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バルカー(7995) 24/3Q2決算説明会メモ  ポジティブ継続

24/3期0.3%減収15.5%営利減予想、25/3期は新社長の元で再度最高益更新期待

 株価4200円(2/9) 時価総額785億円 発行済株18,689千株
 PER(24/3DO予:13.9X)PBR(1.57X) 配当(24/3予)150円  配当利回り:3.6%

 

要約

・24/3Qは先端産業向け低迷が続き6.4%減収31.9%営利減と息切れ
・24/3期Q3涙液進捗率が計画並みで推移し0.3%減収15.5%営利減予想を維持
・創業100年に向け36才の新社長の元で27/3期に売上高800億円、ROE15%目指す

 

24/3Qは先端産業向け低迷が続き6.4%減収31.9%営利減と息切れ

 


 24/3Q3決算は売上高150.61億円(同期比6.4%減)、売上総利益61.78億円(同9.1%減)、営業利益15.73億円(同39.1%減)、受注136.92億円(5.6%減)、受注残高119.62億円(20.0%減)となった。24/3H1では5.4%増収4.0%総利益増、1.7%営利減と、上半期として過去最高の売上高、売上総利益を達成したが、Q3は先端産業向け一服で収益低迷となった。


 事業別にシール事業は売上高92.67億円(同期比10.3%減、Q2比3.7%増)、営利6.31億円(同67.3%減、同9.0%増)、受注87.82億円(同13.0%減、同2.0%減)、受注残53.32億円(同15.8%減、同8.4%減)に。受注は高シェアのエラストマー製品でフッ素樹脂ガスケットやOリングなど半導体産業向け等が不振、市場別売上では先端産業向けが29億円(41%減)と大幅減収に。一方で機器市場向けは40億円(27%増)と自動車生産の回復で一般産業向け販売が増加した。但しシール事業全体の利益面では先端産業向け減少でMIX悪化から大幅減に。但し全体でQ2比較では増収増益となっており、特に先端向けが回復、受注もほぼ底を付けた模様でQ2ボトムに回復傾向とみられる。

 


 機能性樹脂製品は売上高50.86億円(同期比1.7%増、Q2比14.7%減)、営利9.83億円(同45.2%増、同23.3%減)、受注は41.99億円(同13.9%増、同10.2%減)、受注残63.12億円(同25.0%減、同12.3%減)。先端産業向けが売上高30.50億円(22%増)と、スクリーンなど好調を維持した洗浄装置向け、ふっ素樹脂特殊タンク製品などが寄与、但しプラント向けは同タンクの反動減から11億円(同31%減)に。利益面は高機能製品拡大、生産拠点整備完了に伴う効率アップ、MIX良化から営利率が同期比5.8ポイント向上し19.3%となったがQ2比では2.2ポイント悪化した。なお受注は特殊タンク大型受注反動減の影響が続いている。


 再生ウエハ事業他は売上高7.07億円(同期比6.7%減、Q2比11.1%減)、営業損失0.39億円(0.14億円悪化し赤字拡大)、受注7.10億円(同0.1%減、同11.7%減)に。主力のウエハ再生事業がメモリ不振の影響で低迷、H&S事業も停滞している。


 全体を通じ売上面では市場別で先端産業市場向けが58億円(同期比28%減、Q2比2%増)と同期比大幅減もQ2でボトムとなった模様。プラント市場は35億円(同10%減、同20%減)と特殊タンク売上の反動減が出ている。機器市場は50億円(同22%増、同9%増)と自動車向けの回復が寄与している。


 全体の利益面では機能性樹脂部門がQ2対比で伸び悩んだことで、シール事業の低迷継続を補えず、収益悪化となった。

 

24/3期機能性樹脂増額、シール減額で0.3%減収15.5%営利減予想変えず
 Q3累計での進捗率が売上で75%、営利73%、経常利益で77%となっており、ほぼ計画通り。24/3.期会社予想に変更はなく、売上高620億円(0.3%減)、営利75億円(15.5%減)、経常利益75億円(16.9%減)、税引利益53億円(21.4%減)予想を据え置いた。


 事業別でも見直ししておらず、シール事業が売上高377億円(Q3累計進捗率74%、前期比6.1%減)、営利34億円(49.6%減)予想。半導体製造装置の低迷から受注回復が遅れOリングなどの需要減退影響が大きく、ボトムを確認も回復は緩やかな模様。機能性樹脂事業は210億円(同76%、同10.9%増)、営利41億円(83.4%増)予想。先端市場向けが下期は特殊タンクの大型納入一巡も自動車の回復で先端品以外の回復が寄与する。その他事業は売上高33億円(同69%、同5.9%増)、営利0億円(1億円改善し収支ゼロ)予想に変更はない。また市場別では先端250億円(同77%、同9.4%減)、機器185億円(同77%、11.4%増)、プラント180億円(同69%、同11.1%増)予想。

 

 

 現状、Q4が逆算して売上高157.57億円(同期比4.6%減、Q3比4.6%増)、営利20.53億円(同12.7%減、同30.5%増)、経常利益17.09億円(同25.8%減、同1.0%減)予想となる。Q3状況からプラント向けが多少下ブレ、事業ではシリコンウエハリサイクル他が未達懸念。これを機器事業で埋めることが想定され、Q2までの実績では上振れの可能性もあると期待したが、ほぼ会社計画並みの収益で着地するとみられる。

 

創業100年に向け36才の新社長の元で27/3期に売上高800億円、ROE15%目指す
 25/3期は、半導体産業向けの回復が期待され、特に国内での半導体新設工場、関連する化学、ガスなどの新設設備投資が加わり、先端産業向けの再拡大で収益の拡大が見込まれる。特にTSMCなどの国内半導体工場新設を睨み、機能樹脂特殊タンク製品で愛知県田原市に新工場建設を行う。また25/3期はプラント事業で改修が高まる年となり、こちらも増収が見込まれ、全体として、再度、最高益更新の期待が高まる。


 なお同社は創業100周年に向け、長期計画として27/3期に売上高800億円、ROE15%を目標として掲げた。また今回、6/20開催の定時株主総会において新社長として創業家の瀧澤利治氏(36才)が就任することを表明、創業100年を前に経営体質の世代交代を行うことを決定した。今後、新社長の手腕が問われることとなろうが、M&Aの実行が加われば、長期経営目標の達成は十分可能とみられる。


 株価は1/30のQ3決算を受け、Q2に先端産業向けがボトムを付けたと判断、自動車生産の回復などで機器向けも拡大が確認され、1/31には4565円の昨年来高値更新と、1992年以来の高値となり、その後は多少下落した状況にある。現在、24/3期会社予想EPS302円に対しPER13.9倍は、日本ピラー工業の12.5倍、イーグル工業の11.8倍、と似通った水準、増額修正のニチアスの9.6倍に対しては多少割高(むしろニチアスが割安)となっている。プライム市場機械平均PER19.1倍に対し割安であり、25/3期は収益の回復が見込まれ最高益更新が期待されることから、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

 

(H.Mirai)

 

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