富士フイルム 熊本拠点に60億円投資、イメージセンサカラーフィルター生産増強
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、電子材料事業を さらに拡大するため、熊本拠点に約 60 億円の設備投資を行う。
今回、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:小林 茂樹、以下 FFEM)が、熊本県に立地する同社生産子会社の富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング株式会社九州エリア(以下 FFMT 九州)に、イメージセン サー用カラーフィルター材料の生産設備を導入する。なお、本設備は2025 年春の稼働を予定。
イメージセンサーは、光を電気信号に変えて映像化する半導体で、デジタルカメラやスマートフォンなどに搭載されている。近年、自動車やセキュリティ機器などへの用途がますます広がる中、イメージセンサー市場は年率約 7%※1 で成長することが見込まれている。
富士フイルムは、イメージセンサー用カラーフィルター材料を静岡と台湾の新竹で生産。また、韓国(平沢)でも同製品の工場の建設を進めるなど、生産拠拠点を拡充している。さらに、高度な機能性分子技術やナノ分散技術などを生かして、可視光領域にとどまらず、広範囲な波長領域をターゲ ットとした製品の開発と市場導入を促進。Wave Control Mosaic(以下 WCM)※2 として製品展開を図 り、ビジネス拡大を進めている。
今回、FFEM は、イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産能力拡大に向けて、FFMT 九州に最新鋭の生産設備を導入する。また、クリーンルームを設置するとともに、最先端の検査機器を導入し、 品質保証体制を構築。静岡拠点と同様の生産・品質保証体制とし、BCP 対応をさらに強化することで、 より安定的な供給を実現する。
今後、富士フイルムは、イメージセンサー用カラーフィルター材料において世界 4 拠点の生産体制の下、高い品質基準で生産・提供し、トップメーカーとしての供給責任を果たすとともに、顧客ニーズにあ った新規製品の市場導入を加速させることで、WCM の売上拡大を目指す。
尚、FFMT 九州では、半導体製造プロセスの基幹材料である CMP スラリー※3 を生産する最新鋭設備を 2024 年 1 月中に本格稼働させる予定。
富士フイルムは、2023 年 10 月、米国の半導体材料メーカーEntegris, Inc.(インテグリス社)の半導体用プロセスケミカル事業を買収した。これにより強化した、幅広い製品ラインアップやグローバル での安定供給体制、さらには高い研究開発力や顧客との強固な信頼関係も強みに、事業成長を加速させ、2030 年度には電子材料事業で 5,000 億円の売上を目指す。
※1 市場調査会社「テクノシステムリサーチ」の「2023 年上期版 CCD&CMOS 市場のマーケティング分析」より。
※2 広範囲な波長の電磁波(光)をコントロールする機能性材料群の総称。デジタルカメラやスマートフォンに用いられる
CMOS センサーなどのイメージセンサーのカラーフィルターを製造するための着色感光材料を含む。
※3 硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤。
(IR universe rr)
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