新着情報

2024/05/06   半導体市況近況20...
2024/05/06   2024年3月 粗...
2024/05/06   週刊バッテリートピ...
2024/05/05   米IRA、黒鉛など...
2024/05/04   MARKET TA...
2024/05/03   バナジウム市場近況...
2024/05/03   新旧民間航空機の受...
2024/05/03   民間航空機受注納入...
2024/05/03   日本製鉄:USスチ...
2024/05/03   アングロ買収、グレ...
2024/05/03   MARKET TA...
2024/05/02   中国の三元系、LF...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   東京製鐵:省エネ法...
2024/05/02   住友商事:アンバト...
2024/05/02   加パンアメリカンシ...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   チタン:貿易統計と...
2024/05/02   EVバッテリーリサ...
2024/05/02   原油価格の動向(5/1)

アドテックプラズマテクノロジー(6668) 24/8Q1決算メモ 悪材料織込みポジティブ継続

24/8Q1は20.8%減収69.9%営利減、受注54.8%減で受注残36.4%減と低迷続くもボトムに

株価(1/17)1459円     時価総額128億円   発行済株8,586千株

PER(24/8期DO予:6.9X) PBR(1.16X) 配当予20円 配当利回り1.3%

 

要約 

・24/8Q1は20.8%減収69.9%営利減、受注54.8%減で受注残36.4%減と低迷続く

・24/8期予想変更なく下期本格回復期待で2.4%増収8.1%営利増予想

・25/8期は半導体事業の本格回復、光学薄膜向けも加わり収益急拡大期待

 

 

24/8Q1は20.8%減収69.9%営利減、受注54.8%減で受注残36.4%減と低迷続く

 

 24/8Q1決算が1/12に発表され、売上高24.04億円(20.8%減)、営業利益1.74億円(69.9%減)、受注16.21億円(54.8%減)、受注残高69.09億円(36.4%減)と、半導体製造装置の不振で在庫調整進まず低迷継続に。

 

 事業別に半導体・液晶関連事業が売上高22.91億円(18.1%減)、営業利益2.01億円(63.4%減)、受注14.60億円(55.4%減)、受注残高58.65億円(41.9%減)。

 

 四半期での地域別売上では、日本が9.38億円(26.8%減)と、エッチャー向けの不振が続き、成膜装置向けもオプトランが23/12Q3受注77%減といった状況などが影響し低迷。海外も米国が3.72億円(13.1%減)と、アプライドマテリアルズ(CVD装置)向けなど調整、アジア地域も8.53億円(12.2%減)と中心となるASMシンガポール(ALD装置)向けも、一服したなどが影響している。また一部で製品出荷時期の後ろ倒し要請なども影響、厳しい環境に。受注が55.4%減と半減しているが、顧客での在庫水準が依然高く在庫調整の影響が直撃している。但し主力ユーザーのASMは受注が23/12Q3で同期比7.2%減(但しQ2比で29.0%増)とボトムを脱したと見られる。

 

 IDX部門は売上高1.12億円(52.4%減)、営業損失0.44億円(0.57億円悪化し赤字転落)、受注1.60億円(48.3%減)、受注残10.43億円(36.8%増)と、前期のシリコンウエハ引上用装置向け売上の反動減、保守サービスの低迷などが響く。

 

 全体の利益面では減産影響が大きく、能力増強投資による固定費負担増も重なり大幅減益に。

 

24/8期予想変更なく下期本格回復期待で2.4%増収8.1%営利増予想

 

 24/8期会社予想に変更はなく、売上高128億円(2.4%増)、営利24.30億円(8.1%増)、経常利益23.30億円(1.6%増)、税引利益17.00億円(1.3%増)予想と、半導体製造装置向け受注回復が下期にズレ込み、緩やかな収益回復を見込む。

 

 メモリ関連は2024年上期底這い、下期に急回復、ロジックは24年上期にやや上向き、下期に拡大、車載半導体は好調継続も市場規模が小さくインパクトは小さい。光学系は受注残が払底状況も、オプトランでは本格受注回復を24年上期、新製品向け受注が見込まれるとしており、同社の下期にはiPhoneの新モデル向けにスパッタ、蒸着向けの受注拡大が見込める模様。

