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Americas Weekly2024#2 リチウム抽出実用化 大統領選挙に新風

★リチウム直接抽出技術が米国で実用化へ チリ政府が導入を表明し世界が注目

 

 リチウム採掘による環境破壊が問題となる中、地下水のくみ上げによる悪影響を大幅に軽減するリチウム抽出プラントが、年内にも米国で実用化されそうだ。リチウム生産で世界第2位である南米チリのボリッチ大統領が国内の採掘現場に導入することを明らかにしたことで世界から注目された技術で、リチウム精製までの時間の短縮も期待される。

 

 リチウム採掘会社のインターナショナル・バッテリー・メタルズ(IBAT、本社・カナダ)は1月11日、自社が開発した可動式のリチウム直接抽出(DLE)プラントを米国西部の顧客に貸与すると発表した。貸与する企業名は明らかにしていないが、6カ月以内に、このプラントを使用して米国内でリチウムの抽出をスタートさせるという。事業が始まれば、DLEの商業稼働は世界で初めてとなる。

 

 現在のリチウムの生産は、リチウム鉱石を採掘する方法と、塩湖からくみ上げた塩水を天日で1年以上干す方法の、2つの製法が主流だ。鉱石からの採掘は大量の電気が必要となり、塩水を干す方法では大量の地下水のくみ上げと干すための広大な敷地、長い時間が必要となる。

 塩湖がある周辺は乾燥した地域で、元々、生活用水が不足している。南米などではリチウム開発で地下水を大量にくみ上げることで、周辺に住む先住民の飲料水や農業用水が枯渇してしまうという被害が後を絶たない。先住民の反発を招き、リチウム事業の存続を危うくする原因となっている。

 

 これに対しDLEは、くみ上げた水から直接、リチウムを抽出するため、広大な敷地で水を干上がらせる必要がない。さらにリチウム抽出後の水のほとんどを地下に戻すことができ、地下水枯渇の原因にはならないとされる。

 IBATによると、同社のDLEプラントの設置面積は1.2ヘクタール以下で、くみ上げた地下水の98%がリサイクルできるという。

 

 チリでは、左派のボリッチ政権がリチウム採掘の国有化を目指しており、2023年4月に発表した「国家リチウム戦略」では、環境破壊の原因となっている蒸発池を撤去すると同時に、それに代わる製造手段としてDLEを導入することを明らかにした。リチウムの世界生産2位のチリでDLEが広く設置されるとなれば、DLEの需要が拡大することから、これまではすき間を埋めるような技法だと思われていたDLEの存在感が急速に高まった。

 

 DLEについては、アルベマールやエクソン・モービル、ゼネラル・モータースなども独自に開発しているが、いずれも実用実績はない。

 DLEもリチウム抽出の過程で大量の電力が必要となることには変わりはなく、商業稼働が始まっても、技術的問題が見つかる可能性はあり、手探りでのスタートとなる。

 

★「バイデン対トランプ」でないかもしれない ヘイリー氏への追い風が旋風になるか 

 

 米大統領選の候補者選びは、1月15日のアイオワ州での共和党党員集会からスタートする。共和党ではドナルド・トランプ前大統領が各種世論調査で終始優勢を保ち、11月の本選は「バイデン対トランプ」になるとの見方が大勢を占めているが、米大統領選はそんなに甘いものではない。両党とも別の候補者で本選を迎える可能性があることを頭に入れておく必要がある。

 

 アイオワ州の共和党党員集会を直前にして、ニッキー・ヘイリー元サウスカロライナ州知事の追い上げが加速している。11日に発表されたサフォーク大学の世論調査では支持率が20%になり、フロリダ州のロン・デサンティス知事に7ポイントの差をつけ、54%のトランプ前大統領に次いで2位となった。

 13日に発表されたNBCの世論調査でもヘイリー氏の支持率は20%で、デサンティス氏を4ポイント上回った。

 

 両世論調査でヘイリー氏の支持率がデサンティス氏を上回り、2位になったのは初めてだ。NBCの調査ではトランプ前大統領の支持率は12月の51%を下回る48%だった。

 アイオワ州は白人の人口が約90%を占め、ブルーカラーが多いことから、トランプ前大統領の予備選勝利は間違いないとみられているが、ヘイリー氏がどこまで票を伸ばすかが注目されている。

 

 アイオワ州では、トランプ前大統領が再び共和党候補になることを恐れる民主党員が、共和党に鞍替えして有権者登録する動きがみられている。こうした有権者はトランプ前大統領に似た政策を掲げるデサンティス氏に流れることはなく、「中道路線」のヘイリー氏に投票する。有権者登録は予備選当日でもできるため、鞍替えが予備選の結果にどう影響するかは投票が終了するまで読み切れない。

 

 アイオワ州での予備選でヘイリー氏が善戦した場合、23日に予定されているニューハンプシャー州での予備選の注目度が一気に高まる。ニューハンプシャー州は穏健派の共和党員が多く、トランプ前大統領が「楽勝」できる環境ではない。

 

 11日に発表されたエマーソン大学の世論調査では、トランプ前大統領の支持率は44%で、前回11月の調査に比べ5ポイント低下した。これに対しヘイリー氏は10ポイント増の28%で2位。3位はクリス・クリスティー前ニュージャージー州知事で12%を得ているが、クリスティー氏は10日に大統領選からの撤退を表明している。反トランプのクリスティー票は、ほとんどがヘイリー氏に流れるとみられ、ヘイリー氏がニューハンプシャー州で勝利する可能性は十分にある。

 

 ニューハンプシャー州でヘイリー氏が勝利すれば、大きな流れをつかむこともありえるとみられており、トランプ前大統領の足元を揺るがすことになりそうだ。

 

 一方の民主党は、バイデン大統領の支持率の低下に悩まされている。2023年12月18日に発表されたモンマス大学の世論調査では支持率は34%で、就任以来最低を記録した。NBCが各種世論調査をまとめたところ、再選を目指す大統領のこの時期の支持率としては、バイデン大統領の支持率はオバマ元大統領、トランプ前大統領よりも低いという。

 

 バイデン大統領の高齢への懸念も根強い。現在、81歳。公務中につまずいたりすることがメディアの格好のネタになっている。健康状態に変化があった場合、選挙戦に決定的なダメージを与える。

 民主党内の「このままではトランプを勝たせるだけだ」との声は日に日に高まっている。アイオワ州でみられる民主党員の捨て身の鞍替えが全国に広がれば、バイデン大統領への批判はさらに強まる。

 過去の大統領選で再選を目指した大統領が本格的な選挙戦を展開しながら、途中で撤退したケースはある。

 

 ベトナム戦争の只中に行われた1968年の大統領選で再選を目指したリンドン・ジョンソン大統領は、予備選が始まった後の1968年3月に選挙戦から撤退した。健康上の理由だった。ジョンソン氏を引き継ぐ形でヒューバート・ハンフリー副大統領が大統領選に参入し、民主党の指名争いで勝利した。しかし本選で、共和党のリチャード・ニクソン氏に破れた。

 

 ジョンソン氏はケネディ大統領が暗殺されたため、副大統領から大統領になった。1968年の大統領選ではロバート・F・ケネディ元司法長官が民主党候補者レースに名乗りをあげたが、選挙期間中に暗殺されている。

 「何が起きるか分からない」というのが大統領選の常識だ。激動の時代に、先が見えるような展開を予想する方が難しい。

 

 

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Taro Yanaka

街ネタから国際情勢まで幅広く取材。

専門は経済、外交、北米、中南米、南太平洋、組織犯罪、テロリズム。

趣味は世界を車で走ること。

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