栗田工業、使用済紙おむつの分別処理装置の事業展開を開始
栗田工業株式会社(東京都中野区、社長:江尻 裕彦)は、循環型経済社会構築の実現に向け、使用済紙おむつの分別処理装置「クリタサムズシステム®」の本格的な事業展開を開始した。
■本装置の概要
日本国内では、使用済紙おむつは主に一般廃棄物として廃棄物処理業者や地方自治体などの焼却施設で処分されている。また、今後は高齢化社会の進行等による廃棄物量の増加が予測される。同装置は、従来焼却処分されていた使用済紙おむつを殺菌・洗浄・分解し、プラスチック類とパルプ類に分別し再資源化を可能にするもので、この装置の適用により廃棄物量や焼却に伴うエネルギー消費量、CO2排出量の削減が見込めるという。
実機の外観
■実用化までの経緯
同社は「水と環境」の事業領域で培った知見・ノウハウを活かして本装置の開発を進め、環境省による実証事業 ※1 を通じて性能の検証を重ねてきた。その結果、現場での実機試験により使用済紙おむつのプラスチック類とパルプ類への分別と、分別したプラスチック類をパレット等のプラスチック製品として再資源化できることを確認した。また、同装置を用いた再資源化により、焼却処分と比較し約40%のCO2排出量削減効果が得られた。
■1号機の受注
同社は本装置の本格的な事業展開を開始し、廃棄物処理関連業者である株式会社BEaR(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:新美 三良)より1号機を受注した。再資源化やCO2排出量の削減に加え、同装置の特長である破袋機能 ※2 により、衛生面の改善や作業効率の向上を実現できる点が評価された。
■今後の展開
同社は廃棄物処理業者や地方自治体を中心に、同装置の販売や薬剤供給・運転管理支援等の付帯サービスの契約化を展開・推進し、循環型経済社会構築への貢献、脱炭素社会実現への貢献を目指す。将来的にはリサイクル用途の拡大や、分別処理したパルプ類を含む処理水にメタン発酵技術等を適用することによるエネルギー創出など、限りある資源や再生可能な資源を最適な方法で利活用できる技術・サービスを開発・展開し、持続可能な社会の実現に貢献していく。
※1令和3~4年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業に採択。
※2 ビニール袋を自動で破袋することにより、使用済紙おむつを袋から取り出すことなく機内に投入できる機能。
(IR universe rr)
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