日本ピラー工業(6490) 24/3期決算説明会メモ ポジティブ継続
24/3期20.3%増収2.6営利増で連続最高益、25/3期5.8増収8.5%営利減予想も増額期待
株価5610円(5/25) 時価総額 1404億円 発行済株25042千株
PER(25/3DO予:12.4X)PBR(1.87X) 配当(25/DO会予)159円 配当性向2.8%
要約
・24/3期20.3%増収2.6%営利増で2/13増額修正予想比増額着地し3期連続最高益
・四半期も23/3Q4で20.3%増収14.2%増と好調維持も受注は半導体向け一服で35.1%減
・24/3期は資材高等のコスト増、調達難などで8.2%増収3.6%営利増予想も増額期待
・新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ達成期待
24/3期20.3%増収2.6%営利増で2/13増額修正予想比増額着地し3期連続最高益
体制御関連の総合シールメーカー。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品に強味を保ち、特にフィッティング等で90%シェア。5/13に24/3期決算が開示され、5/17に決算説明がなされた。24/3期は売上高586.05億円(2/13増額修正予想比16.05億円増額、20.6%増)、営業利益142.06億円(同6.06億円増額、2.6%増)、経常利益150.98億円(同8.98億円増額、6.8%増)、税引利益107.80億円(同7.80億円増額、3.4%増)と増額且つ営業減益予想から増益に転じ3期連続最高益更新となった。なお受注額は505.48億円(6.8%減)、受注残高150.79億円(29.5%減)と半導体関連の減退と能力増強効果で受注の消化が進んだ。
セグメント別では電子機器関連が売上高404.75億円(同4.75億円増額、9.9%増)、営利112.55億円(同2.55億円増額、4.3%減)、受注330.51億円(21.3%減)、受注残高109.66億円(40.2%減)に。半導体製造装置関連業界向けフッ素樹脂製品群が堅調、加えて免震関連装置が大幅増となった。ちなみに最大手ユーザーであるスクリーン向けは76.43億円(18.1%増)と、半導体製造装置各社が収益一服の中でスクリーンの寄与は大きい。なお利益面では福知山第2工場竣工に伴い償却負担が18.02億円(36.8%増)、移転に伴う一時費用3億円、R&D投資増等が影響し営利減、償却控除前営利は130.57億円(0.1%減)に。
産業機器関連は売上高180.93億円(同10.93億円増額、52.8%増)、営利29.28億円(同3.28億円増額、42.2%増)、受注174.86億円(43.0%増)、受注残41.12億円(37.3%増)となった。産業機器向けはメカニカルシールが半導体製造装置向け低調も、エネルギー関連での補修品が好調に推移、グランドパッキンやガスケット製品が石化プラント向けに増加。またタンケンシールセーコウ54億円分が加わっているため、これを除くと実質7%増。利益面でもタンケンシール分が4.40億円あり、既存事業では三田イノベーションセンター竣工に伴う償却費8.39億円(34%増)の中で21%増の増益となっている。
仕向先別では国内415.38億円(23.9%増)と、タンケンシール向けが54億円含まれるが、これを除いても7.8%増となっておりスクリーン向けの拡大76.43億円(18.1%増)の寄与が大きい。海外は170.67億円(12.5%増)で、米国向け45.94億円(6.6%減)と製造装置向けが一服、アジア向けは101.97億円(24.0%増)と中国向け半導体関連の堅調、エネルギー市場向け補修品の好調が寄与。
市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが357.98億円(7.4%増)とスクリーン、中国向けが好調、一方でCMP向けのロータリージョイントは荏原やアプライドマテリアルズ向けが一服。土木・建築向けは22.78億円(30.7%増)と、半導体工場向け免震装置、都市再開発向け等が好調。石油・鉄鋼・輸送は39.17億円(21.4%増)とプラント安全対策、環境関連が好調。電力・エンメルギーは18.97億円(43.2%増)と定期修理増・補修品好調が寄与した。一方で、化学分野は44.040億円(9.2%減)と内外定期修理案件が低調。
