米商務省は7月17日、中国産黒鉛(グラファイト)に93.5%の反ダンピング(不当廉売)税を暫定的に課すとの予備的文書を発表した。ロイター通信が7月18日に伝えた。最終決定期限は12月5日。炭素含有量が重量比90%以上の陽極グレード黒鉛材料に適用され、合成黒鉛、天然黒鉛、または両者の混合物が対象となる。
ロイターによると、米国の業界団体が2024年末に米政府に対し廉価な中国産グラファイトの輸入による弊害を申し立て、調査を嘆願していた。これを受け、米商務省は5月、中国産グラファイトに暫定的に6.55%の関税をかけ、一部企業には700%を課していた。
グラファイトは電気自動車(EV)向けバッテリー材料に使用される。米国での価格が高騰すれば、米国でバッテリー事業を手掛けるパナソニック・ホールディングス(HD)などの日本勢にも影響が出る可能性がある。
中国産グラファイトは中国国内の需要低迷にもかかわらず過剰生産が続いたことで、2023年からじりじりと価格が下落した。7月17日時点ではRMB9.250/tonで推移している。
過去5年間の球状黒鉛価格の推移(99.95%min 17um maxim china)(RMB/ton)
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(IR Universe Kure)