週刊バッテリートピックス 「関西電がEV電池リユース」「9月にアジアバッテリー会議」など
2023年8月12-21日のバッテリー業界では、電気自動車(EV)電池のリユース、リサイクルに向けた官民挙げての取り組みや、海外でのイベント告知などの動きがあった。特に国内でも異業種である凸版印刷の業界参入があるなど、新興分野と見た他分野からの投資が活発化している。また、海外ではEV関連での米国勢と韓国勢の結びつきが一段と鮮明化一方、車載電池世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)の研究開発力も際立った。
<国内>
●関西電力、EVの使用済み電池の再利用で実証実験へ 東芝と
関西電力は8月18日、東芝エネルギーシステムズと共同で、電気自動車(EV)の使用済み電池を蓄電池システムに活用する実証実験を2023年度冬頃から実施すると発表した。蓄電池システムの利活用に関する各種サービスについて検証し、2024年度中に実用化する。
実証では、実設備の運用データの取得・分析に基づいてEV使用済み電池の特性や安全性を踏まえて事業性を評価し、様々な充放電パターンにおける経済性評価も実施する予定だ。
●凸版印刷、電池材料の電解質幕を生産へ 高知工場で
凸版印刷(東京都文京区)は8月17日に自社ホームページ上で、世界初となる独自の製造方式による触媒層付き電解質膜(Catalyst Coated Membrane、CCM)/膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)の生産設備を高知工場(高知県南国市)に導入したと発表した。高性能・高品質なCCM/MEAの量産が可能となり、8月より生産も発売する。
発表資料によると、CCM/MEAとは水素を製造する水電解装置、水素の貯蔵や運搬に関わる電解槽、そして水素を利用する燃料電池において中核となる重要な部材であり、来たる水素社会の実現には不可欠なエネルギー変換デバイス。凸版印刷はこれまで大型カラーフィルタの製造で培ってきた大サイズ均一塗工技術や、枚葉基板搬送技術などの製造技術を活用し、CCM/MEAを枚葉式で量産する。
<海外>
●miruがメディアパートナーを務めるバッテリー会議・展示会、9月にカンボジアで開催
第20回Asian Battery Conference and Exhibition (ABC,アジアバッテリー会議・展示会) および第8回International Secondary Lead Conference(ISLC, 国際二次鉛会議)が9月4日より、カンボジアのシェムリアップ(Siem Reap)にて開催される。MIRUは今年もメディアパートナーを務める。
第8回ISLC “RECYCLE100”
日時:2023年9月4日(月)、5日(火)
場所:Sofitel Angkor Phokeethra Golf & Spa Resort, Siem Reap, カンボジア
第20回ABC
日時:2023年9月5日(火)~8日(金)
場所:Sokha Siem Reap Resort & Convention Center, Siem Reap, カンボジア
関連記事: 蓄電池・鉛電池の国際会議 ABC、ISLCがようやく対面開催へ! 2023年9月カンボジアにて | MIRU (iru-miru.com)
●米フォード、韓国勢とカナダでEVバッテリー用正極材を生産へ
米自動車のフォード・モーターと、電気自動車(EV)用バッテリーメーカーの韓国SK On、バッテリー材料メーカーの韓国EcoProBMの3社は、カナダのケベック州ベカンクールにEV用バッテリー向け正極材料の工場を新設する。8月17日までにそれぞれ自社ホームページ上で発表した。
新工場の投資金額は12億カナダドル(約1291億円)で、2026年上半期に操業を開始する。ニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM)という正極活物質(CAM)を最大で年間4万5000トン製造する。これをフォードが北米で生産するEVに使い、サプライチェーンの強化を図る。
●中国CATL、高速充電のLEP電池を発表
中国車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は、8月16日に自社ホームページ上で、最新式のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー「Shenxing」を発表した。室温環境であれば10分間で80%まで充電できるという。
バッテリー容量など具体的な条件を明示していないが、Shenxingを使用したEVなら、10分間充電すれば400km走行できるとした。1回のフル充電で走行距離は700km以上になる見通し。2023年中にShenxingの量産を開始する計画だ。
(IR Universe Kure)
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