2月の銅の概況及び3月の見通し 橋本アルミ(株)橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 8000-8500ドル →
建値 120万-132万円 →
為替 145~150円 (1か月間TTM) レンジ内
■国際概況
前半 米新規失業保険申請件数は22万4000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(21万4000件)より多かった。・米・1月製造業PMI改定値:50.7(予想:50.3、速報値:50.3)
プラス材料もあったが米FRBが3月会合での利下げ実施に慎重な考えを示した。
31日のFOMCでは政策金利を4会合連続で据え置いた。
IMF2024年の中国の経済成長率が4.6%に鈍化するとの見通しだったことなどを嫌気しDOWN
2月15日時点で8133ドル(セツル)と月初価格より380ドルDOWNの締め。
後半は1月30〜31日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、米連邦準備理事会(FRB)が早期の利下げに慎重な姿勢を示した
マイナス材料もあったが1月の米小売売上高は2023年12月に比べて0.8%減と市場予想(0.3%減)よりも減。米国の消費減速が意識され、米長期金利の低下につながるとの期待を好感しUP
月末日 後半スタート価格から187.5ドルUPの8340.5ドル。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
147.85 → 151.67(円)
出典 MIRU
【国内指標】
【自動車生産】
生産動態統計によると1月の自動車生産台数は前年比-6.3%の54万8912台
輸出は前年同月比+18.3%の28万595台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると2月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-16%の22万6769台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
1月の新設住宅着工は,貸家は増加したが,持家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比7.5%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比1.5%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 58,849 戸。
・前年同月比 7.5%減, 8か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 4,491千㎡。
・前年同月比 11.5%減, 12か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 802千戸。
・前月比 1.5%減, 先月の増加から再びの減少
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
- 銅
- 【輸出】
電気銅 +31.1%の5万8092t
スクラップ +65.3%の2万5632t
輸出推移
【輸入】
電気銅 +358%の596t
スクラップ -30.7%の8200t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
1月伸銅品生産量速報値は 5万830トン、前年同月比4.0%減少
単月の生産量としては、前年同月比で25か月連続のマイナスとなった。ただ、同比のマイナス幅は、急 速に小さくなってきている。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比+0.3%の47500t
うち 国内+1.6% 輸出が +19.8%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車生産】
生産動態統計によると1月の自動車生産台数は前年比-6.3%の54万8912台
輸出は前年同月比+18.3%の28万595台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると2月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-16%の22万6769台
【住宅着工戸数】
1月の新設住宅着工は,貸家は増加したが,持家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比7.5%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比1.5%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 58,849 戸。
・前年同月比 7.5%減, 8か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 4,491千㎡。
・前年同月比 11.5%減, 12か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 802千戸。
・前月比 1.5%減, 先月の増加から再びの減少
【伸銅品生産】
1月伸銅品生産量速報値は 5万830トン、前年同月比4.0%減少
単月の生産量としては、前年同月比で25か月連続のマイナスとなった。ただ、同比のマイナス幅は、急 速に小さくなってきている。
自動車関係の需要回復が端子コネクタを中心に着実に回復し、銅条や黄銅条などの生産量回復を支えている。また、コンデンサチューブの需要増加が銅管生産量を、ワイヤカットの需要が銅線の生産回復を支え、大型建設関係の配電盤需要増加が銅板や銅棒の生産を支えている。
銅条
同比17ヶ月連続マイナス。引き続きマイナス幅は小さい。車載向けの半導体やコネクタが下を支えている。しかし、車載以外の半導体や端子の需要が回復気味だが、それが銅条の生産増加になかなか直結してこない。パソコンや民生用のデジタル家電や白物家電向けも低調が続けている。ダイハツや豊田自動織機の不正問題による自動車端子コネクタ向けの生産への影響はまだ見えてこない。
黄銅棒
同比25ヶ月連続マイナス。ただ、同比1桁パーセント台まで回復してきた。
【電線】
前年比+0.3%の47500t
うち 国内+1.6% 輸出が +19.8%
【輸出】
電気銅 +31.1%の5万8092t
スクラップ +65.3%の2万5632t
【輸入】
電気銅 +358%の596t
スクラップ -30.7%の8200t
【見通し】
【自動車】
1月の自動車生産が-6.3%。12月国内販売台数が前年比-16%
2か月連続減少 前月に続きダイハツ トヨタ問題による生産販売低迷が今後しばらく続きそう
【伸銅品生産】
1月伸銅品生産量速報値は 5万830トン、前年同月比4.0%減少
単月の生産量としては、前年同月比で25か月連続のマイナスとなった。ただ、同比のマイナス幅は、急 速に小さくなってきている。
自動車関係の需要回復が端子コネクタを中心に着実に回復し、銅条や黄銅条などの生産量回復を支えている。また、コンデンサチューブの需要増加が銅管生産量を、ワイヤカットの需要が銅線の生産回復を支え、大型建設関係の配電盤需要増加が銅板や銅棒の生産を支えている。
これまでと同じく自動車向けの需要回復が全体を底上げしている。ただ、2024年初めの車載を除く半導体向けの需要は、例年、旧正月前に見られる中国などの増加基調が見えて来ない。一方、一方、能登半島地震による伸銅品の需要への影響は1月時点の生産にまだ見えてこない。
【電線】
前年比+0.3%の47500t
うち 国内+1.6% 輸出が +19.8%
5か月ぶりプラス 今後に注視。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】
銅建値が130万から131万と高値安定傾向だった
在庫は伸銅品生産減 発生減から在庫薄
需要面に関しては低位安定。自動車関連で回復は見られるものの生産量は25カ月連続減少
旧正月前に見られる中国などの増加基調が見えて来ない
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
1.米FRBの金融政策
パウエル議長が根強いインフレ圧力を最新の指標が示す中で利下げを急いでいないとのメッセージをあらためて強調してることや2月に発表されたインフレ加速を示す一連の指標から考えれば3月の利下げはない
2.中国 全人代の内容
中国政府は北京で5日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、今年の国内総生産(GDP)成長率目標を5%前後に定めたほか、今年1兆元(約20兆9000億円)の超長期特別国債を発行する計画を発表。
それでも金属相場の当初の反応からは、不動産不況と製造業の低迷からすぐに脱出できると予想されていない
中国は例年3月から4月にかけて繁忙期を迎えるが、建設が活発化する兆しはほとんどない。
これらを踏まえた今月の銅価格は 8000-8500ドル(セツル)との予想。
ドル円値は145円~150円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては120万-132万円程度と予測している。
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