硫酸&硫黄市場近況2024初春 いずれも低水準で推移 硫酸はまだネガティブ
昨年から低位安定が続いている硫酸市況。いまだネガティブなトレンドが続いている。
一言でいえば需要不足。供給過剰。世界の実体経済を映す商品でもあるゆえ、両商品がネガティブであるということはそれだけ実体経済が弱いことの証左でもある。
硫酸は日本からはFOBでマイナス5ドル。中国の硫酸価格もトン当たり200元前後で低位安定。
(中国の硫酸価格推移 RMB/ton)
日本の場合、フィリピンのニッケルHPAL向けが200万トン以上あることが支えだが、この輸出が
なければ危機的な余剰になる。HPAL向け以外の需要は芳しくなく、60年ぶりの低水準にとどまる。
→ 硫酸の国内需要の落ち込み深刻 23年度300万トン割れ見通し――60年ぶりの低水準
アジア地域ではすでに中国が硫酸の純輸出国になっていることも硫酸市況の圧迫要因となっている。
(関連記事)
中国国内で肥料の生産規制があったことなどで国内肥料向け硫酸需要が落ち、硫酸は輸出ドライブがかかっている。
中国では、硫酸の供給源のひとつである銅製錬所の新規立ち上げが続いていることから、硫酸供給はなお増えることになる。ただ、3月~4月には中国の銅製錬所は前倒しでメンテナンスに入ることで若干、硫酸供給は引き締まる可能性はある。が、劇的に上昇するようなことはないだろう。
硫黄のほうも状況は芳しくない。
アジア地域、中国CIFでトン当たり100~120ドル(固形硫黄、以下同)、欧州FOBで70ドル前後。
中国では実勢900元前後で推移している。
(中国の硫黄価格の推移 RMB/ton)
こちらも地合いは弱い。溶融硫黄はこの固形硫黄の1/3程度の価格であるため、30ドル前後と推量される。日本から中国向けに輸出される溶融硫黄は今年の1月中旬は50ドル前後だったため、1か月で20ドルは下がったことになる。
→ 「油断」の潜在リスクをはらんだ硫黄流通――どうする処方箋づくり⁉
(IRUNIVERSE/MIRU YT)
関連記事
- 2025/06/16 東邦亜鉛、豪Abra社の株式を譲渡――資源事業からの撤退完了
- 2025/06/16 動き出す「金属盗対策法」――指定金属切断工具の隠匿携帯には罰則
- 2025/06/16 中国経済、5月は不動産が一段と悪化 物価も下落でデフレ様相濃く、貿易も振るわず
- 2025/06/16 三菱ケミカル 三菱化学高分子材料(南通)有限公司移転決定
- 2025/06/16 電子部品輸出入Report#120金属製磁石輸入 2025年輸入量増加
- 2025/06/16 LME Weekly 2025年6月9日-13日 米中貿易交渉の進展期待も中東情勢緊迫化でCu Ni下落、Al続伸
- 2025/06/15 非鉄各社26/3期新前提とのギャップについて(6/13時点)
- 2025/06/15 LMEの現物と先物の鞘(6/13)
- 2025/06/13 レゾナック、日本製鉄他 排出 CO2 の有効活用によるグリシン製造研究開発が、NEDO 採択
- 2025/06/13 東ソー クロロプレンゴムの生産能力を増強