週刊バッテリートピックス 「台湾で大地震」「低価格EV米中が明暗」など
2024年3月31日~4月7日のバッテリー業界では、台湾東部で起きた大型地震が大きな注目を集めた。いまだ被害の全容が明らかになっておらず、今後の電池業界への影響が懸念される。世界的に電気自動車(EV)の価格競争が激しさを増す中、米国勢の撤退と中国勢の進出という対応の明暗が鮮明化し、バッテリーの勢力分布図も意識された。
<国内>
●出光興産、東大と電極触媒などで共同研究 豪社にも出資
出光興産、東大とカーボンニュートラル研究 豪グラファイト企業にも出資
出光興産は4月5日、自社ホームページ上で、は、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)および生産技術研究所(「東大生研)と包括連携研究に関する協定を締結し、4 月 1 日から共同研究を開始した。電極触媒開発などに関する技術獲得を 3 年かけて行う。
プレスリリース: 240405.pdf (idemitsu.com)
出光興産は4月3日には、グラファイト探鉱鉱区を保有するオーストラリアのグラフィネックス社に出資すると発表していた。
関連記事:出光興産:グラファイト探鉱鉱区を保有するグラフィネックス社(豪州)へ出資 | MIRU (iru-miru.com)
●積水化学、浮体式太陽電池の実証実験
積水化学工業は4月5日、自社ホームページ上で、浮体式太陽電池の実証実験を始めたと発表した。積水化学の「ペロブスカイト」太陽電池を水上に浮かべて使えるよう実験する。
実験は1年間かけて、浮体の構造設計などの技術を持つエム・エムブリッジ(広島市)と、設置した太陽電池のデータ取得などのノウハウを持つ恒栄電設(東京・北)と協力して行う。2025年以降の事業化を目指す。
プレスリリース:浮体式ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験開始 | 積水化学工業株式会社 (sekisui.co.jp)
●FDK、ニッケル水素電池の改良版をサンプル出荷
FDKは4月2日、自社ホームページ上で、電源バックアップ市場向け高耐久ニッケル水素電池「HR-AATU」のサンプル出荷を4月初旬から開始すると発表した。2018年から販売している高耐久ニッケル水素電池「HR-AAULTU」の改良版。2024年12月から量産する予定。
プレスリリース: 電源バックアップ市場向け高耐久ニッケル水素電池「HR-AATU」のサンプル出荷開始 ~ 約60%の高容量化、JIS C 8708(*1) MU規格に準拠し、長寿命電池のニーズに対応 ~ | FDK
●パナエナジー、インド国営製油と円筒形リチウムイオン電池の合弁で協議
パナソニック エナジーは4月1日、自社ホームページ上で、インド国営製油のインディアンオイル(Indian Oil Corporation Limited、本社:ニューデリー)との間で、円筒形リチウムイオン電池の製造に関する合弁会社設立について協議を始めたと発表した。2024 年夏ごろの協業内容決定を目指す。
関連記事:パナソニックエナジー:インドにおける円筒形リチウムイオン電池製造の合弁会社設立に向け | MIRU (iru-miru.com)
<海外>
●米中明暗 テスラ低価格EV撤退か、小米の450万円車は好調
ロイター通信は4月5日、米電気自動車(EV)大手テスラが低価格のEV開発を中止したとの関係者の話を伝えた。中国勢との価格競争で採算が合わなくなったとの見方が広がる。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は自身のX(旧ツイッター)に「ロイターはうそをついている」と投稿した。マスク氏は自社の自動運転タクシーを8月8日にお披露目する方針も明かした。
一方で、中国スマートフォン(スマホ)大手の小米科技(シャオミ)は3月28日に発売した低価格EV「SU7」が好調だ。価格は一番下のラインで21万5900元(約450万円)。
●コンゴ、欧州ERGと亀裂、カナダバッテリー社に影響懸念
コンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)が欧州系のユーラシア・リソーシズ・グループ(Eurasian Resources Group)傘下のコバルトと銅採掘9社による採掘を差し止めている模様だ。Mining weeklyの4月4日の報道によると、コンゴ当局は4月2日のERGとの会談で、差し止めが継続していることを認めたという。
関連記事:コンゴ、欧ERG傘下のコバルト採掘を一時停止か 自国優先、ESGはカナダ企業などから信頼 | MIRU (iru-miru.com)
●台湾で地震発生
2024年4月3日 現地時間午前7時58分(日本時間午前8時58分)頃、台湾花蓮を震源地とした地震が発生した。花蓮における最大震度は6強。
花連市の位置
(出所:Wikipedia)
関連記事:台湾:花蓮を震源地とした地震発生 | MIRU (iru-miru.com)
●独FENECON、EVバッテリーの再利用設備が稼働
ドイツの電力貯蔵用システムメーカーであるFENECONは4月3日、自社ホームページ上で、EV用バッテリーの再利用設備が稼働開始したと発表した。
プレスリリース(ドイツ語): FENECON ist Sieger beim 30. Innovationswettbewerb TOP 100
関連記事:欧州からの風:2014年4月#7 独FENECON大型電力貯蔵システム製造施設をオープン、電池のセカンドライフ活用を推進 | MIRU (iru-miru.com)
●日欧、先端材料で協力強化 EU要人が来日
欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は4月2日、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーに使われる先端材料の開発で、日本と連携を強化すると発表した。
(出所:内閣府ホームページ)
来日したイリアナ・イヴァノヴァ欧州委員(研究・イノベーション担当)が松尾泰樹内閣府科学技術・イノベーション推進事務局長や高市早苗内閣府匿名大臣(化学技術政策)らと会談した。EVの電池に欠かせない希少金属(レアメタル)の代替となる新素材など、先端材料の共同開発などで連携を密にする。
内閣府プレスリリース:イリアナ・イヴァノヴァ欧州委員の表敬 - 内閣府 (cao.go.jp)
関連記事:欧州からの風:2024年4月#1 EU、日本と先端材料に関する協議を開始 | MIRU (iru-miru.com)
●韓国三養社、個体電解物質に追加投資
韓国化学の三養社が4月1日、ソウル市鍾路区にある三養グループ本社で、固体電解質開発・製造会社Solid Ionicsと30億ウォン相当の投資契約を締結した。共同通信PR BissinessWireが同日伝えた。
(IR Universe Kure)
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