チタン鉱石輸入Report#54 イルメナイト以外 カナダからの輸入増加 南アフリカ超え
日本のチタン鉱石輸入は、イルメナイトが過去最低だった2020年より3割以上減少している。イルメナイト以外も多くの輸入先からの輸入量が減少している。ただ、カナダからの輸入が増加し、南アフリカの輸入を超えている。
【1】イルメナイト以外のチタン鉱石輸入概況
財務省の貿易統計によると、2023年10月イルメナイト以外チタン鉱石輸入量は1万8,809トンだった。前年同月比2.5%減少し、2か月続けてのマイナスとなった。
10月の同輸入平均単価は、キロ当たり155円、前月より88円安だった。前月は、4か月前の最高値記録を更新したが、今回、1年半ぶりの安値となった。
2023年1-10月の同累計輸入量は、18万9,915トン、前年比18.3%減少した。極端に輸入量が減った2021年の同累計は大きく上回っているが、それを除くと、2014年以来の少ない輸入量となっている。
【4】イルメナイト以外のチタン鉱石輸入先と税関
これまでイルメナイト以外のチタン鉱石の輸入は、南アフリカからの輸入が先導していた。ただ、2023年は、2か月に一度、1万トンを超える輸入が続いているカナダから輸入が南アフリカからの輸入を上回っている。
そのカナダからは、同輸入平均単価も緩やかな上昇が続いている。前回、少し報告したが、カナダからの輸入平均単価は、他の主要な輸入先と比べても、特に高くなく、中庸である。ただ、他の輸入先の同輸入平均単価が月によって上下動しているのに対して、カナダからの同輸入平均単価が、上下動が小さく、上昇が止まらないところが気になる。
南アフリカからの同輸入平均単価は、カナダを含む他の輸入先よりも安価である。そのため、カナダからの輸入量が南アフリカから量を上回ると、日本の全体的な同輸入平均単価の上昇が止まらなくなる可能性がある。
2023年10月のイルメナイト以外のチタン鉱石の主な輸入先と輸入量、キロ当たりの輸入平均単価は以下の通りである。
カナダ 3,003トン248円
南アフリカ 1万5,646トン136円
また10月のイルメナイト以外のチタン鉱石の主な輸入税関と輸入量とキロあたりの輸入平均単価は、以下の通りである。
四日市 1万2,506トン118円
戸畑 3,000トン206円
【3】イルメナイトチタン鉱石輸入概況
財務省の貿易統計によると、2023年10月のイルメナイトチタン鉱石の輸入量は195トンだった。輸入の無かった前月に続き、同輸入の急ブレーキがかかり続けている。
10月の同輸入平均単価は、キロ当たり118円だった。最高値記録を大幅に更新した。ただ、輸入量も極端に少ないため、110円を超えるこの値がこのまま続くのかは、もう少し様子を見て判断したい。
2023年1-10月の同累計輸入量は前月と同じ6万4.417トン、前年比57.2%減少となった。これまで2011年の同輸入量を下回って最も少なかった2020年でも、同累計は9万トンを超えていた。それを3割以上大きく下回っている。
【4】イルメナイトチタン鉱石輸入先と税関別
今回10月は、全てオーストラリアから神戸への輸入分である。
最近、イルメナイトチタン鉱石は、小名浜と大阪に集約化が進んでいる。神戸には、これまでにも少量の輸入があった。今回10月もその少量の輸入となっている。
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(IRUNIVERSE/K.AKIYAMA)
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