出光、三井「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討開始を公表
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤 俊一)及び三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修)は、3月27日、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」について、以下の通り両社で検討を開始することに合意したと発表した。
1.背景
出光・三井の両社は、2010 年に LLP 制度の活用による千葉ケミカル製造有限責任事業組合を設立し、千葉地区に両社が保有するエチレン装置の運営統合を行った。これにより、原料選択、装置稼働の最適化や留分の高付加価値化、共同合理化投資等、単独では実現できないシナジーを徹底的に追求した。
一方で、中国を中心とした大型石化装置の新増設と国内エチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働を余儀なくされる状況が続いている。加えて、世界的にカーボンニュートラル社会の実現が推進される中、CO2 の排出量削減および資源循環を目指した次世代のコンビナート構築に向けた検討の加速化が強く求められている。
今回、出光・三井の両社は、これまでの連携を一歩進め、更なる既存事業の競争力強化を目的として、以下の前提のもと、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始することで合意した。
2.検討の前提
(1)集約時期の目途 :2027 年度
(2)集約の方法 :出光装置を停止し、三井装置に集約
(3)集約後の事業形態 :LLP もしくは合弁会社等にて三井装置を共同運営
3.今後について
両社でフィジビリティスタディを行い、集約時期を含め協議・決定の予定
4. 各社コメント
出光興産 代表取締役社長 社長執行役員(兼)CEO 木藤 俊一
当社は、2050 年ビジョン「変革をカタチに」を掲げ、事業構造改革を推進しております。本件は、カーボンニュートラル実現に向けた中長期的な事業転換の象徴的な案件となります。エチレン装置集約による生産最適化に留めるのではなく、我々の目指す既存の事業ポートフォリオを低炭素化・資源循環に対応したサステナブルなかたちへ転換する取り組みを進めてまいります。具体的には、エチレン装置の原料であるナフサを化石由来から、SAF事業の副産物として製造されるバイオナフサや、25 年度に稼働予定の使用済みプラスチックを原料としたケミカルリサイクル由来のナフサへ転換し、集約されたエチレン装置へ供給することを検討します。併せて、SAF の原料であるバイオエタノールから製造されるバイオエチレン、さらには、e-メタノールから製造される合成化学品等を加えた、新たなグリーンケミカル製品のサプライチェーン構築を目指してまいります。
三井化学 代表取締役 社長執行役員 橋本 修
当社は、長期経営計画「VISION 2030」において「未来が変わる。化学が変える。」をありたい姿に掲げ、変化をリードし、サステナブルな未来に貢献することを目指しております。本件は、千葉地区エチレン装置の生産最適化による競争力強化に留まらず、さらなる地域連携・他社連携の拡大により、競争力強化とグリーン化を両輪とするコンビナートのトランスフォーメーションへの重要な一歩となります。当社ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業では、グリーン化による付加価値の創出とたゆまぬ資本効率の向上により、競争力あるサステナブルなグリーンケミカル事業を目指して、引き続き取り組んでまいります。
(IR universe rr)
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