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伝統工芸の技を提案 美濃焼タイル、鬼瓦@建築・建材展2023

 日本の街づくり・店づくりを支える様々な技術・製品・システムが集まった「第29回建築・建材展2023」に、タイルが活きるのは「まち」の中でつかわれてこそとして、多治見市美濃焼タイル振興協議会が出展した。その他伝統工芸の技を活用した、新たな提案がなされた。

 

 2023年の展示会への来場者数は2022年の2倍の参加者を記録して閉会した。

 オンラインは3月10日(金)まで開催されている。

JAPAN SHOP Online / 建築・建材展 Online / ライティング・フェア Online / I... | 日経メッセ (nikkei.co.jp)

 

 建設・建材展では環境に配慮した“いいもの”を提案する。そして我々には、それを“使いこなす”ことが求められる。この“いいもの”の評価が難しい。プラスチックを木材に置き換えるとしても、100 %置き換えることができないため、木材とプラスチックの複合材料となる。この場合、リサイクルを更に困難にするように思える。また、日本の木材の価格が高いことから、日本製ではなく、スウェーデン、ベルギーなど、海外製品を輸入することになる。

 

 建物に再生エネルギーを使用した照明、つまり、太陽光を建物にうまく取り入れる提案も数多くなされていたが、それには反射板に用いるアルミ板への表面処理技術が鍵となる。アルミを国内で製造しなくなった日本には、その表面技術の新開発が遅れ、ドイツの技術により、台湾で製造する等、ここでも、海外の名前をお聞きする場面が非常に多かった。

 

 このような状況のなか、伝統工芸の技を駆使して、新たな提案もされていたことには、心強さを感じることができた。西陣織のブースでは、京都弁による説明に癒された。西陣織は高価すぎて一般大衆にはとても手が出せないものと、遠巻きに見学していたところ、金色に見えるが銀だとのこと。硫化銀による膜を生成させることで、金色を発色させている技法だと教えていただいた。そういえば、金メダルも主体は銀メダルだった。

 

<伝統工芸の技>

 

多治見市美濃焼タイル振興協議会ブースではタイル名称統一100周年事業として、「タイルピアノ」の演奏が行われていた。

 現在「タイル」と言えば、建築物の表面を覆う、陶磁製の薄板を指す。1922年4月12日、平和記念東京博覧会の会場で全国タイル業者大会が行われ、それまで化粧煉瓦、敷瓦等様々に呼ばれていた「やきものの建築装飾」の名称を、“タイル”に統一することが宣言された。

 

 2022年タイル名称100周年記念事業の目玉として、多治見市美濃焼タイル振興協議会が、市内産のタイルを全体にあしらった「タイルピアノ」を製作した。

※1922年(大正11年)から、2022年4月12日で100周年を迎えた。

                                                                                                                                                                                        写真 「タイルピアノ」演奏風景              

 

 このタイルピアノを手掛けたのは、モザイクタイルアーティストの中村ジュンコ氏。

 作品のコンセプトを「フラワーサークル」とし、「ピアノを聴衆が取り囲むようにして輪ができたらいい」との想いがこめられているそうだ。

 

 多治見市の出展コーナーに展示している写真に見覚えがあった。記憶をたどると、タイルの原料となる粘土の鉱山をモチーフとした建築家、藤森照信氏の設計による「モザイクタイルミュージアム」であった。

 

 

 

 

 今回の展示会では、伝統工芸の技を現代に調和させた新たな提案が多くなされていた。

 

愛知県三河の窯業展で、目を引いたのが、三須瓦工業組合の鬼瓦の製造技術を基に製造された床の間飾りである。

 

三須瓦は、

 享保五年(1720年)の徳川吉宗による瓦葺奨励の後、地場産業として本格的に栄え始めた。西三河地方に流れる矢作川が猿投山の粘土を下流域に運び、瓦の原料となる良質な粘土が豊富に採れたことと、海に面し海運で江戸に輸送できたことが発展の要因と考えられている。

 

 製品に釉薬をかけず、焼成後の高温状態の時に酸素を遮断して強制還元(燻化)を行うことで、「いぶし銀」と呼ばれる独特の発色が現れる。瓦屋根の中で、魔除け、厄除け、繁栄や富の象徴として飾られてきた鬼瓦が、庶民の暮らしの中に取り入れられ、床の間飾りや玄関飾りへと用途を広げてきた。また、近年では国宝・重要文化財などの復元も手掛けている。

 

 

<抗菌・抗ウイルス・高機能性建材ゾーン>

 

 抗菌・抗ウイルス・高機能性建材ゾーンでは、光触媒工業会を訪問した。

 

 光触媒工業会は、2006年に発足した。光触媒技術の応用と拡大を促し、その認知活動を通じて製品の普及を図るとともに、性能、利用方法などが適切であると認めた光触媒製品に認証マーク(PIAJマーク)を付与する認証制度を2009年にスタートした。

 

 酸化チタン(TiO2)に光を照射すると、そのエネルギーによって水が水素と酸素に分解される。 当時大学院生であった藤嶋昭氏が、本多健一助教授の指導の下、実験中偶然にこの作用を見出したのが、酸化チタン光触媒の半世紀に亘る物語の始まりとなった。

ja (jst.go.jp)

 本多・藤嶋効果について1972年Nature誌に発表された。

 

 光触媒では、3つの効果が確認されている。

 環境浄化:空気浄化⇒光触媒が自然エネルギーである太陽光を利用して、車の排気ガスに含まれるNOx(窒素化合物)を酸化して、無害な物質に変えて、空気を浄化する。

 

 美観維持:セルフクリーニング⇒いつまでの白くきれいな建物。太陽光が当たることで、壁やガラスの黒ずみの原因となる様々な有機物を分解し、更に雨が汚れを洗い流し、美観を維持する。

 

 清潔な空間:抗菌・抗ウイルス⇒近年注目されているのが、光触媒が光にあたり、活性酸素を発生、匂いや汚れなどの原因である菌を分解し、不活化することで、増殖を抑制する。

 従来の光触媒は、紫外線でしか反応しなかったが、窒素ドープ又は、金属酸化物(銅、白金、鉄など)ドープなどにより、可視光での応答性能を改善されてきているとのこと。

 

 

 最後に、環境配慮型高濃度亜鉛粉末塗料を紹介する。

 これはローバル株式会社が開発した、塗る(常温)亜鉛めっきである。溶融亜鉛めっきと同等のさび止め効果が得られる。

 23℃で、約20分で乾燥する。ブラストまたは電動工具を使用して、水分、油分、黒皮、錆び(赤さび、白さび)、旧塗膜などを除去し、清浄な金属面を露出させ、推奨乾燥膜厚80µmになるように、2回に分けて塗装する。

 亜鉛の犠牲防食により、錆止め効果を発揮する。

 

 

 ブースでは、丁寧に、さび止め機構の違いを説明していた。

 一般塗料の場合は塗膜下腐食が発生するが、亜鉛粉末塗料では、亜鉛による犠牲防食によりさび止め効果が発揮される。

 

  “亜鉛”という漢字のなかに“鉛”という文字があるため、混同されることがあるとのこと。初めて知った。

 腐食生成物により金属光沢が失われていく様子が“鉛”に似ている(亜のいみ)ので、亜鉛となったようだ。そういえば鉛筆にも“鉛”が使われている。これも色が似ていることからのようだ。

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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