金、1-3月期は需給微増 投資向けは2.7倍に、WGCレポート 中央銀の購入一服感
国際組織のワールド・ゴールド・カウンシル(world gold council、WGC)が4月30日に発表した2025年1-3月期の金の需給レポートは、供給と需要がともに1206トンでそれぞれ前年同期比1%上昇した。金相場の上昇を受け、投資向けや関連の上場投資信託(ETF)需要が大きく伸びた。
■投資向けは3倍近くの増加
プレスリリース:Gold Demand Trends: Q1 2025 | World Gold Council
供給量を詳しく見ると、全体の7割を占める鉱山生産が前年同期から横ばい、リサイクル生産は1%減だった。一方需要は、投資向けが2.7倍に急増。黄金バーも14%増え、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)での金相場が38%上昇したのに伴う投資向け需要の旺盛さが際立った。一方、原材料費と加工費の上昇を背景にジュエリー向けは19%減少。電子工学向けや歯科向けもさえなかった。
金の用途別需要の推移
(出所: ワールド・ゴールド・カウンシルのホームページ)
■5月は伸び悩み、中央銀の購入に一服感
金の国際価格は、NY金相場も3月末に$3150/tozと年初から19.2%上がった。その後は4月21日に$3425と過去最高値を更新したが、5月に入りやや伸び悩んでいる。
過去6か月間のNY金価格の推移($/toz)
市場では、米金融ゴールドマン・サックスが年末の金の予想価格を$3700/tozに、JPモルガンが$4000にそれぞれ設定するなど、予想水準を引き上げる動きが相次ぐ。米トランプ政権による関税の応酬などを背景に世界景気の先行き不透明感が根強く、安全資産としての金の需要が続くとの見立てが多い。
ただ、金需要の2割を占める中央銀行による金資産の購入量は、1-3月期に244トンと2024年10-12月期の365トンから減速し、前年同期比でも21%減った。ドル離れに伴う各国の中央銀行による金購入がこれまでの需要増を支えてきた面もあるだけに、今後の変調の兆しも感じられる。
(IR Universe Kure)
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