酸化イットリウム輸入Report #35 名古屋の輸入量減少 大阪と神戸の輸入量増加
日本の酸化イットリウム輸入は、2020年以来の少ない輸入量となっている。しかし、2023年8月に中国から久々に200トンを超える輸入があり、10か月ぶりに輸入量の前年同月実績を上回った。
【1】酸化イットリウム輸入概況
財務省の貿易統計によると、2023年10月の日本への酸化イットリウム輸入量は138トンだった。前回報告した2か月前に、年初来、久々に200トンを超えていた。ただ、その後、2か月間は再び200トンを割り込んだ。前年同月比13.5%減少し、2か月続けてのマイナスとなった。まだ、200トンを超えていた1年前よりも少ない。ただ、1年前は、この後、100トンを下回るところまで輸入量を減らしていた。そこから見ると、現在の輸入量は100トンを超えている。
2023年1-10月の同累計輸入量は1,133トン、前年29.5%減少となった。引き続き2020年以来の少ない輸入量となっている。
10月の酸化イットリウム輸入平均単価は、キロ当たり1,445円、前月より265円安だった。4月以降、1,500円を挟んで推移している。
【2】酸化イットリウム輸入先
日本の酸化イットリウム輸入は、輸入量全体の9割以上を中国に依存している。2023年の輸入量は、昨年を大きく下回っているが、これは中国からの輸入量が昨年終盤以降、減っているためである。ただ、昨年終盤に中国からの輸入量が大きく減ったが、今回10月までの直近3か月は、中国からの輸入量は少し増えてきた。
同輸入量の残り1割未満を見ると、オーストリアと米国からの輸入でほぼ占められている。ただ、米国からの輸入は、少量ながらも毎月入荷が続いているが、オーストリアからの輸入は、2023年4月以降、頻度が減っている。また、ドイツから輸入は、オーストリアからの輸入頻度以上に減っている。
中国からの同輸入平均単価は、昨年前半まで急騰したまま、高値圏に留まっている。ただ、高騰している中国からの輸入平均単価も、米国やオーストリア、ドイツからの単価と比べると、安価に見える。まだまだ、中国からの輸入に独占された状態が続きそうだ。
2023年10月の日本への酸化イットリウムの主な輸入先と輸入量とキロあたりの輸入平均単価は、以下の通りである。
中国 134.7トン1,358円
米国 2.9トン5,499円
【3】酸化イットリウム税関別(参考データ)
財務省が報告している10月の酸化イットリウムの税関別輸入量の合計は、3か月ぶりに輸入先の合計と一致した。月によって税関別の輸入量が少ないことがあるため、参考データになるが、2023年の同輸入量を税関別に見ると、名古屋の輸入割合が大きく減り、大阪と神戸の割合が拡大している。神戸は、昨年に続き2年連続で増加している。また大阪は、3年連続の増加となっている。
また、門司が減り、博多が増えている。小松島も大きく増加した。
10月の主要な輸入税関と輸入量、キロあたりの輸入平均単価を示す。
神戸 61.9トン1,233円
小松島 8.0トン1,019円
大阪 18.0トン1,709円
名古屋 48.0トン1,587円
博多 1.4トン4,866円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(IRuniverse/K.AKIYAMA)
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