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ファナック(6954) 24/3期決算メモ ややネガティブ継続

24/3期FA、ロボマシン不振で6.7%減収25.8%営利減、今期6.1%減収14.7%営利減予想

株価4526円(4/26) 時価総額45419億円 発行済株1003073千株

PER25/3期DO予(37.3X)PBR(2.51倍)還元率60% 25/3DO予73円  配当性向1.6%

 

要約

・24/3期6.7%減収25.8%営利減とFA、ロボマシン不振で減速も予想比増額着地

・25/3期FA,ロボマシン横ばい、ロボット在庫調整で減収から6.1%減収14.7%営利減予想

・26/3期は25/3下期からの回復継続、新製品群の寄与等で収益回復期待

 

 

4/3期6.7%減収25.8%営利減とFA、ロボマシン不振で減速も予想比増額着地

 

 4/24に24/3期決算発表、同日電話会議が開催された。24/3期は売上高7953億円(1/26増額修正予想比238億円増額、6.7%減)、営業利益1419億円(同97億円増額、25.8%減)、経常利益1818億円(同142億円増額、21.4%減)、税引利益1332億円(同106億円増額、21.9%減)とFA、ロボマシン不振で減速もロボットがQ3まで堅調、円安、販管費の抑制などで増額着地となった。

 

 四半期ではQ4が前年同期比7.9%減収22.0%営利減、Q3比較で0.5%増収、15.6%営利減となっており、中国の景気スローダウンや世界的な金利上昇などの影響でボトムを脱していない。

 

 地域別売上を見ると、米州2273億円(14.0%増)、欧州1685億円(14.9%増)と過去最高額を記録、一方でアジアは1125億円(11.2%減)、中国1716億円(30.1%減)、日本も1051億円(16.1%減)と不振に。また四半期地域別でもQ4米州20.9%増、欧州9.4%増に対し中国35.9%減、アジア14.1%減、日本17.2%減と同じ傾向。なおQ3比較では全体が0.5%増に対し、アジアが12.4%減と最大、日本が4.9%減、中国が7.7%増、米州3.8%増、欧州1.7%増などとなっている。四半期受注では全体で1734億円(同期比16.2%減)とBBレシオも0.87と低迷。スポットの入ったアジアが10.1%増となった以外何れも同期比減少し、特に中国39.2%減、米州も12.9%減、欧州10.9%減など2ケタ減、Q3比では全体で4.8%増、こちらは欧州の18.4%減を除き2ケタ増と、受注としてQ3がボトムとなった可能性がある。

 

 製品別ではロボットが3809億円(6.7%増)、サービスが1306億円(16.5%増)と何れも過去最大を記録、一方でFAが1804億円(27.9%減)、ロボマシン1034億円(22.1%減)と世界的な工作機械受注、射出成形機などの受注不振が影響し、2ケタ減に。なお受注額ではサービスが1275億円(15.6%増)となった以外、ロボット2981億円(30.6%減)、FA1624億円(16.0%減)、ロボマシン764億円(39.1%減)とロボットが受注面では急減している。四半期推移でサービスの同期比18.0%増を除き減少、Q3比ではロボットの6.9%減を除き増加している。また四半期受注ではサービスが同期比18.7%増、FAが27.4%増とボトムを脱した感じとなった反面、ロボット35.4%減と大幅減、ロボマシンが28.9%減と低迷継続に。

 

 なお最大部門のロボットにおいて、ロボット工業会との比較では、従来、工業会よりも受注で高い伸びを示していたがここに来て工業会よりも減少率が高くなっているのが気がかり。

 

 利益面では収益性が高いと推定されるFA部門の比率が22.7%と6.7ポイント低下、採算の良いとみられるサービスが3.3ポイントアップし16.4%となったものの、全体としてMIX悪化、さらには稼働率低下などで総利益率が3.5ポイント悪化し34.7%、販管費を抑制してほぼ横ばいに止めたものの減収影響で販管費比率が1.1ポイント悪化し16.8%となり、大幅営利減に。なお円建て輸出比率が大半とみられるがそれでも想定に対し大幅な円安効果もあり、1/26予想比では上振れで着地した。

 

25/3期FA,ロボマシン横ばい、ロボット在庫調整で減収から6.1%減収14.7%営利減予想

 

 25/3期会社予想は売上高7464億円(6.1%減)、営業利益1210億円(14.7%減)、経常利益1494億円(17.8%減)、税引利益1073億円(19.4%減)予想と2期連続で減収減益予想とした。部門別、市場別予想の開示はないが、ロボットは前上期までは堅調だったことの反動減が影響、在庫調整が進んでおらず調整が9月くらいまで継続するとして減収見通し、FAは当面受注が同レベルで推移、工作機械の緩やかな受注回復を見込むも上期は横ばい基調、ロボマシンも受注底打ちするも下期からの緩やかな回復程度に止まるとして、諸経費増などで減益予想とした。

 

 現状、工作機械工業会受注予測がほぼ横ばいの1.5兆円、日本ロボット工業会では受注9000億円(6%増)予想となっている。但しロボットについては足元の24年1~3月が同期比24.0%減と市場環境が悪化している状況。会社見通しに違和感はなく、1$=135円(24/3期は1$=144.62円)前提で置いていることから、24/3期同様に円安分で期初計画比増額するパターンで今期も多少会社想定を上振れる収益が見込まれる。

 

26/3期は25/3下期からの回復継続、新製品群の寄与等で収益回復期待

 

 26/3期は自動車においてはEVに対する設備投資の見直しなどの影響が懸念されるものの、一方ではHEVや高効率エンジン車等への投資もあり得る状況で、全体としては自動運転や電動化投資の進化の加速などで、設備増が見込まれる。加えて半導体設備投資の本格回復、世界的に省人化、自動化投資のニーズの高まり等でFA、ロボット需要の回復が見込まれる。

 

 このような中で同社はai-Dシリーズサーボを投入、サーボシステムのエネルギー損失を10%低減、更にサーボモータの送り精度を2倍に向上させ工作機械の高精度化、加工サイクルタイムの短縮を実現、さらに小型化も実現した。同シリーズの投入で改めてCNC装置、ロボットの世界NO1企業として差別化された製品群の拡大で、新生産革命の中核企業として収益拡大が見込まれる。但し、成長の中心はロボット事業とみられ、高シェアのCNC装置の構成比率は低下が続くとみられ、MIX悪化が継続する見通しから、総利益率の改善は小さいとみられ、利益の伸びは過去のような変化率とはならないと見られる。

 

 株価は業績不振から低迷、23年6月19日の高値5334円から下落し、10/30には3603円まで下落し、その後は減益予想ながら業績の上方修正で株価が戻し、4/24の24/3期発表当日に年初来高値4613円を付けた。現在、会社25/3期予想EPS113.47円に対しPER40倍は、同社高値平均PER40倍に近づいており、プライム電機平均PER23.7倍に対し割高感があり、ロボットの安川電機の30.8倍と比較しても割高感がある。日本を代表するハイテク株ではあるものの、CNC装置で稼ぎ出した高収益体質から、ロボット売上構成比の高まりとともに製品ミックスの変化から収益性の大幅回復は期待しにくい。また自動車産業への投資以上に半導体産業への投資が拡大する方向から、同社の成長スピードが半導体製造装置メーカーの成長スピードに劣後する見通しから、25/3期増額修正見通しもややネガティブ継続と判断する。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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