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長野計器(7715) 24/3Q3決算メモ 増額修正も再増額期待でポジティブ継続

24/3期10.0%増収64.5%営利増予想に利益増額も再増額期待、25/3期以降も収益拡大へ

株価2155円(2/15) 時価総額418億円 発行済株19433千株
PER(24/3DO予8.2X)PBR(1.09X) 配当(24/3予)40円  配当利回り:1.9%


要約
・24/3Q3は7.4%増収64.5%営利増と半導体産業向け圧力センサなど好調で収益上伸続く
・24/3期予想を利益増額修正し10.0%増収43.9%営利増予想も円安寄与で再増額期待
・新中期経営計画の26/3期売上高753億円、営業利益97億円は増額達成期待

 

 

24/3Q3は7.4%増収64.5%営利増と半導体産業向け圧力センサなど好調で収益上伸続く

 

 圧力計と圧力センサを2本柱として事業展開、圧力計は世界トップシェア。24/3Q3決算が2/9に発表され、2/13に説明資料が開示された。24/3Q3は売上高180.47億(7.4%増)、営利21.43億円(64.5%増)と収益上伸が続いた。

 

 セグメント別では圧力計が売上高94.19億円(5.4%増)、営利7.38億円(62.6%増)に。業種別では主力の産業機械・プロセス用が需要回復から50.49億円(8.0%増)、FA空圧向けが23.23億円(9.2%増)など好調、海外も産業機械・プロセス用など増加、円安効果も寄与した。半導体向けは10.07億円(1.5%減)と減収23/3Q4ボトムに前四半期推移では3四半期連続増加を確保している。利益面では増収効果に加え円安効果もあり営業利益率が2.7ポイントアップし7.8%となり大幅増益に。

 

 圧力センサ事業は売上高58.20億円(15.1%増)、営利12.84億円(79.3%増)に。業種別では半導体向けが22.35億円(43.5%増)と伸長、量産車向け等も回復し4.94億円(62.0%増)と伸長し、建機向け、プロセス・新エネ向けは一服した。利益面では増収効果、半導体高付加価値製品拡大によるMIX良化、円安効果も加わり、営業利益率が7.9ポイントアップし22.1%まで高まり大幅増益となった。計測制御機器は売上高9.90億円(10.2%減)、営利0.70億円(46.2%減)に止まった。ダイガスト事業は売上高18.18億円(11.1%増)、営利0.53億円(0.51億円増)と自動車産業の回復で収益が急回復した。

 

 全体を通じ、入手困難であった電子部品の調達環境が正常化、人員増強による生産能力増強もあり売上が順調に増加、利益面ではMIX良化、円安効果もあり大幅増益に。

 

 

24/3期予想を利益増額修正し10.0%増収43.9%営利増予想も円安寄与で再増額期待

 同社は上期増額着地したものの、通期予想を据え置いていた。しかし直近の圧力計、圧力センサ事業の収益目標が上ぶれて推移、計測機器やダイガスト事業は計画未達懸念で売上面は未達懸念も、全体への利益影響度が小さいことから24/3期予想の利益を増額修正した。24/3期修正予層は売上高666億円(期初計画比12億円減額、1.8%減)、営利68億円(同7億円増額、43.9%増)、経常利益69億円(同11億円増額、39.3%増)、税引利益45億円(同5億円増額、31.9%増)予想とした。経常利益増額が大きいのは為替円安影響、税引利益増額が小さいのは子会社製造拠点移転に伴う減損2.78億円などの特損計上をおこなうため。

 

 製品別では期初計画比で増減があった11/9予想に対し、具体的な開示はなかった。但し売上面では圧力計、圧力センサが上振れ、計測、ダイガスト事業が当初予想を下回るとして、全体では期初計画を12億円下回るとした。11/9時点では売上面で圧力計が333.29億円(期初計画比22.05億円増額、9.3%増)、圧力センサ221.63億円(同25.22億円減額、15.4%増)、計測制御機器は44.93億円(同3.68億円減額、3.4%減)などと予想していた。

 

 利益面でも具体的な開示はないが、全体として原材料価格の転嫁の効果に加え、経費削減、生産効率の向上などを上げている。実際には収益性の高い圧力センサの構成比拡大、また半導体向けの増額でMIX良化寄与が大きいとみられる。

 

 現状、半導体製造装置向けではガス用、純水・薬液用など、洗浄工程での利用が多いとみられ、関連する製造装置メーカーの好調に加え、超純水装置メーカーも軒並み収益拡大となっており、圧力センサは部材不足が解消され受注残の消化が進んだことも増加要因に。なお、逆算して24/3Q4予想は売上高141.85億円(前年同期比0.9%増、Q3比21.4%減)、営利9.16億円(同44.9%減、同57.3%減)、経常利益8.52億円(同42.7%減、同57.6%減)予想となる。Q4について、特に半導体向けが減退する見通しとは考えにくく、季節性も薄いとみられ、Q4については同期比微増収前提で利益も少なくとも同期比増が見込まれ、結果として24/3期は再度利益の上振れが期待される。

 

新中期経営計画の26/3期売上高753億円、営業利益97億円は増額達成期待

 

 同社は2023年5月に新中期経営計画を発表、26/3期に売上高753億円、営業利益97億円を経営目標とした。

 

 中計基本方針は4つあり、既存事業の競争力強化、グローバル戦略、経営基盤強化、新たな事業領域の拡大を挙げている。特に既存事業の競争力強化では圧力センサの能力増強、水素、アンモニア新市場対策をはかる。グローバル戦略ではメキシコ、中国、増強、欧州は拠点移転で効率化を図る。また新たな事業領域では圧力校正器や精密デジタル圧力計などの開発を進める。

 

 特に半導体業界向けで、同社製品は主に前工程で利用されている。今後、TSMC、キオクシア、マイクロン、パワー半導体各社が国内で半導体新工場建設が相次ぐ中で、クリーンルーム室圧監視、ガス配管、超純水製造装置向け等、半導体工場建設に伴う各種圧力センサ、圧力計の取り込みが期待される。さらに従来のガス用センサ中心から、純水、薬液用の新製品投入も強化する。加えてグローバル展開ではアシュクラフトブランドによる各種半導体向け製品の投入を行い、米国で本格的な拡販を行う。

 



 全体を通じ、25/3期は半導体向けの拡大に加え、自動車向けも圧力計測のニーズの高まり、自動車向けセンサの伸長も見込め、25/3期中計予想の売上高713億円、営利79億円を上回る収益が期待され、26/3期中計予想も上振が期待される。

 

 株価は24/3期業績の増額修正もQ4の利益が低迷する形を嫌気、増額修正ながら無反応に止まった。しかし24/3期増額修正予想EPS231.57円に対しPER9.3倍は、プライム精密平均PER13.5倍に対し割安であり、さらに増額期待が見込まれ、25/3期以降も最高益更新が続くとみられ、再度高値更新、大台超えも視野にポジティブ継続としたい。

 

 

(H.Mirai)

 

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