2月の銅の概況及び3月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 9900-12000ドル ↑
建値 116万-144万円 ↑
為替 113~117円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半は好調な米雇用統計を受けたドル高やウクライナ情勢に対する懸念などのマイナス材料もあったが米国での大幅利上げ観測後退を受けたドル安傾向や、LME倉庫在庫の減少を受けた需給引き締まり懸念などを好感しUP
1月13日時点で9882ドル(セツル)と月初価格より262ドルUPの締め。
後半はウクライナ情勢が一段と緊張しており、ロシアからの供給不安が強材料となり続伸するなどのプラス材料もあったがロシアによるウクライナ侵攻とこれを受けて主要7カ国(G7)がロシアに対する経済・金融制裁を実施したことを嫌気しDOWN
2月末日 現在、後半スタート価格から100ドルDOWNの9920ドル。
3月スタート建値は119万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
116.16 → 116.55(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると1月の自動車生産台数は前年比-20.9%の51万6605台
輸出は-13.9%
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると2月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-18.6%の21万3699台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
1月の新設住宅着工は,持家及び分譲住宅は減少したが,貸家が増加したため,全体で前年同月比2.1%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比2.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 68,393 戸。
・前年同月比 4.2%増, 10か月連続の増加。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
輸出
財務省貿易統計によると輸出は電気銅が+0.4%の4万8188t、スクラップが-41.9%の1万8339t。
輸出推移
輸入
電気銅が前年比+49%の298t、スクラップ -3.9%の9165t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
1月伸銅品生産量は5万7,590トン、前月比8.0%減少した。また前年同月比2.1%減少した。13か月ぶりにマイナスに転じた。特に主力の銅条や黄銅棒などが軒並みマイナスである。
出典 日本伸銅協会
日本電線工業会発の出荷速報(推定)
前年比+0.5%の5万800t
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車生産】
生産動態統計によると1月の自動車生産台数は前年比-20.9%の51万6605台
輸出は-13.9%
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると2月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-18.6%の21万3699台
内 乗用車 -18.6%
貨物 -17.9%
バス -33%
【住宅着工戸数】
1月の新設住宅着工は,持家及び分譲住宅は減少したが,貸家が増加したため,全体で前年同月比2.1%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比2.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 68,393 戸。
・前年同月比 4.2%増, 10か月連続の増加。
○新設住宅着工床面積は 5,702千㎡。
・前年同月比 5.9%増, 9か月連続の増加。
○季節調整済年率換算値では 838千戸。
・前月比 1.5%減, 2か月連続の減少。
【伸銅品生産】
1月伸銅品生産量は5万7,590トン、前月比8.0%減少した。また前年同月比2.1%減少した。13か月ぶりにマイナスに転じた。特に主力の銅条や黄銅棒などが軒並みマイナスである。
2022年1月の国内伸銅品生産は、引き続き自動車と半導体向けの生産が好調に変わりなかった。また住宅関連の設備機器向けの需要も好調が続くが、部材調達難から工事の遅れが影響している。また、エアコンの需要もあるが、こちらも半導体不足が響いている。
銅条
同比16ヶ月ぶりにマイナス。それでも1月としては過去4番目に高い数値である。車載向けを中心にディスクリート半導体が好調続く。COVID-19による東南アジアの生産停滞からも回復してきた。また、ここに来て欧州のEV立ち上げが新たな牽引役になってきた。また巣ごもり需要のデジタル家電向けも好調である。
黄銅棒
同比12ヶ月ぶりにマイナス。リフォームに伴う住宅設備機器関連の需要が引き続き緩やかな回復基調続く。水栓金具はタッチレスが伸びている。ただ、住宅設備も部品や部材不足の影響が見られる。
【電線】
前年比+0.5%の5万800t
うち 国内+0.4% 輸出が +6.6%
【輸出】
電気銅輸出が+0.4%の4万8188t。
銅スクラップが-41.9%の1万8339t。
【輸入】
電気銅が+49%の298t。
スクラップが-3.9%の9165t。
【見通し】
【自動車】
1月の自動車生産が-20.9%。1月国内販売台数が前年比-18.9%
4カ月連続生産、販売共に大幅減少! 半導体以外の中国からの部品供給の遅れからとの事
増加はしばらく見込めず 減少幅に注視
【伸銅品生産】
1月の国内伸銅品生産は、引き続き自動車と半導体向けの生産が好調に変わりなかった。また住宅関連の設備機器向けの需要も好調が続くが、部材調達難から工事の遅れが影響している。また、エアコンの需要もあるが、こちらも半導体不足が響いている。
ただ生産が昨年比13か月ぶりにマイナスに転じたことから自動車生産の減少の影響かどうか今後の動向に注目
【電線】
前年比+0.5%の5万800t
うち 国内+0.4% 輸出が +6.6%
国内輸出共に増加
今後さらに増加するか注視
・銅輸出は スクラップが発生難内需増加に伴い減少
・銅輸入は 電気銅は発生難や内需旺盛から増加
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は今月も銅建値が118万から121万と結果的に高値安定であった。
前月に続きコロナによる生産減からのスクラップ発生減により出物が無く在庫薄。
需要面に関して 前月に続き中国の部品調達の遅れからの自動車生産、販売の大幅減少傾向があるが伸銅品に関しては挽回生産に向けた在庫積み上げからか需要は旺盛。
仮に急落してもその価格での販売に躊躇する問屋も多く定期で入らないメーカーが高値買いの傾向が今月も続く
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
① ロシア ウクライナ情勢
② 米中の金融政策の動向
① に関しては
期待していた北京パラリンピック前の2回目の停戦交渉では両国とも一歩も譲らずはっきりした終戦?停戦は当面ないと思われる。
ロシアが侵攻を停止する可能性も低く各国の経済制裁は続くだろう。
それに伴い各国も経済的ダメージを受けることになるがそれはまだ先の話し 少なくとも今月中はロシア関連の商品全般は 供給懸念から上昇するのでは?
② に関しては
中国に関しては 北京パラリンピック終了後 経済再生のための生産再開金融緩和が行われるのではないか?
米国に関しては 予定通り今月のFOMCで0.25%の利上げをする模様。
ロシアのウクライナ軍事侵攻で生じるリスクよりも、インフレとの闘いを最優先する姿勢を鮮明にした
ただそれによる商品関連の下落リスクは今月中は限定的。
これらを踏まえた3月の銅価格は 9900-12000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は113円~117円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては116万-144万円程度と予測している
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