米国の対ロ追加制裁、シベリア亜鉛鉱山の運営企業が対象に タンタルでも議論か
米政府は12月12日、ロシアのウクライナ侵攻を巡る措置として、合計約250の団体・個人を制裁対象に加えると発表した。ロシアの金や亜鉛の生産大手のほか、タンタルなどレアメタル関連企業も対象となった。また対ロ支援や迂回貿易の手助けを行っているとして、中国や北朝鮮、トルコなどの機関や企業も対象に加わった。
■オリガルヒが建設し中国が出資する亜鉛鉱山
制裁対象となった団体や個人には、米国内の資産凍結や取引禁止といった措置が下される。
今回の制裁は、米財務省が約150、米国務省が約100の団体・個人をそれぞれ対象とした。このうち国務省は、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)であるウラジスラフ・スビブロフ氏と、同氏が運営するロシア第7位の金生産会社ハイランド・ゴールド・マイニング社および関連企業を制裁対象に含めた。スビブロフ氏の企業グループはシベリアのオゼルノエで大規模な亜鉛鉱山を建設中で、中国国有の中国有色金属建設が長年にわたり投資している。グループには金融会社なども含まれることから、広範な範囲の企業が制裁対象となった。
米国はまた、液化天然ガス(LNG)をめぐっても制裁を強化。ロシア資源大手のガスプロムが同国北西部のバルト海港で運営するLNGターミナルの開発会社を制裁対象とした。
ほかには兵器の調達ルートとして、中国人実業家の胡暁訊氏の香港拠点企業などのネットワークを挙げた。また、北朝鮮とロシアの貿易阻止のために関連企業に制裁を科したほか、トルコやアラブ首長国連邦(UAE)がロシアの中国製兵器調達の拠点になっているとして、関連企業を対象に含めた。
■金属関連、制裁の波広がるか
ロシアは言わずと知れた資源大国であり、制裁対象には金属を含む資源関連会社が毎回のように含まれる。金属関連の情報会社であるプロジェクト・ブルーは12月13日、リンクトインに「オーストラリアの鉱山企業ライオン・リソーシズが米国防省との間で、タンタル濃縮物の供給に関し議論した」と投稿した。今後の世界の鉱物供給状況によっては、レアメタルも制裁対象に含まれてくる可能性もある。
プレスリリース(対象リスト、英語)
米国務省: Taking Additional Sweeping Measures Against Russia - United States Department of State
(IR Universe Kure)
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