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アジア合成樹脂市況の近況(No14) 減産と景気減速との綱引き相場

 アジア合成樹脂市況は3月の欧米での金融システム不安による世界景気の後退懸念から軟調な展開となったが、4月に入りOPECの協調減産の公表で原油市況は持ち直しも樹脂市況は弱基調にある。各国の石化プラントは生産調整が続いているも、中国を中心に実需に強さがみられない。当面のアジア合成樹脂市況は原油減産による原油市況が下支え要因となる綱引き相場となろう。

 

ポリスチレンを除き反落、弱含みの展開

 

 アジア合成樹脂市況は中国の旧正月明け後の需要回復期待もあり2月中旬かけて強含みの展開となったが、3月は米シリコンバレー銀行の経営破綻、スイスの大手金融機関クレディ・スイスのUBSによる救済買収と金融システム不安による景気減速、需要減少の懸念から市況は軟調な展開となっていた。3月10~12日に開催された中国の全国人民政治協商会議(全人代)で景気刺激策が打ち出されず、中国の内需の弱さが顕著となってきたことも市況の下押し要因となっている。こうした中、4月2日に「OPECプラス」が5月から追加減産(日量115万バレルへ)を発表したことで原油市況がバレル80ドル前後を回復したことが下支え要因となっている。

 

 ポリスチレンの市況は3月末にトン1,260ドルと旧正明け後から約2.9%上昇となり、4品種の中では唯一、強含みの展開となっている。1月中旬以降、原料のスチレンモノマーの市況上昇が押し上げ要因になっている。スチレンモノマーメーカーが定期修理に入っていることも含め稼働調整をしていることが背景にあり、需給要因での上昇ではない。

 

 低密度ポリエチレンは旧正後の2月第2週にトン1,100ドルの高値を付けたのちに低下基調にある。3月末にはトン1,030ドルと高値から6.4%の下落となり、4月第2週でもトン1,025ドルと弱含みの展開にある。

 

中国の需要低迷が響くポリプロピレン、塩ビ樹脂

 

 ポリプロピレンは1月末の直近高値のトン990ドルから3月末には925ドルまで6.6%の下落となった。4月第2週に入ってもトン920ドル前後と軟調な展開となっている。中国での新エネルギー車の購入に対する補助金が打ち切りとなったことや家電、デジタル家電の需要が低迷していることが影響しているとみられる。

 

 塩ビ樹脂のアジア市況は3月中旬以降、軟調な展開にあり4月第2週ではトン860ドルと7%の下落している。インフラ関連需要の堅調なインド向けがモンスーン期の不需要期を控え、中国の建築向けなどの需要の弱さが影響している。北米品の輸入量の増加も懸念されるが原油高が下支えとなり、更なる値下がり余地は限定的な水準にある。

 

 

(叶 一真)

 

 

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