 

 現状、同社決算期が8月であり、半導体製造装置メーカー各社の収益状況から、同社収益は会社想定通りQ1がボトムにQ2に回復も上期が低迷継続、下期、特にQ4で本格回復が見込まれる。実際、米国半導体工業会の23年11月の世界半導体売上高が前年同期比5.3%増の480億ドル、同月比でプラス成長となるのは22年8月以来、また前月比では9ヶ月連続の回復と、いよいよ回復から拡大の局面に入ったとみられる。なお半導体事業は地域別売上推移で中国向けの拡大を見込む。特に急成長している中国最大のNAURA向け(23/12Q3売上高が同期比50.5%増の53.6億元)を含め、中国ローカル10社程度と取引の可能性があり、中国向けの拡大などが下支えするとみられる。実際、中国上場半導体製造装置メーカートップ10社の23/12Q3売上高合計が前年同期比36%増の109億元となっており、同社としても既存製品で対応できることも魅力とみられる。全体として為替が円安で推移、会社計画に対し多少円安メリットから利益の上乗せが期待される。

 

25/8期は半導体事業で増設効果が本格寄与、光学薄膜向けも寄与し再度最高益更新期待

 

 25/8期はベトナム第2工場の本格稼働が始まる。現状、グループ生産能力はベトナムの950台を含め1330台となっており、稼働率は50%レベルとみられる。ちなみにベトナムでの生産設備を揃えるとグループ全体で2000台の生産能力まで拡大可能としている。

 

 半導体事業はALD最大手のASM向けの拡大がポイント。ASMはALD装置最大手として生産能力を2023年に8割増としているが、実需は22年能力を下回る状況。しかし昨今のAI半導体の需要急拡大で、ALD需要が急回復見通しとなっている。特にロジックではAI半導体の伸長、加えて先端ロジックでは構造が3次元構造のFinFET(トランジスタのゲートがフィン状で高性能、省電力)から更にGAA(ゲートオールラウンド:次世代構造)へ移行する中でALD利用頻度が大きく増す見通し。このためASMは2024年には生産能力まで需要が伸びる見通しを立てており、同社への需要も大きく伸びよう。またTSMCの熊本工場などの設備投資本格化もあり、国内向けも24/8下期より急回復が見込まれる。更に遅延しているメモリ向け投資もマイクロンが北広島を含め国内で5000億円投資を実施、2026年先端メモリ量産予定で日本政府が最大1920億円の補助を行うなど、25/8上期にはエッチング装置向け、CVD装置向けが本格拡大しよう。さらに金額は小さいもののパワー半導体製造装置向けも国内設備投資が相次ぐことから堅調な受注拡大が見込まれる。一方で、光学薄膜向けがARやVR向けなど、いわゆるメタバース向けに光学薄膜製造装置向けが拡大すると見られ、特にアップルのVR/ARなどが起爆剤となれば光学薄膜向けの拡大も見込める。IDXは政府の研究開発投資に対する支援策拡大から研究所向け超高圧電源需要の回復が見込める。また民生用に直流バイオポーラ電源の品揃えを強化、バイポーラ電源量産の寄与も加わり、収益の回復が期待される。

 

 全体を通じ、先端半導体製造装置向けの拡大、次世代光学薄膜製造装置向け、さらにIDXも収益回復が進み、25/8期は再度最高益更新が期待される。

 

 株価はメモリの不振などで半導体関連株の下落とともに下落、10/13の23/8期決算発表で回復が遅れる認識で10/30には1352円まで下落も、その後、AI半導体などの話題も有り全体相場の回復の中で1/5には1850円の年初来高値更新となった。しかし1/12のQ1決算の悪さを織込み、1/17には1459円まで下落している。現状、24/8期会社予想EPS198.06円に対しPER7.4倍はRF電源最大手のダイヘン11.5倍、3位の京三製作所8.0倍に対し割安感がある。24/8期は厳しいものの、25/8期には再度最高益更新が期待され、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る