プラスチックに関するEU令
EUは急激に普及し始めた生分解性プラスチックやコンポストプラスチックに関して安易に捨てることができるというイメージを持たれないように、非可食といっても食べられるものをプラスチックに使用しないように、マイクロプラスチックや分解時の有毒性がないことを示すエビデンスを増やすため更なるデータを求めている。
ヨーロッパにおいて11月30日に最新のプラスチックに関するEU令が出された。
今後のEUのプラスチックおよびリサイクル政策の考え方の中心になると思われる。
ポイントは
① 生分解性プラスチックが安易なポイ捨てを誘引する可能性があるので
使用するアプリケーションに留意すること
② リサイクル材や廃棄されるバイオマスの使用は食物由来のバイオマス使用
よりも優先されるべきこと→トウモロコシなどの食べられるものの使用を濫用しないことが大きなポイントである。
日本においては公共のコンポスト場はほとんどないので生分解性という名の、常温ではほとんど分解しないプラスチック(植物由来であるかもしれないが)は実際に一部の農業や林業以外に適した使い道はなく、一般消費製品に過度に使う事は消費者の誤解を招きやすい。
総務省が誤解を生む過剰表記をした10社に指導して名前も発表したが、財閥系の大手企業も含まれており、生分解性プラスチックに対する製造や加工側の知識、倫理観も疑われる。
また少ないリサイクル材料をバージン材に混ぜてマスバランス方式と称するものもリサイクル率が多くない場合には結局バージン材料を多く投入することになり今後議論を生む可能性もある。
日本における容リプラはまだまだ品質が悪く、そのまま使うのは難しいのが現状である。
リサイクル材使用率を増やすことを義務付けると品質の良いリサイクル材の取り合いになり、更に品質の悪いリサイクル材料は使われにくい。
既にペットボトルでこの様な兆候がうかがえる。
やはり欧州はこの様な微妙な問題点についてきっちり広報していることが流石であると思う。
筆者はマイクロプラスチック製造型の生分解性プラスチックや非可食性と称して実際に食べられるものをプラスチックに使用し、枯渇資源をわざわざ掘削して脱プラと称する材料が増えることを危惧している。
今後の地球の人口増加を考えて食べられるものをプラスチックに使用する事はやめ、枯渇資源は有効利用できるようにして欲しい。
以下11月13日EU令原文
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<プロフィール>
増田信次
・サステイナブルマテリアルクリエイター
・SDGsビジネスマスター
・先端技術協会常務理事
・全日本科学技術協会客員研究員(地域創生)
・リサイクル炭素繊維、FRPリサイクル・バイオコンポジット専門家
●連絡先
masuda@econologybrain.com
https://instagram.com/econologybrain
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