TDK、高砂熱学工業の吸着材蓄熱システムを本荘工場に導入~未利用排熱を輸送し再利用
高砂熱学工業株式会社(社長:小島和人)は、3月18日、TDK株式会社(本社:東京都中央区、社長:齋藤昇)の国内最大規模の製造・開発拠点「本荘工場西サイト」(秋田県由利本荘市)に、低温排熱を蓄熱・再利用する設備を導入したと発表した。
製造業は、工場を稼働させるため膨大なエネルギーを使用することから、全産業におけるCO2排出量の約30%(2021年度)※1を占めている。このようなことから、生産施設ではコージェネレーションシステム等を活用した未利用エネルギー(排熱等)の有効利用が進められているが、100℃程度の低温排熱は、発生場所による使用用途が限定されることから、大部分が大気中に放出されている。
TDKは、「TDK環境ビジョン2035」において、ライフサイクル的視点でのCO2排出原単位を2035年までに2014年度比で半減することを目標に掲げている。本荘工場西サイトにおいても、消費エネルギーの見える化や、省エネ会議を定期的(月1回)に開催することで、施設の運用改善に取り組んでいる。今回、生産施設において未利用のままである低温排熱に着目し、高砂熱学工業が社会実装を進める低温排熱を蓄熱・再利用する吸着材蓄熱システム「メガストックⓇ」の導入に至った。
■導入設備 概要
顕熱熱交換器を新たに設置し、未利用のまま排出されていたVOC燃焼装置の排熱を回収する仕組みを導入。排熱の活用方法は以下の通り。
① 乾燥炉の熱源に供給する空気の加温補助に使用することで、蒸気の使用量を削減。
② ①で回収しきれない低温排熱は、「メガストックⓇ」にて蓄熱し、排熱場所から200m離れた場所へトラックで輸送(オフライン熱輸送※2)し、外調機の加温補助に使用することで、蒸気使用量を削減。
設備は2023年12月末日に竣工し、2024年1月から順次運用を開始している。導入による効果は、CO2削減効果▲249t(CO2)/年と試算しており、本荘工場西サイト全体におけるCO2排出量の約5%に相当する。
TDKでは、本荘西サイトで蓄熱した熱を、事業所内での利用だけでなく、事業所外・地域へ供給する等、地域全体での熱利用を検討している。
高砂熱学工業では、「メガストックⓇ」を、地方自治体の汚泥・ごみ焼却場排熱、工場排熱などの広域熱利用システムとして活用が期待できることから、排熱の有効利用を検討する顧客へアプローチし、今後の排熱利用を広げることで脱炭素へ貢献していく。
※1 出典:環境省 温室効果ガス排出・吸収量等の算定と報告 2021年度(令和3年度)温室効果ガス排出・吸収量
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/emissions/
※2 オフライン熱輸送
蓄熱媒体をトレーラー等で輸送するシステム。特長は、パイプラインの導管方式に比べてインフラ整備コストが安価で、地下埋没物等の制限を受けない点。
(IR universe rr)
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