欧州からの風:2024年4月#7 独FENECON大型電力貯蔵システム製造施設をオープン、電池のセカンドライフ活用を推進

電力貯蔵用システムメーカー独FENECONは3日、スマート電力管理システムによる電力貯蔵システムを提供するCarBatteryFactoryが本格稼働したことを発表した。
FENECONは、EV用電池を使用し、個人および電力会社や自動車メーカーなど事業用の電力貯蔵ソリューションを提供している。同社は2017年から、EV用電池のセカンドライフ活用における主要アプリケーションである電力貯蔵システムを製造しているが、今回オープンした新施設は同社の生産力を大幅に引き上げる。
広さ24,000平方メートルの施設では、年間大型貯蔵シシテム約500個、一般家庭用の貯蔵システムは30,000個の生産が可能となる。ただし、産業用の大型システムについては、EV用の未使用電池(旧式のものなど)で、「プレミアム自動車」由来のものを使用しており、容量は82kWh から1,288kWhの幅となっている。高級車用の未使用電池は、高品質・長寿命、加えて効率も非常に高いなど多くの利点がある。
新施設には、生産用の建物、倉庫、開発ラボ、事務所、トレーニング用施設などが併設されており、FENECONによると、この施設の開設により地元地域で100件の新規雇用が創出された。施設内で使用される自動車は全て電動となっており、広い施設内の駐車場全てに充電スタンドが設置されることになっている。
建物の屋根には太陽光発電設備を完備、パネルは全て国産にこだわる。暖房設備はオール電化でヒートポンプを使用、夏には冷房設備に切り替えが可能だ。同社電力管理システムは、発電装置・消費・1000kWhと1800kWhの2つの専用大型貯蔵システム全てを管理する。また、電力網は同社開発のAIにより34時間までの電力価格予測が可能なアプリに基づき使用されている。
なお、FENECONは米国への進出も発表しており、現在2件目となるCarBatteryFactoryをサウス・キャロライナへ建設中で、米国市場向けのEV用電池のセカンドライフ活用を行う予定だ。
参考サイト
https://www.electrive.com/2024/04/03/fenecon-opens-factory-for-second-life-battery-storage-systems/
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SCHANZ, Yukari
オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
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