インドネシア産中間原料由来のClass1ニッケル増産が相場を下押し―日本鉱業協会会見

会見に出席した関口会長
日本鉱業協会の関口明会長は25日、同協会の定例記者会見に出席し、ニッケル相場の5月中旬の高騰について、「ニッケル生産国であるニューカレドニアの政情不安を受けての一時的な動きであった」と推測したうえで、インドネシア産中間原料由来のClass1ニッケルの増産が需要を上回るペースで発生するとの思惑が、「相場の下押し材料となっている模様」と見解を示した。
ニッケル相場は5月中旬にかけ 2万1000ドル台まで上昇したが、その後は下落トレンドに変化した。5月下旬には節目の2万ドル台を割り込み、6月はそのまま右肩下がりとなり、同月下旬に1万7000ドル台を割り込む結果となった。足元は1万6000ドル台前半で推移しているという。
また、質疑応答では、非鉄ベースメタル相場の変動要因について回答。実需だけでなく、投機筋の思惑や中国の景気対策、為替介入などが「複雑に動いている」とし、「正直言って見極めるのは難しい」と述べた。
日本鉱業協会によるニッケル以外の非鉄金属の市況報告の概要は以下の通り。
銅相場は5月20日に史上最高値を更新し、現物価格は1万857ドル/tに達した。 EVや再生可能エネルギー関連、AIなど新たな産業で消費が拡大するという予測が背景として挙げられる。6月に入ると価格は調整局面に入り、足元では9200ドル前後と弱合みの様相を見せている。
亜鉛相場は、5月後半は3000ドル/tを上回っていたが、その後に調整局面を迎え、6月には2700ドル台に低下し、足元でもほぼ同じ水準で推移している。亜鉛は相対的に電力コストの割合が高く、エネルギーコストが高止まりする中、欧州では補助金で製錬所の操業が再開された例もある。国内の製錬所にとっては円安の継続で電力代の負担は引き続き大きく、確かな電力供給政策が求められていると考えている。
鉛相場については、6月は約2100ドル台半ばで推移し、足元も2100ドル前後。鉛はリサイクル率が高く、生産調整が比較的容易であることから、需給は概ねバランスを保つとみられるが、自動車生産台数が安定的に推移することが望まれる。
金相場は、5月下旬に2,400ドル/tozを超え、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では2024年の利下げ回数の減少が示され、アメリカでのインフレへの対処が引き続き必要という認識が広がる。足元でも2400ドル前後となっており、ウクライナなどでの地政学リスクが収束しない状況下では堅調な動きが続くと思われる。
(IRuniverse K.Kuribara)
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