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東京精密(7729) 24/3Q3WEB説明会メモ ややポジティブ継続

24/3期生成AI関連好調で9.4%減収27.5%営利減に若干増額、25/3期中計達成視野

株価10285円(2/5) 時価総額4327億円    発行済株42059千株

PER(24/3DO予:22.8X)PBR(2.79X)配当(24/3予)178円  配当利回り:1.7%

 

要約

・243/Q3は41.2%減収59.8%営利減、受注0.0%増と売上大幅減も会社計画通りに推移

・24/3期生成AI関連拡大から半導体製造装置増額で9.4%減収27.5%営利減に多少再増額

・新中計予想で先端半導体増から25/3期売上高1700億円、営利375億円視野に

 

 

243/Q3は41.2%減収59.8%営利減、受注0.0%増と売上大幅減も会社計画通りに推移

 

 24/3Q3決算が2/5に開示され、同日WEB説明会が開催された。24/3Q3は売上高253.58億円(同期比41.2%減)、営利29.97億円(同59.8%減)、受注301.39億円(同0.0%増)、受注残1025.52億円(同14.2%減)と会社計画でQ3ni売上が少ない前提で、会社計画並みに着地したとのこと。

 

 セグメント別では半導体製造装置事業が売上高175.85億円(27.0%減)、営業利益19.12億円(79.9%減)、受注は201.75億円(2.4%減)、受注残高873.0億円(16.6%減)となった。売上面では民生向けの低迷が大きく、生成AI関連がまだ売上にはまだ数億円しか含まれていないとのこと。利益面では限界利益率が高く、減収影響による減益要因が大半とのこと。受注面では202億円の中で生成AI系は20億円レベル、またパワー半導体のウエイトは10%前半で、シリコン系はIGBT投資一巡で弱含み、SiC向けもEVの伸び悩み影響かほぼ横ばいに推移したとのこと。但し同期比微減だったのは民生の不振を生成AIと中国向けの受注堅調で補ったため。

 

 計測機器事業は売上高77.72億円(2.3%減)営利110.85億円(5.2%増)、受注99.64億円(5.2%増)、受注残152.53億円(3.2%増)に。ほぼ計画通りに進捗、受注面では充放電向けの引き合いが強いが、一般産業用は設備投資意欲が弱く低調。利益面では充放電がまだ開発費負担などで赤字も、赤字縮小(Q4には黒字を見込む)などで増益を確保した。

 

 全体を通じ、会社計画並みの推移とのことで、見た目では大幅減益も想定の範囲内での着地と考えているとのこと。

 

24/3期生成AI関連拡大から半導体製造装置増額で9.4%減収27.5%営利減に多少再増額

 

 24/3期予想はQ4に半導体製造装置事業の売上、検収が大幅増となる計画で、生成AI向けなども一部売上計上となるなどで、10/27予想を若干増額修正、売上高1330億円(10億円増額、9.4%減)、営利250億円(5億円増額、27.5%減)予想とした。部門別では半導体製造装置事業で995億円(10億円増額)、営業利益は開示がないが、同部門で5億円増額、計測機器予想に変更はないとのこと。

 

 半導体事業では生成AIで下期60億円~70億円の受注を見売込み、Q3がおおよそ20億円とのことで、Q4は受注予想220億円の中で40億円~50億円の受注が見込まれている。下期売上高は526億円となるがQ4は350億円程度となり、この中で生成AI関連の売上が上期までの受注分の売上計上で50億円程度まで膨らむものとみられる。またパワー系では、シリコンパワー半導体向け一服もSiC向けの堅調が続く見通し。さらに受注面では中国向けがチップレット化の拡大が続き好調を持続、中国以外の民生の不振を補う形に。計測部門は売上高335億円(3%減)、受注340億円(8.0%減)予想。受注は下期168億円(同期比6%減)予想と、ユーザーの投資抑制で一般産業向けの低迷が続く見通し。但しEV向け汎用計測器、充放電試験システムは国内からの引き合いが多く受注拡大の見通し。利益面では充放電試験システムのQ4での黒字化が見え、下期多少改善期待がある模様。

 

 全体として受注環境は生成AI、SiCパワーデバイス、中国チップレット需要増などで会社増額修正計画通りの受注が見込まれ、1$=140円見通しから多少の経常利益の上振れが見込まれる。

 

新中計予想で先端半導体増で25/3期売上高1700億円、営利375億円視野に

 

 新中計として2024年度に売上高1700億円(半導体1320億円、計測380億円)、営業利益375億円(営業利益率22%)を目指す。

 

 事業別では半導体事業1320億円を目指す。プローバはHBM拡大がさらに加速見通し。特に生成AI登場でAIサーバーの需要が年率22%成長予想と、高い伸びが継続する見通し。従来サーバーに対し7~8倍のHBM使用量があり、AIサーバー拡大でプローバビジネスの本格回復も見込める。

 

 

 加工装置ではSiC向けの拡大、アブレーションダイサ投入、化合物半導体向けグラインダの強化拡大を見込む。アブレーションダイシングはディスコが先行も、同社は精密、高剛性などで差別化を図る。HBMはマイクロバンプ方式からハイブリッドボンディングに変革が進む見通し。ハイブリッドボンディングの特徴は、原理的に接続ピッチを狭くでき、バンプ接続やボール接続などではバンプやボールなどの接続用電極の大きさが接続ピッチを制限するが、ハイブリッド接合はシリコン表面に形成する銅電極(Cu電極)が接続電極となり、シリコンウエハのプロセス技術で微細な電極を作れる。但しハイブリッドボンディングは精密な位置合わせが必要。具体的には2枚のウエハの位置合わせ精度が極めて需要で、電極の位置合わせ誤差は100nm以下が要求されるが、今後、HBM3では必須の技術といわれ、2030年には80nmまで精度を上げるロードマップとなっている。さらに表面処理と清浄度、プロセス制御と歩留まり、接合強度と信頼性、熱機械的応力管理、試験性と修理性なども要求される。特に単に位置合わせ精度だけでなくTTV(total thickness variation: ウエハ全面における最大値と最小値の差)がデバイスの良品率で重要となるが、同社がディスコに対し優位性を持つ分野で、グラインダ、CMP装置の需要拡大が見込める。さらに後工程で計測ビルトインモデルの投入拡大も投入し差別化も期待される。

 

 計測事業はEV向けに150Vまでの高電圧電池モジュールの充放電電池評価の拡大などで売上本格拡大を見込む。なおEV電動駆動用部品では3次元測定器、真円度・円筒形状測定器が必要。さらにバッテリーの内部計測、不純物検査などで超精密測定器の需要拡大も期待される。

 

 上記のように、検査装置の拡大加速、300mmウエハグリーンフィールド投資向けの受注残高の売上寄与、プローバはHBM向けの拡大、民生の受注回復が見込まれる。また計測装置はEV向け中心に新規分野の拡大が期待される。全体として2年前に策定した25/3期中計目標では具体的な売上を示していなかった分野の拡大が加わり、民生の不振を補い、中計の達成が視野に入ったと言えよう。

 

 株価は上方修正、生成AI関連の期待もあり、2/5も10630円を付け新高値更新となっている。24/3期会社再修正予想EPS446.36円に対し、PER23.0倍は東京エレクトロン42.8倍、ディスコ60.9倍に対し割安で有り、25/3期中計予想に対して生成AI関連、SiCパワーデバイス関連の寄与から達成する期待が高まると判断、引き続きややポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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