住友金属鉱山:サステナビリティ説明会をハイブリッドで開催②: 東予工場の技術の変遷
12月6日に開催した住友金属鉱山のサステナビリティ説明会の続き。説明に使われた資料はこちら。
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⇒「住友金属鉱山:サステナビリティ説明会をハイブリッドで開催①: 事業を支える人材マネジメント」
【事業を支える人材マネジメント】・・・続き
<自律的な成長を支援する人材育成>
〇従業員意識調査
●2010年から3年に1回実施▶2023年から毎年実施
●調査対象:グループ会社含め10社5,153名(2021年度)
●質問項目:141項目
●回答率:94.4%
●フィードバック:説明会約30回、社内報等でデータ開示
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調査結果の課題
●自由闊達な組織風土のさらなる浸透▶「自由闊達」の定義を明確化し、周知
●人事施策の魅力の向上
▶「総合職人事制度改正」を実施
出所:会社発表資料よりIRU作成
〇健康経営
●メタボリックシンドローム予防改善の特定健康診査、特定保健指導
●オンライン禁煙プログラム
●個人向け健康ポータルサイト「MY HEALTH WEB」開設
●ウォーキングイベント「歩フェス」
●食生活、女性の健康などをテーマに健康セミナー実施
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生産性向上・組織活性化へ
〇次世代経営層育成
●役員塾
執行役員と塾生(若手社員8~10名)が各塾で独自に設定したテーマで共に学び、職場で実践活用することを目指して活動。
●MMP(ミドルマネジメントプログラム)
次世代を担うミドル層の底上げを図るために、30~40代社員を選抜し、経営陣が講師となり約5カ月間にわたり討議を実施。
〇次世代経営層育成
●次世代経営幹部育成研修
近い将来当社を牽引する40歳代後半のリーダー人材を選抜し、経営感覚を身に付ける実践的プログラムを約9カ月間にわたって実施
●トップランチ会
本社の若手~ミドル層の融和と活性化を図るため、毎月社長と若手社員のランチ会を開催。
2020年2月より開催し、延べ93人が参加
〇人事制度改正
一人ひとりが挑戦・変革・成長できる人材へ
2023年7月に総合職人事制度を改正、成長戦略を確かなものとする抜本的な人事制度見直しを実施
出所:会社発表資料よりIRU作成
〇自律的成長を支援/1on1ミーティング
●自主的に学べる研修を充実
・eラーニング
・通信教育
・外国語研修
・外講座受講補助
・オンライン動画学習
●1on 1ミーティング
上司と部下間のコミュニケーションの質を上げ、一人ひとりの能力を引き出し、成果を上げる
組織を構築することを目的に、部下が主体となった1on1ミーティングを実施
●キャリアデザイン研修
入社2年次研修を起点に、35歳、43歳、50歳、58歳時点で年代特有のキャリア課題を踏まえながら、自身のキャリアの振り返りを通して、今後のキャリア目標や行動計画を明確化する研修を実施
〇企業の成長を加速させる人材マネジメントへ
一人ひとりが自律的に働き、成長する組織でさらなる変革を目指す
出所:会社発表資料よりIRU作成
【東予工場の技術の変遷】
<同社の製錬・銅事業(At a Glance)>
同社の歴史と製錬・銅事業の歴史
住友の源流である銅製錬事業は、京都で銅吹きと銅細工を開業したことにはじまり、以来、時代の変化にあわせて変革を続け、現在も同社の「モノづくり力」を支える中核事業である。
出所:会社発表資料よりIRU作成
<銅製造フロー(銅精鉱から電気銅まで)>
銅精鉱中の不純物を除去し、銅品位99.99%の「電気銅」へ
出所:会社発表資料よりIRU作成
<銅製錬事業の損益構造イメージ>・・・あくまでのイメージであって、実際のものを示したわけではない
加工賃(TC/RC)が製錬側の主な収益となり、円安が収益を押し上げる
出所:会社発表資料よりIRU作成
●為替変動の影響
・TC/RCはドル建てであるため、為替が円安に動くと、円ベースでの「製錬所の取り分」が増える。
・製錬所コストは(国内で発生するコストなので)円ベースでは変わらないため、『円安』は国内製錬所にとって”追い風”となる。
●銅価格変動の影響
・銅価格が変動してもTC/RCは基本的に変わらないため、銅価格上昇によるメリットの殆どは鉱山側が享受することになる。
・逆に言うと、銅価格が下落しても、製錬所側の収益下落は限定的といえる。
<銅価格 vs TC/RC>
毎年のベンチマークTC/RCは、銅精鉱の需給バランス等で決まる
出所:会社発表資料よりIRU作成
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<東予工場の利益の源泉>
「コスト競争力」が、利益の源泉としての鍵を握る
出所:会社発表資料よりIRU作成
<精鉱熔解量の推移>
各工程の設備能力増強に加えて、製錬技術の絶え間ない向上により、自熔炉の処理量を約5倍に
出所:会社発表資料よりIRU作成
<電気銅生産量の推移>
近年は40~45万トン/年の電気銅を安定的に生産
出所:会社発表資料よりIRU作成
<グループ内の他事業との連携>
東予工場は同社サプライチェーンの要
出所:会社発表資料よりIRU作成
※回収した有価物は、原料の4分の1
※コバルトとニッケルのリサイクル設備を今後設置予定
<主なQ&A>
〇事業を支える人材マネジメントについて
Q、同社は同一性が高く、独自路線を走っているように見えるが・・・
A、離職率が低いことは影響しているのかも。10年働かないと損だとの認識が高い。寮施設などが充実していることも影響しているのではないかと思う。
Q、女性の採用はどうすれば上がるのか?
A、これまで、工学部は、茶の水女子大と奈良女子大の2校しかなかったが、今後は増加してくこともあり、他大学にも広めていく。
Q、海外志向が低下してきているとの説明があったが、ライバルである商社に負けているのでは?
A、弊社でも海外で活躍できるということを対外的にアピールしていく。
Q、意識調査では否定的な人が過半数を占めているのに、離職率が低いのはどうして?
A、言いたいことが言える組織ができているためと思う。
〇東予工場の技術の変遷
Q、海外の投資家から、御社をレコメンドした際、東予工場があるから、買えないと言われる。御社における東予の位置づけなど対外的にアピールしたらどうか?
A、おっしゃる通り。東予が無ければ硫酸、金、ニッケルなど他事業への影響を持つ重要なポジションだということを対外的にアピールしていく。
Q、カーボンニュートラル・エネルギー効率について
A、石油からLNGに変換。できることをコツコツやっていく。
自溶炉での、参加熱を活用。精鉱バナーを一本化したが、これは他社では真似ができない世界トップクラスの技術力。
(IRuniverse 井上 康 )
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