新着情報

2024/04/27   韓国2024年3月...
2024/04/27   MARKET TA...
2024/04/27   韓国2024年3月...
2024/04/27   韓国2024年3月...
2024/04/27   韓国2024年3月...
2024/04/27   タングステン輸出入...
2024/04/26   東京製鐵:24/3...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...
2024/04/26   【貿易統計/日本】...

鉄鋼業界の脱炭素化でリサイクル業者どうなる!?――BIR鉄鋼部門

欧州を拠点とした世界的なリサイクル業界団体であるBIRがが10月22~24日の日程で開催した「World Recycling Convention & Exhibition」(アブダビ)が終了した。23日に鉄鋼部門などは「製鉄所のグリーン・スチール推進に伴うスクラップの成長」と題したセッションを行った。本記事では、セッションのポイントを紹介する。

 

 鉄鋼部門セッションでは、今後数十年の間に鉄鋼業界が脱炭素化を目指す中でリサイクル業者がどのような影響を受けるのか、それが大きなテーマとなった。

 

 ゲスト・スピーカーであるDavis Index社のマーケット・マネージャー(アジア担当)、Kedar Joshi氏は、「革命はここにあり、私たちは皆その中にいる」と強調した。

 

 同氏は、過去3ヶ月の間に2つの重要な発表があり、スクラップ企業やリサイクル企業がようやく正当な評価を受けるようになったと指摘した。

 

 一つは7月、世界経済フォーラムである。現在から2050年までの間に、エネルギー転換のために65億トンの材料が必要となり、そのうち鉄鋼、銅、アルミニウムが約95%を占めると発表され、同フォーラムは、「金属のリサイクルを増加させなければ、これは不可能である」とした。もうひとつは、9月にあったマッキンゼーの発表である。それは「金属部門は、気候変動を抑制するための努力の基礎となる」と結論づけていた。

 

 こうした認識は、次のことを意味すると同氏は主張する。

 

➀鉄鋼産業は投資家や地域社会からの低カーボン・スコアの要求に応えるため、スクラップ利用率を高めなければならない。

 

②環境、社会、コーポレート・ガバナンス、カーボン・フットプリントの面で違いのある完成品への需要が高まることにより、スクラップ利用が促進される。

 

③アルミニウムなどの軽量な代替素材が鉄鋼を圧迫している

 

④電気自動車(EV)の普及が進み、シュレッダーの典型的な原料構成が変化している。

 

 一方でリサイクルされた鉄鋼を「戦略的資源」と認識するジョシ氏は、次のように警鐘も鳴らす。 「保護主義の高まりと、より良い国内サプライチェーンを求める政治的ニーズが、各国の市場で生まれている。これは従来の貿易ルートが変化させる。この傾向は今後も続く。保護主義の台頭はすでに明白であり、60カ国以上が国内生産者を支援するために輸出を禁止、あるいは制限しようとしている」と。

 

 その上で、「私たちはいま、30年にわたるリサイクル鋼材の需要サイクルの始まりにいる。新素材登場による大きな混乱がなければ、この新たな需要シフトは数十年長く続くだろう」と予測。

 

 同氏はリサイクル鋼材の市場を「インダストリー4.0」と呼び、講演の最期を次のように締めくくった。 「私たちの業界にとって、4.0の時代は、材料を識別し、選別し、加工し、出荷するために、より優れた技術を取り入れなければならない」。

 

 もう一人のゲストスピーカー、イタリアのDanieli Centro Recycling社で資本設備の国際営業のヘッドを務めるDavide Braga氏は、「鉄鋼需要は2050年まで緩やかな成長を続ける。鉄鋼業界はそれまでにCO2排出量を70%から90%削減することを検討している」と分析。その上で、「2050年までに生産に占める電炉(EAF)の割合は倍増し、直接還元鉄(DRI)の生産量も大幅に増加する」との見通しを示しながら、グリーン・スチールへの移行に伴う電炉の増産を賄うには、「年間3億トン以上のスクラップが必要となる」と、同氏は解説した。

 

 同セッションでは統計アドバイザーのRolf Willeke氏がBIRの第14版「World Steel Recycling in Figures」の最新版を発表。2023年上半期の世界の粗鋼生産量は9億4,390万トンとなり、2022年同期比で1.1%減少したと述べた。

 

 「私たちの計算などから、世界の鉄鋼生産では毎年約6億3,000万トンのリサイクル鋼材が使用されており、それによって約9億5,000万トンのCO2排出が抑えられ、同時にエネルギーの節約と天然資源の保護にもつながっている」と指摘した。

 

 国・地域別にみたその割合は、中国21.7%、EUで60.3%、米国で54.7%になったという。特に注目すべきは、「トルコの87.2%という高い数字だ」と同氏は話している。

 

 「2023年5月から6月にかけて、(リサイクル材になる)アメリカのHMS1とEUの80/20の価格は、それぞれ1トン当たり369ドルと378ドルに上昇した」とした上で、同氏は「これは、私たちのリサイクル鉄鋼市場が世界市場であることを示す素晴らしい兆候である。私たちは、グリーン・スチールへの道を歩む鉄鋼業界を支援することができる」と締めくくった。

 

 今回の「World Recycling Convention & Exhibition」にはメディアパートナーとしてIRUNIVERSE代表の棚町氏が出席し、現地の状況を報告している。

関連記事:

75年目のBIR 初の女性会長を迎えてのアブダビ大会は近隣の影響なく無事開幕

 

  BIRアブダビ2023 ステンレス スーパーアロイ市場展望

 

インドの新規大型銅製錬企業Adani社に聞いて察する日本の銅製錬の不安

 

世界のリサイクル鋼(鉄スクラップ)の使用状況について@BIRアブダビ

 

世界の貿易障壁、保護政策こそリサイクル産業の活躍するとき@BIRアブダビ

 

*BIR:

リサイクル産業の国際的な業界団体になる。約70カ国の業界団体やリサイクル関連企業加盟する。鉄鋼、非鉄金属、紙、繊維の4つの商品部門と、ステンレス・特殊合金、プラスチック、タイヤ・ゴム、E‐SCRAPの4つの商品委員会から構成されている。その主な目的は、リサイクルと再資源化を促進することにより、天然資源を節約し、環境を保護し、二次原料の自由貿易を促進することにある。

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る