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ヨコオ(6800) 24/.3Q3決算メモ ネガティブからニュートラルに戻す

24/3期2.5%減収57.7%経常減益予想に若干増額修正、Q3ボトムに25/3期収益改善へ

株価1565円(2/8)   時価総額373億円    発行済株23850千株

PER(24/3期DO予22.7X)PBR(0.74X) 配当(24/3予)44円  配当利回り:2.8%

 

要約

・24/3Q3は1.2%増収45.6%営利減、22.2%経常減益も社内計画比上振れ着地

・24/3期予想再々見直し2.5%減収78.9%営利減、57.7%経常減予想と11/10予想若干増額

・収益低迷で中期目標25/3期売上高880億円、営利106億円を投資計画等24年5月見直し

 

24/3Q31.2%増収45.6%営利減、22.2%経常減益も社内計画比上振れ着地

 

 24/3Q3決算が2/8場中に行われ、同日説明資料が開示された。24/3Q3は売上高203.10億円(社内目標値比23.10億円増額、1.2%増)、営業利益8.67億円(同6.67億円増額、45.6%減)、経常利益0.63億円(同22.2%減)、税引利益0.05億円(同97.9%減)と、同期比減収予想が増収に転じ、為替円安もあり、利益の回復が見られた。

 

 セグメント別では車載通信機器(VCCS)が自動車減産の一巡で、売上高150.7億円(前年同期比23.9%増)、営利12.92億円(同17.33億円改善し黒字転換)となった。地域的には欧米向けが68.12億円(23.5%増)、日本が48.72億円(39.3%増)と主力ユーザーのトヨタの生産の拡大、またシャークフィンアンテナ採用率が高いSUVの拡大も寄与している模様。一方、アジアは中国などで日本車の伸び悩みなどが有り33.86億円(7.8%増)に止まった。なお今期からインキュベーション事業として車載情報システム事業を分離しており、この部分を含めて旧来比較で見ると、営業利益は10.37億円(同期比12.90億円改善し黒字転換)となっている。

 

 一方、回路検査コネクタ(CTC)事業は売上高29.94億円(同44.2%減)、営業損失2.65億円(同18.02億円悪化し赤字転落)、Q1から3四半期営業損失となっている。セグメント別ではクアルコムを中心とする前工程向けで新モデル向け納入が少なく、主力の後工程のテストソケットがインテルの不振継続で低迷、加えてインテル不振で一部テストソケットから別の試験方式に転換していることもダメージに。またSAWフィルタなど高周波対抗電子部品向けのYPXもアップルの伸び悩みでスカイワークス向けに売上が低迷している。利益面では円安効果も減収影響が大きく、設備増強による固定費負担増などで赤字継続に。

 

 無線通信機器も売上高21.55億円(同12.0%減)、営利0.87億円(同64.8%減)と円安効果がある中で、高収益だったスプリングコネクタがPOS向けでユーザーの在庫調整、中国勢の追い上げ等が影響、サムスンのワイヤレスイヤホン向けも低調で、低収益継続に。但し医療用はコロナ影響が軽減され本格拡大に。なお利益面では減収影響、医療用微細部品がほぼ収支均衡となったとみられるものの大幅減益継続に。

 

 全体を通じ、車載通信機器の収益が自動車生産の回復が進展し稼働率アップで計画を上回り、回路検査用の収益悪化が継続も、営業外で為替差益がQ3では8.33億円(同期比23.84億円増)となり経常減益率が縮小した。

 

24/3期予想再々見直し2.5%減収78.9%営利減、57.7%経常減予想と11/10予想若干増額

 

 Q3の業績推移を受け、会社側では24/3期業績再々見直し、売上高760億円(11/10予想比10億円増額、2.5%減)、営利10億円(同8億円増額、78.9%減)、経常利益24億円(同10億円増額、57.7%減)、税引利益14億円(同6.5億円増額、55.0%減)予想とした。逆算してQ4は売上高188.96億円(11/10時点社内計画比1.04億円減額、同期比6.9%増)、営業利益2.53億円(同4.47億円減額、同2.53億円増)、経常利益6.36億円(前期比15.80億円改善し黒字転換)、税引利益4.37億円(同11.50億円改善し黒字転換)予想となる。このためQ3で社内計画比増額、Q4は減額の形に。

 

