8月の銅の概況及び9月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 8100-8800ドル →
建値 121万-136万円 ↑
為替 145~150円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半 7月の米製造業景況感指数は好不況の分かれ目となる50を9カ月連続で下回り、景気の先行きを楽観視する軟着陸論が台頭した
などのプラス材料もあったがADP雇用指標が市場予想を大幅に上回り、米金融引き締めが長期化するとの警戒感が強まったこと、フィッチ・レーティングスが米東部時間1日夕に発表した米国債の格下げが投資家心理を悪化させたことを嫌気しDOWN。
8月15日時点で8242ドル(セツル)と月初価格より393.5ドル下落の締め。
後半は経営再建中の中国不動産開発大手の恒大集団が米連邦破産法15条の適用をニューヨーク連邦破産裁判所に申請し、中国経済の先行き懸念などのマイナス材料あったが米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数が市場予想より大幅に減り、労働市場の逼迫感が緩和しました。追加利上げ観測が後退を好感しUP
月末日 後半スタート価格から248.5ドルUPの8375ドル。
8月スタート建値は128万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
143.45 → 147.20(円)
出典 MIRU
【国内指標】
【自動車生産】
生産動態統計によると7月の自動車生産台数は前年比+13%の74万3347台
輸出は前年同月比+11.4%の36万9898台
◆自動車販売台数
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
7月の新設住宅着工は,貸家は増加したが,持家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比6.7%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比4.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 68,151 戸。
・前年同月比 6.7%減, 2か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 5,377千㎡。
・前年同月比 8.6%減, 6か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 778千戸。
・前月比 4.1%減, 2か月連続の減少
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
【輸出】
電気銅 +7.2%の6万3479t
スクラップ +28.4%の3万4098t
輸出推移
【輸入】
電気銅 -18.7%の728t
スクラップ -8.4%の10702t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
7月伸銅品生産量速報値は5万2,910トン、前年同月比17.2%減少した。19か月連続マイナスとなった。マイナス期間は、前回2018年末から2020年の25か月以来の長期である。
14品目中11品目が前年同月実績を下回った。このところ好調な銅線に加えて、今回銅板と黄銅板が前年同月実績を上回った。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比+1.8%の5万1800t
うち 国内+2.8% 輸出が -36.4%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
自動車生産】
生産動態統計によると7月の自動車生産台数は前年比+13%の74万3347台
輸出は前年同月比+11.4%の36万9898台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると7月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+19.4%の21万8365台
内 乗用車 +18.8%
貨物 +23%
バス +19.4%
【住宅着工戸数】
7月の新設住宅着工は,貸家は増加したが,持家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比6.7%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比4.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 68,151 戸。
・前年同月比 6.7%減, 2か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 5,377千㎡。
・前年同月比 8.6%減, 6か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 778千戸。
・前月比 4.1%減, 2か月連続の減少。
【伸銅品生産】
7月伸銅品生産量速報値は5万2,910トン、前年同月比17.2%減少した。19か月連続マイナスとなった。マイナス期間は、前回2018年末から2020年の25か月以来の長期である。
14品目中11品目が前年同月実績を下回った。このところ好調な銅線に加えて、今回銅板と黄銅板が前年同月実績を上回った。
伸銅品の各用途別の需要概況は、車載向け以外の半導体関連需要にも増える兆候が見えてきた。ただ、まだ本格的な回復と言えない。民生用途も中国を中心に需要の回復が遅れている。エアコンは、引き続き据え付け工事が進まないため、販売も伸びず、猛暑になっても回復しない。住宅設備関連は、着工件数の減少が見えてきて、全体的に低調である。
銅条
同比11ヶ月連続マイナス。3月以来の2万トン超えとなった。半導体は、車載向け以外にスポット的に増加が見られるが、全体を通すと低調である。自動車の在庫は、ティア1まで在庫解消したが、その下のサプライチェーンでまだ在庫を抱えている。
黄銅棒
同比19ヶ月連続マイナス。住宅設備向けは、ガス機器、給湯機器とも低調である。水栓金具も非接触タイプ以外伸びて来ない。
【電線】
前年比+1.8%の5万1800t
うち 国内+2.8% 輸出が -36.4%
銅
【輸出】
電気銅 +7.2%の6万3479t
スクラップ +28.4%の3万4098t
【見通し】
【自動車】
7月の自動車生産が+13%。8月国内販売台数が前年比+19.4%
7か月連続 生産,販売 共に回復の兆しあり今後に期待
【伸銅品生産】
7月伸銅品生産量速報値は5万2910トン、前年同月比17.2%減少し、19か月連続マイナスとなった。マイナス期間は、前回2018年末から2020年の25か月以来の長期である。
全体的に悪化しており回復のめどが立たない。
【電線】
前年比+1.8%の5万1800t
うち 国内+2.8% 輸出が -36.4%
自動車生産が堅調だがその他の減少大きく結果振るわず
今後に期待。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】今月銅建値が131万から127万と下落傾向だった
在庫は伸銅品生産減 発生減から在庫薄
需要面に関しては今月も自動車生産販売の回復から一定の需要は出るが民生用途も中国を中心に需要の回復が遅れている スマホ。エアコン需要の回復が遅れているため需給は低位安定
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
1、米FRBの金融政策
2、中国景気回復の動向
1に関しては
8月25日のパウエルFRB議長の講演で市場にサプライズを与えるものではなかったことから9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは想定されていないとの見解
2に関して
不動産バブル崩壊が深刻化する中国において大手デベロッパーの不良債権が次々と明るみにでている。 当局としては対策を出しているもののイタチごっこなのが現状。
景気後退は避けられない。
これらを踏まえた今月の銅価格は 8100-8800ドル(セツル)との予想。
ドル円値は145円~150円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては121万-136万円程度と予測している。
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