

 

 

 (12) 含ニッケル鉱物のニッケル分布率

 図 2-に各粒群における含ニッケル鉱物へのニッケル分布率を、図 2-1 に試料全体に対する各鉱物のニッケル分布率を示す。Fe-oxide_Ni についてはグループ化して示している。

 

 Serpentine_Ni2 とSerpentine-Fe-oxide_Ni2 は鉱物重量割合が高く、ニッケルの分布率としても高い割合になっている。また、Serpentine_Ni6 は鉱物重量割合が低いものの、ニッケル品位が高いことから、ニッケルが多く存在する鉱物の1つとなっている。

 

 (13) 単体分離度

 図 2-13 に主な鉱物の単体分離度を示す。ここでは、粒子に占める目的鉱物の割合が95%以上のとき単体と定義し、その単体の割合を単体分離度としている。Serpentine_Ni2 は30%台、Serpentine-Fe-oxide_Ni2 は-0.075μm のときで30%台であり、Chromite やAugite に比べると単体分離度は低い。このことから、含ニッケル鉱物と非ニッケル鉱物を分離する場合、ある程度の粉砕が必要であると考えられる。

 

 

グラフ

 

 

 (14) 選鉱シミュレーション

 MLA 分析結果より、以下の2条件の選鉱を行った時の精鉱のニッケル回収率およびニッケル品位を算出した。

  ①理想的な粉砕・選鉱により非ニッケル鉱物が完全に除去された時の精鉱のニッケル品位

  ②理想的な粉砕・選鉱によりNi 品位1%のSerpentine 及び非Ni 鉱物が完全に除去された時の精鉱のNi 品位

 

 ①のとき、ニッケルの回収率100%となる。粗鉱中の含ニッケル鉱物の重量割合および粗鉱のニッケル品位から、精鉱のニッケル品位は以下の式で算出可能である。計算結果は1.89%となり、粗鉱に比べ0.23%の品位上昇である.

 

(15) 基礎選別試験の概要

 ラテライト鉱石の選鉱方法として選択粉砕がある。これは、ラテライト化した含ニッケル鉱物は非ニッケル鉱物(石英、かんらん石類など)に比べて軟らかいという性質を利用したものであり、自生粉砕などにより選択的に含ニッケル鉱物の粒径を小さくして、粒径差により含ニッケル鉱物と非ニッケル鉱物を選別する方法である。図 3-1 は西オーストラリア州に位置するRavensthorpe ニッケル鉱山における選鉱フローシート(1)である。鉱石を粗砕後、ドラムスクラバーによりスラリー化し、ふるい分けやサイクロンなどにより細粒側に区分されたものを富鉱化鉱石として回収する。このプロセスではニッケル品位を1%から2%に富鉱化している。

 

 本スタディでは基礎選別試験として、予察的に選択粉砕試験を実施し、本試料のニッケル濃縮の可能性について確認した。

 

 

図

 

 

3-2 試験方法

 選択粉砕装置として、JOGMEC 金属資源技術研究所が所有するボールミル(株式会社吉田製作所、図 3-2)を用いた。粉砕の選択性を高めるため、ボールを使用せず、自生粉砕とした。粒径の境界を75μm とし、75μm 以下の試料をニッケル濃縮産物とした。

 

 

写真

 

 

3-3 試験結果

 図 3-3 にニッケルの品位・実収率曲線を示す。粉砕10 分後に75μm 以下の鉱石のニッケル品位は2.00%となり、給鉱の品位よりも0.39%上昇した。このときのニッケル回収率は20%であったが、粉砕時間を30 分にすることでニッケル回収率は42%まで上昇した。粉砕時間が10分のときは、ニッケル品位が高いSerpentine が先に粉砕されたことで、前章のシミュレーション(2)により算出したニッケル品位に近くなり、粉砕時間が長くなるにつれニッケル品位の低いSerpentine も75μm 以下に粉砕され、ニッケル品位が低下したと思われる。

 

 

グラフ

 

 

4 まとめ

 本スタディの対象試料はキャラクタリゼーションの結果、以下のことが明らかとなった。

  ・ 粗粒が比較的多い粒度分布を持つ

  ・ 細粒側のニッケル品位が高い

  ・ 主な含ニッケル鉱物はSerpentine であり、Serpentine とFe-oxide が複雑に混在した相も多く観察された

  ・ Serpentine のニッケル品位は0~15%程度と不均一である

  ・ MLA 分析結果から選鉱シミュレーションを行ったところ、ニッケル品位は最大で2.1%まで向上できる

  また、基礎選鉱試験では、選択粉砕によりニッケル品位が向上することを確認した。

 

 

5 提言

 今回試料として使用した低品位ニッケル鉱石は含ニッケルSerpentine とFe-oxide の混在相を最大48%含むことから、ニッケル回収率を優先して選鉱するとニッケル品位向上に伴い、鉄品位も上昇してしまうことが懸念される。また、この混在相の分離には鉱石の微粉砕と更なる選鉱工程が必要となりコスト面から現実的な手段とは言い難い。フェロニッケル製錬に用いるニッケル鉱石はある程度鉄品位を抑える必要があることから、今回使用した試料以外の鉱石を複数調査し、Serpentine とFe-oxide の混在相の少ない鉱石銘柄に絞り込んで選鉱技術開発の検討を継続したい。またニッケル鉱石中のニッケルはerpentine やFe-oxide、MnFe oxide、Kaolinite中に含有されていることが分かったが、各鉱物中のニッケルの存在形態は明らかになっていない。ニッケルの多種多様な存在形態の把握は最適な選鉱方法を決めるうえで重要になるため、今後の研究項目の一つとしたい。

 

 

(IRUNIVERSE katagiri)

 

 

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