豪金鉱ティエット、中国・招金鉱業の敵対的買収に屈服 権益4割を掌握される
オーストラリア金鉱採掘企業のティエット・ミネラルズ(Tietto Minerals)は4月30日、自社ホームページと上場するオーストラリア証券取引所(ASX)で、中国同業の招金鉱業集団からの敵対的買収の実質的な受け入れを発表した。売却額は約7億3300万豪ドル(約750億円)程度になる見通し。半年ほど前から仕掛けられていた敵対的買収に屈した形だ。
■大株主2名が寝返ったか
プレスリリース(ティエット、英語):02801057.pdf (weblink.com.au)
プレスリリース(招金、中国語):2024042400229_c.pdf (hkexnews.hk)
ティエットは4月30日、同社の株主に対し、招金に提示された条件で保有株を招金に渡すか、不服がある場合はASXで売却するよう呼びかけた。既にティエットの議決権のうち4割超を招金が保有している状態で、経営のコントロールが取れなくなる恐れがあるためと説明した。
招金側はこれに先立つ4月24日、上場する香港証券取引所で、「ティエットの買収に関しこれまで課されていた条件はなくなった」と発表していた。
招金はそもそも2023年10月にティエットに買収を持ち掛けていた。当時の条件はティエット株1株当たり0.58豪ドル。ティエット側はこの提案を「企業価値を過小評価している」として即座に却下し、株主に対しても「保有株売却に応じないよう」呼びかけていた。
しかし、その後も招金はティエット株の買い増しを続け、出資比率を4月26日時点で16%超まで増やした。同時に買収条件も1株当たり0.68豪ドルまで引き上げた。結果、「大株主の少なくとも2名が招金に持ち株を売却したと考えられる」事態となり、ティエット株の4割が招金側に渡ることになった。
招金は4月26日の発表で、ティエットの議決権の51%以上の確保を目指すと宣言。ティエットは態度を一転させて株主に招金の求めに応じるように呼び掛けるに至った。
■金相場が過去最高を更新する中で
ティエットは西アフリカのコートジボワールで金を採掘する。足元では金相場が過去最高値を更新し続けており、同社は今後さらに利益を上げることも可能だった。このためmining.comなどの4月30日の報道によると、ティエットの経営陣は「なお企業価値が過小評価されている」と感じているもようだ。
対する招金は山東省に本拠を置く国有企業である招金集団の香港上場子会社。中国の金鉱最大手である紫金鉱業集団も出資する。足元では中国の金需要が伸びているため、海外資産の買収に乗り出した可能性がある。
過去1年間のNY金価格の推移($/toz)
(IR Universe Kure)
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