CO2排出しない純燃料電池船に船舶検査証書、東京海洋大学

船舶検査証書の交付を受けた「らいちょうN」(東京海洋大学提供)
東京海洋大学(東京都港区)は24日、二酸化炭素(CO2)を排出しない純燃料電池船である小型実験船「らいちょうN」が、日本小型船舶検査機構から船舶検査証書を交付された、と発表した。水素燃料電池とリチウムイオン電池だけで運航できるハイブリッド制御による船舶。同大学によると、同様の船舶に対する交付は国内で初めてという。交付されたことで、「水素燃料電池船が、安全に建造、運航できることが示された。普及に大きく貢献できる」としている。
水素は、船舶でのゼロエミッション燃料として期待されている一つ。海運分野での温室効果ガス削減は、国際海事機構(IMO)などで検討が進み、大きな課題になっている。ただ、国内では、水素燃料電池船について、安全性確保に向けた十分な措置を講じることが求められているという。
らいちょうNは12人乗り。小型船舶で全長14メートル、全幅3・5メートル、深さ1・5メートル、重さ9・1トン。同大学の大出剛特任教授らの研究グループが2022年から24年にかけて、国土交通省が21年8月に策定した「水素燃料電池船の安全ガイドライン」の約200項目に適合するよう、らいちょうNの調査、対応を繰り返してきた。
船舶での水素燃料電池の安全性や制御の研究だけでなく、船舶での振動や温度、塩害などに対する水素燃料電池の耐力、港湾で船舶に水素燃料を供給する水素バンカリングについての研究などの成果を反映してきたという。
同大学は「これにより、水素燃料電池船の普及の第一歩を踏み出すことができた」とコメントしている。水素燃料電池船は、関西万博でも運航されることが決まっている。
同大学では今後、らいちょうNについて、同様の船舶の普及のための研究などに活用していくという。厳しさが増す夏時期の船舶の様々なデータ解析やその対処法の検討を進めるほか、陸上のインフラを絡めたトータルエネルギーマネージメントについて研究を深化させることで、船舶を効率良く運航させていく方法などを研究していくという。
(IRuniverse Kogure)
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