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揺らぐLMEのニッケルベンチマークへの信頼度

 LMEニッケル相場がふたたび不穏な動きを見せている。さる11月14-15日、LMEニッケル相場は急騰。どうやら中国のゼロコロナ政策の一部緩和観測から、同国需要期待が生じ先行き強気相場となったことを受けて、ショートポジション解消の動きによるもの。逆に16日には一時12%急落するなど。15%の制限を超える構えを見せたため、LMEは急遽保証金を28%引き上げて6,100ドルとし、いったんは沈静化に向かった。だがニッケル業界には、LMEのベンチマーク形成力に対する疑念が広がり、中国業者輸入業者の一部はLMEをベンチマークとして使うことを忌避、SHFE相場をベンチマークとして使うことを生産者側に要求、LME離れの動きも出てきた。もちろん中国企業以外の取引を禁じているSHFEをベンチマークとして依拠することはできず、生産者側はLME依拠の方針を堅持している。それにしてもこれはLMEへの不信感の高まりを象徴する出来事となった。

 

 その後の、LMEにおけるカッパーとニッケルの動きをプロットしてみると、中国のゼロコロナ政策の緩和観測からの同国先行き需要の上向き期待などで上昇基調に乗っているかのように見える。

 

LMEカッパー・ニッケル相場推移(USD/t)3か月

 

 しかしSHFEニッケルとの対比を作ってみると、11月14-15日のLME側プレミアム発生のあとも、11月24日以降もLMEプレミアムが生じていることがわかる。ここではドル建てLMEに対して、人民元建てSHFEを1ドル=7人民元でドル換算、さらに増値税13%を除した値を用いている。

 

 まだ運賃、諸掛りは除かれていないが、それでもLMEの方がSHFEより高い状態が続いているのがわかるだろう。相場裁定が働いている限り通常では、逆にSHFEが少なくとも運賃・諸掛り分はSHFEの方が高いものだ。これは、LMEでは依然として先行き相場下落に賭けていたショートポジション勢が、損失覚悟で清算つまりショートカバーに走っていることを窺わせるものだ。12月8日辺りの急騰とその後の急落がとくにそれを表している。

 

 

 3月の10万ドル突破という前代未聞の踏み上げ相場の現出でもって、市場関係者の間ではLMEのベンチマーク形成作用に疑念の目が向けられ、取引量もこの7月以降では前年同月対比40-60%のレンジで低迷、過去10年間で最低になっているとも伝えられている。在庫量も2021年年初では25万トンであったのが、今や5万トン台まで減少。わずかの投機的動きでもって相場は大きく振られる条件がそろっている。加えてロシア産ニッケル=Nornickel忌避の動きも欧米ユーザー間で広がっており、行き先を失ってそれがLMEに流入するような事態となれば、一気に供給過剰となって相場の底抜けの恐れなしとは言えない。かといって、SHFEがLMEに代替することもあり得ないとなると、ベンチマーク実質不在の状態が思った以上に続くことになりそうだ。

 

 

(IRuniverse/MIRU S, Aoyama)

 

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