半導体(DRAM&NAND)市況 7月実績と8月予想―値上がり傾向は継続

2024年7月のDRAMやNANDフラッシュメモリーの実績価格(当社調べ、以下同)と8月予想は下表の通りとなった。前月に引き続き、値上がり傾向が継続する模様だ。インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)は「全体的な回復はまだ緩やかなペースだ」と分析しており、今後の動向に注目が集まっている。
IDCのワールドワイド四半期モバイルフォントラッカーの暫定データによると、2024年第2四半期(2Q24)の世界スマートフォン出荷台数は前年比6.5%増の2億8,540万台となった。出荷台数の増加は4四半期連続となり、今年予想される回復に向けて勢いが増しているが、需要はまだ完全に回復しておらず、多くの市場で依然として厳しい状況が続いている。全体的な回復はまだ緩やかなペースだ」とIDCは分析している。
2024年第2四半期は、BOMコストの(サプライヤーからの)値上げ圧力により一部のOEM(スマホメーカー)はそれほど積極的ではなかったため、収益性を確保するために製品仕様や価格を改良せざるを得なかった。そういった局面ではあるものの、第2四半期は、今年後半にさらに多くのGen AIスマートフォンが発売される前の前兆のようなもので、5Gや折りたたみ式スマートフォンに次ぐ成長の原動力となる可能性があるとの見方がある。スマートフォンの主要半導体の一つであるNANDは当該市場に大きく左右されるとみられる。
また、Micron Technologyの2024会計年度第3四半期(2024年3月〜5月)の売上高は前年同期比82%増の68億1100万ドルと好成績を残した。最終損益は3億3200万ドルの黒字となり、2四半期連続の黒字化を達成したという。前四半期同様にAI向けメモリの需要拡大が続いていることがこの伸びに寄与したようだ。
同社のサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は6月26日に開催した決算説明会で、「堅調なAI需要と強力な実行力により、売上高は前四半期比で17.8%増という成長率を達成し、事前ガイダンスの上限値を上回った。現在、HBMなどの高利益率製品でシェアを拡大しており、データセンターSSDの収益は過去最高を記録したほか、DRAMとNANDにおける自社のAI製品ポートフォリオの強さを証明した。我々は今後のAI市場の拡大に期待をもっており、2025会計年度に記録的な収益を達成する態勢が整いつつある」と述べている。
同氏は、「Micronは今後数年にわたるAIの成長機会の恩恵を受ける半導体企業の1社だ」とも述べており、同社が提供するHBMの生産出荷分はすでに2024年のみならず2025年分も完売しているとし、HBMで先行するSK hynixを追随する意欲を示した。さらには、2025年に向けてAI機能がスマートフォンとPCの需要喚起に貢献するとの予想。2025会計年度における成功に自信を覗かせている。
(DRAM価格の推移 $/no)
(NANDフラッシュメモリー価格の推移 $/no)
(IRuniverse/MIRU)
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