ガリウム価格が一段高 2週間で2割上昇、中国連休終え動き 1年2か月ぶり水準
半導体材料のガリウムの価格が一段高となっている。10月31日の高値は1kg=550ドル。横ばいが続いたものの10月19日から段階的に値上がりし、2週間足らずで22%上げた。11月に入りやや上値が重くなっているが、それでも2022年9月以来ほぼ1年2か月ぶりの水準にある。
■磁石や半導体向け需要期待根強く
過去3か月間のガリウム価格の推移(EU Freemarket)($/Kg)
中国が8月1日からガリウムやゲルマニウムの関連製品を輸出規制の対象に含めてから、3か月間が経過した。10月は初旬に中国で中秋節や国慶節の連休があり、その間はガリウムなどの輸出審査も中断されたため価格も横ばいだった。
しかし、10月半ばになり中国国内のガリウム価格に動きが出始めた。ロイター通信は10月下旬、中国国内のガリウム価格について「磁石や半導体向けガリウムの需要が9月から改善している」とのアナリストの話を伝えた。先行きの需要期待が根強い中、国際価格にも動きが出始めたようだ。
過去3年間のガリウム価格の推移(EU Freemarket)($/Kg)
ガリウム価格は7月3日に中国当局が輸出規制を発表してからでは、2.1倍に上昇した。ただ、2022年5月に600ドル超まで上げており、この水準に再び達するかは不透明だ。
中国の規制も禁輸ではなく輸出規制で審査を通過し許可を獲得すれば輸出が可能だ。実際、米化合物半導体基板大手のAXTは9月20日、北京子会社が特定の顧客へのガリウムヒ素およびゲルマニウム基板の出荷を再開するための最初の輸出許可を取得したと発表した。一応は認可を取得した企業が出ている中で、中国政府の意向は本当にはどうなのか、なお様子を見極めたいとする関係者は多い。
■ゲルマニウムは小幅安
同時に輸出規制の対象となったゲルマニウムは相変わらず動きが鈍い。金属ゲルマニウムは10月31日に高値で1kg= 1450ドルと10月の1ヶ月間では3%下落した。8月1日の規制開始からでは7%安い水準にある。酸化ゲルマニウムも小幅安となっている。
過去3か月間の金属ゲルマニウム価格の推移(9.99%China)($/Kg)
(IR Universe Kure)
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