リチウム価格、個入れ観測広がる モルガンが見解、豪株は一時上昇
低迷してきたリチウム価格に底入れ観測が広がっている。米金融大手のモルガン・スタンレーのアナリストが5月5日、価格が底入れしたとの見解を示したと伝わった。報道を受け、関連企業が多く上場するオーストラリア株式相場は週明け5月8日に上昇。5月9日の時間外取引では利益確定売りに押されているものの、リチウム価格の先行きに明るさを感じる見方が増えている。
豪ネットメディアのフィナンシャル・レビューなどの外電が5月8日までに伝えたところによると、モルガン・スタンレーのコモディティ・ストラジリストであるマーク・ヴァン・ストラーテン氏が、リチウム価格について「今が底だと思う」と話した。中国の電気自動車(EV)販売が活気を取り戻しつつあることが背景にあり、「関係者の心理は明らかに改善しており、リチウムは在庫処理が進んでいる」と指摘したと伝わった。
モルガンは2023年のリチウム市場は赤字とみている。ただ、それでも「下期は需給が引き締まりそう」(ヴァン氏)で、下期の中国の炭酸リチウムの平均価格を「1㎏=25ドル」程度と予測したという。
この見解が伝わったことを手掛かりに、5月8日のオーストラリア株式市場では、代表的株価指数であるオーストラリアS&P/ASX200が前週末比0.78%高の7276.5に上げた。コア・リチウムなどのリチウム関連銘柄が急伸した。
過去1年間の中国の炭酸リチウム価格(99.5% china)(RMB/mt)
miruのプライスデータでも、中国の炭酸リチウム価格は4月26日に高値で17.5ドルに下げたのを底に、5月に入り18ドル程度にやや値を戻している。2022年11月に過去最高値(59万7500元)を付けた後、5か月余りで約7割も下落していた。ただ、足元では亜州金属網のデータで4月下旬に上昇が確認されるなど、一部で底打ちの兆しも出ていた。
(IRuniverse KURE)
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