 事業別ではVCCSが売上高553.5億円(11/10予想比4.5億円増額、前期比19.0%増)、営業利益27.50億円(同6.5億円増額、同48.44億円増加し黒字転換)予想と再々増額見通しに。自動車生産の回復が順調で、利益面でも為替差損が生じない地域向けが好調で、増収効果、値戻し効果も有り利益も再増額見込みに。

 

 CTCは売上高122億円(同2億円増額、45.5%減)、営業損失9.5億円(同1.5億円改善、前期比71.19億円減で赤字転落)を見込む。主力の後工程ではインテル向けの回復がなく、従来のソケットから安価なシート方式での検査に変更する動きもあり回復が期待できない状況に。ただしインテル以外でピン供給のみを行うAMDやエヌビディア向けOSAT向けは比率が低いものの多少のカバーに。また前工程ではクアルコムの2024年新モデル向けがQ4には一部立ち上がると見られ、全体として底打ちを確認したと言えよう。Q3対比Q4が減少する見通しも、少なくともQ3対比で増加が見込まれ、円安継続も有り会社予想を若干上回って着地しよう。

 

 FC・MDは売上高81億円(同4億円増額、10.7%減)、営業利益0.5億円(同1.5億円増額、前期比92.5%減)予想と、赤字転落予想から僅かながら黒字維持予想に。高採算だったスプリングコネクタが中国などの技術力アップからシェア、価格面で苦しい状況が続いているが、医用向けは期初計画を上回る。利益面では生産調整が下期も継続するもののコスト削減で赤字回避を見込む。

 

 新規に分離させたインキュベーションセンター部門は売上高3.5億円(同0.5億円減額)、営業損失8.5億円(同1.5億円悪化)を見込み、先行投資は継続するとみられる。

 

 現状、VCCSは最大ユーザーであるトヨタ系の生産拡大が寄与し、増額計画通りの収益が見込める。CTCもインテル不振継続もクアルコムの新モデル立上がり、一部AMDやエヌビディア向けOSATへのプローブピン拡大などもありこちらは修正を多少上振れて推移しよう。FC・MDは計画並みで、全体として会社再修正予想を若干上回る売上、営業利益が見込まれる。経常利益は為替1$=145円想定でこちらも多少上振れが見込まれる。

 

収益低迷で中期目標25/3期売上高880億円、営利106億円を投資計画等24年5月見直す

 

 同社は期初に中期経営計画として26/3期に売上高900億円、営利81億円を目指す経営目標を公表したが。しかし半導体生産の生産調整と主要相手先の不振、物流投資の一巡から成長を見込んでいたCTC部門、FC部門の収益見通しが大きく狂い、投資計画等を含め中計を24年5月に見直すこととした。現状、半導体生産が回復に向かい、特に先端半導体は生成AIなどの拡大で需要が様変わりする可能性がある。このため、25/3期同社CTC部門はクアルコムの新モデル向け、インテル向けもHPC新CPUの量産が漸く機動に乗る見通しも有り、急回復が見込める。

 

 FC・MD部門は医療用が本格拡大期を迎え、25/3期には収益性も回復見通し。但しスプリングコネクタの回復は、世界的な消費伸び悩みで物流投資拡大が伸び悩むとみられ、中国勢などの新興メーカーの技術水準が追いつき、従来のような高収益事業には回帰できず、25/3期は利益拡大も利益率は低位に止まろう。全体を通じ25/3期はCTC部門の再拡大で収益性の改善、またトヨタは堅調な生産の伸びを計画、車載通信機器も収益拡大が見込まれ、全体として売上は最高額更新も、利益は23/3期並みの回復は難しいと見られるが、26/3期には改めて経常最高益が視野に入ってこよう。

 

 株価は業績低迷を受け下落を続け10/31に1203円の年初来安値後、11/10に利益増額予想で多少戻ったものの、インデックス対比では大きくアンダーパフォームした。今回、若干増額修正され、修正予想EPS60.06円に対しPER26.1倍はプライム電機平均PER21.8倍に対し若干割高、同業のエンプラス。現在、修正会社予想EPS32.17円に対しPER43.6倍は山一電機19.6倍、エンプラス22.9倍、山一電機23.6倍と比較し同水準にある。25/3期は回路検査ではクアルコムやインテル向けの回復、無線機器ではPOS向けのスプリングコネクタの構造改革効果などが期待され、収益の回復が見込まれる。このため、悪材料を織込んだと判断、ネガティブからニュートラルに評価を戻したい。

 

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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