「資源の確保、素材の安定供給を継続的に果たしていきたい」――日本鉱業協会2024年賀詞交歓会
日本鉱業協会は10日都内のホテルで、4年ぶりとなる「日本鉱業協会2024年賀詞交歓会」を開催した。冒頭挨拶に立った野崎明会長は、コロナの5類感染症への移行、G7での重要鉱物を巡る5ポイントプランの採択、米中をはじめとする国内外の経済状況などに触れて23年を振り返りながら、「長期的な非鉄金属需要は、GXの実現に向けて増加していくことに変わりはない」との認識を示した。その上で「協会の社会的使命である資源の確保、素材の安定供給を継続的に果たしていくために将来に向けた課題に着実に取り組んでいくことが肝要」と2024年の活動の舵取りについて抱負を語った。
野崎会長
野崎会長は冒頭でまず、年初に発生した能登半島地震を巡る被災者へのお見舞いの言葉とともに、早期復興への期待を表明した。また乾杯の音頭では、今回の震災を慎み「ご安全に」という発声がなされた。
将来に向けた需要な課題として、➀資源の安定確保②電力問題③リサイクルによる持続的な循環型社会の構築④人材確保等育成の強化――の4つを挙げた。
➀資源の安定確保については「資源獲得競争の激化や資源ナショナリズムの高まりの中でわが国の総力を挙げた戦略的な資源外交がますます重要になるものと考える」とした。
②電力問題を巡ってはFIT賦課金の減免措置の維持・拡大を要望した上で、ベースロード電源の確保のため「安全性が確認された原子力発電所の再稼働の更なる推進が必要」と言及した。
③リサイクルによる持続的な循環型社会の構築では、長年培ってきた有価物の回収や無害化処理の技術・ノウハウを兼ね備えている国内製錬所のアジア圏での競争優位性に触れながら、「国内製錬所の維持・強化やLiBリサイクの技術開発に積極的に取り組んでいる」と述べた。
④人材確保等育成の強化を巡っては、大学や大学院での資源関係のカリキュラムの廃止や少子化などの課題を挙げ、「専門的な人材の確保・育成が非常に困難になっている。会員各社は大学への寄付講座の提供や共同研究などを通じた産学連携を積極的に進めることで人材を育成する活動を行っている」と、業界レベルでの取り組みに触れた。
来賓として挨拶に立った経済産業省の定光裕樹資源・燃料部長は、「約2000億円の資金枠を重要鉱物の資源開発・リサイクル・資源外交などを強化していくために、一昨年の補正予算でJOGMECに確保しているところ」と、政府の取り組みに触れた。また今年見直しの議論がなされる予定のエネルギー基本計画については、「電力の安定供給、特に原子力、再エネを含めたクリーンな電源を安定的に確保することは引き続きエネルギー政策の中でも根幹の重要な課題だ」と強調、「しっかり新しい道筋を描いていきたい」とした。
定光資源・燃料部長
(IRuniverse G・Mochizuki)
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