営業利益の増減では原材料価格、加工費等の影響でコストアップ25億円増、減価償却費増や移転コストなどの製造経費12億円の減益要因を販売増、製品値上げで吸収し34.50億円のプラス、円安効果6.4億円も寄与。また販売管理費が人件費増やタンケンシールセーコウのグループ化費用増などで販管費影響5.2億円増となるも全体として増額着地に。
25/3期は設備投資増、100周年行事の一時費用増で5.8%増収8.5%営利減予想も増額期待
25/3期は売上高620億円(5.8%増)、営利130億円(8.5%減)、経常利益130億円(13.9%減)、税引利益90億円(16.5%減)予想と、設備投資増、100周年行事の一時費用増等で増収減益予想。但し償却前営利では167億円(0.9%減)とほぼ横ばい予想に。
セグメント別では電子機器関連が売上高437億円(8.0%増)、営利105億円(6.7%減)と、半導体関連の拡大が続く見通しで増収も、免震装置などで反動減7億円などがあり、利益は償却負担増影響で減益見通し。産業機器関連は売上高183億円(1.1%増)、営利25億円(14.6%減)予想と、精密メカニカルシールの回復が下期になる見通しの他、プラント向けが落ち着き、利益面では償却負担増やMIX悪で営利2ケタ減予想。
現状、半導体製造装置業界では洗浄装置が堅調、同社最大ユーザーのスクリーンの収益拡大が続く見通しの他、その他半導体製造装置向けも下期急回復が見込める。また国内での半導体、半導体関連材料メーカーの大型設備投資が相次ぎ、フッ素樹脂製品群の拡大が続こう。既に受注面ではボトムを売った状況から、下期は売上増が加速し売上増額が見込める。利益面では材料高、大型設備実行での償却負担増も有り、営業減益を見込むが、実質は減価償却費増、R&D増が主因で大きな落ち込みではない見通で、売上増額で利益も増益に転じよう。産業機器関連はCMP向けのロータリージョイントなどの在庫調整が上期まで伸びるとみて、緩やかな増収を見込むが、生成AIなどで多層化ニーズからCMP需要が急拡大する見通しにあり、産業関連機器も収益増額が期待される。
全体を通じ、恵まれたユーザー向けの拡大に支えられ、24/3期同様に増額修正が見込まれ、結果として今期も営利増益に転じ、4期連続整理最高額更新が期待される。
新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ達成期待
同社は前期、新中期経営計画を策定、26/3期に売上高660億円、営業利益170億円を目標として掲げた。事業別では電子機器事業が売上高480億円、営利145億円、産業機器事業が売上高180億円、営利25億円を目指すとしていた。しかし既に24/3期が計画比増額修正となり25/3期も会社計画を上回る見通しから、26/3期中計予想超過達成が見込まれる。
現状、25/3期後半から国内半導体工場新設も建物から、製造装置の設置ラッシュに移ってくる見通し。同社が強味を持つ洗浄工程向けは微細化とともに洗浄工程の増大で市場平均を上回る需要が見込まれる。また車載関連ではADAS向けのフッ素樹脂基板なども次世代ミリ波対応で再拡大が見込まれる。さらに、電池や水素製造向けに新製品投入なども期待され、26/3期以降も収益の拡大が期待される。
株価は5/13の引け後好決算発発表を先読みして6700円の年初来高値更新を演出したものの、発表内容が25/3期会社予想が減益予想を開示したため、5/14に株価が急落、減現在、高値から1200円下落した状況にある。現在、25/3期会社予想EPS386.17円に対しPER14.5倍は、プライム市場機械平均PER21.0倍に対し、割安感がある。なお類似事業を行うニチアス11.4倍、バルカー13.7倍、11.9倍と比較して多少高めであるものの、同業界の代表企業であり、25/3期も増額修正で4期連続最高益更新が期待され、26/3期中計の前倒し達成も見込めるだけにポジティブ継続と考える。
バルカー、ニチアス、イーグル工業との相対比較
(H.Mirai)
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