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フェロシリコン&シリコマンガン市場近況2023#初春 合金鉄全体に上値重いなか いずれも低位安定

 中国、欧州そして日本も含めて世界的に鉄鋼生産が伸び悩むなか、鉄鋼副資材としての合金鉄はモリブデン系を除いて一様に重い。電炉向けが多いシリコマンガンも現在はトン当たり1000ドル前後と過去の推移からしても「定位置」といえる水準に落ち着いている。2021年のヤマは中国が電力抑制で石炭供給も絞り込んでいたことで多電力消費のシリマン生産が落ち込み急騰、2000ドルを超えたが同年10月21日に中国政府が電力不足を乗り越えるために石炭供給を緩和したことで急落。そして2022年3月のヤマはご承知のようにロシアのウクライナ侵攻によるウクライナでのシリマン供給停止(Privat社の工場が一時的に稼働が止まる)ということで急騰したが、これも欧州の鋼材輸入増、鉄鋼減産でシリマン需要は減退したことで下落し今日に至っている。

 

(シリコマンガン(65/17)相場の推移 $/ton)

 

定位置、とはいえ、ここ5年の推移でみると、2020年の9月中旬から2021年1月中旬までは1000ドル以下のマーケットが続いていた。今シーズンでも1000ドル割れの危険性はある。ただ、朗報、というべきか、世界の電力高、特に欧州においては昨年から多電力消費のシリマンは積極的に減産(エラメット社、フェログローブ社など)しており、一部はシリマンよりも電力負担の少ないフェロマンガンにシフトしているという。としてもフェロマンガンも鉄鋼向けであるためさほど需要が強い訳ではない。欧州の高炭素フェロマンガン(78%mn、C7.5%)はトン当たり1150~1250ユーロ、米国ではトン当たり1450ドル前後で横ばい推移。

 

(高炭素フェロマンガン相場の推移 €/ton)

 

マンガン系でいえば一時は、2021年にはトン7300ドルまで高騰したメタルマンガンもいまでは2200~2300ドルのレンジで落ち着いている。メタルマンガンの原料は炭酸マンガンだが、ガーナの炭酸マンガンの大手メーカーがデフォルトに陥っていることは相場をサポートする可能性がある。ここは年産1万トン以上の炭酸マンガンを生産している。

 

(メタルマンガン相場の推移 $/ton FOBChina)

 

 

マンガン系アロイは鉄鋼需要減と電力高でおしなべて減産基調。

エラメットのノルウェー工場も減産、フェログローブ社も減産。南アのアソマン社も減産している。

マレーシアではサクラがシリマン用の電気炉を1基止めている状況だという。ただ、後述するが、マレーシアではフェロシリコンの生産が増えており、シリマンは生産は落としてもフェロシリコンは増やしている。

 

 マンガンアロイの先行きについて大手マンガン鉱石、シリマンサプライヤーは

「今の1000ドルという価格はサプライヤーにとってぎりぎりのところなのでこれ以上に下がることはないと見ています。ガボンのマンガン鉱石生産者であるコミログ(eramet)は昨年末に発生した地滑りで鉄道網が寸断されていることでフォースマジュールを発しており、これでマンガン鉱石価格は上昇している」とのこと。

 コミログは年産700万トンの大手マンガン鉱石生産者である。マンガン鉱石価格が上がれば合金鉄価格にも波及することは間違いない。指標となる豪州産マンガン鉱石価格はマンガン純分あたり6ドル前後まで上昇している。

  シリコマンガンの世界最大の生産国はインド。そのインドが購入しているマンガン鉱石がコミログのものが年間100万トンと大きいため、インドのシリコマンガン価格は上向きとなる可能性がある。

 

 

(豪州産マンガン鉱石価格推移 $/mtu)

 

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フェロシリコン相場は現在1600~1800ドルで推移している。中国FOB価格では1650ドル前後となっている。

シリマン解説でも前述したが2021年10月の中国の電力抑制策でトン5000ドルという大相場を演じたフェロシリコンだったが、その後は急落し、特に盛り上がりもないまま現在に至っている。

 

 

(フェロシリコン相場(Si75%min)の推移 $/ton FOBChina)

 

フェロシリコンも多電力消費型素材であるため、電力高のときには相場は上昇するものだが、今はそれ以上に需要が弱いことで低迷。ここで注目されるのがマレーシア。日本の高炉メーカーはコンプライアンスの遵守から、ロシア産フェロシリコンの購入を止め、日系メーカーの多いマレーシア産へと切り替えていることでマレーシアでのフェロシリコン生産は増加しているのである。そして日本の輸入も昨年、マレーシアからのフェロシリコン輸入は急増。11月までで71,138トンとロシア産の72,258トンに肉薄している。そして2022暦年トータル(速報値)では、マレーシア産が75,503トン、ロシア産75,101トンと僅差ではあるがマレーシア産フェロシリコンの輸入量がロシアのそれを上回った。

 

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(日本の国別フェロシリコン輸入量 2022年)

 

当初、マレーシアはシリコン原料を中国から輸入しなければならないため、さほど生産は伸びないのでは、とみられていたが、フタを開けてみればこの状況。ユーザーである高炉が脱ロシアでマレーシア産に大きくシフトしたことが大きい。かつ、マレーシアと日本はFTA(自由貿易協定)を結んでいることも双方にとってメリットがある。

またマレーシアは水力発電でフェロシリコン、シリコマンガンを生産していることもカーボンニュートラルの評価が高い。ベトナムもフェロシリコン生産はある。が多くは石炭火力発電で生産している。マレーシアのフェロシリコン、シリコマンガンメーカーはAML、OMH、sakuraなど。各社とも増産するのはすべてフェロシリコン。

 

 しかしながら日本の需要でいうと、高炉、電炉、特殊鋼、ステンレスいずれもふるわないなかでフェロシリコン需要は低迷。長契分でも一杯一杯で在庫は余剰。フェロシリコン相場は1600ドル以下は生産コスト割れとなるため、これ以下はないとみられるが上値重い展開が続くと考えられる。

 

(IRUNIVERSE/MIRUcom YT)

 

 

 

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