CO2排出量の推計には「自治体排出量カルテ」の活用を―地域再エネセミナーにE-konzal登壇

環境・エネルギー分野に特化したコンサルティングを行うE-konzal(イー・コンザル、大阪市、榎原友樹代表)の越智雄輝主任研究員は1日、環境省のオンラインセミナー「はじめよう! 地域再エネセミナー」の第2回に登壇し、「CO2排出量の推計はこうすればできる」の題で講演を行った。同氏は自治体で再エネ事業を開始する際は、環境省「自治体排出量カルテ」などの既存データを有効活用し、「施策の検討に時間・労力を掛けるべき」と呼びかけた。
「はじめよう!地域再エネセミナー」は地域脱炭素を進めたいと考えている自治体職員を主な対象として、地域に利益をもたらす再エネや省エネに関する基礎的な知識や事例を紹介するもの。第2回講義のテーマは「実行計画(区域施策編)作成の留意点」。越智氏のほか、岡山県瀬戸内市や愛知県岡崎市の職員らが講師を務め、区域施策の策定事例なども取り上げた。
越智氏は、講演冒頭に、「CO2排出量を推計する必要はない」と断言。環境省が無料公開している自治体排出量カルテなど排出量を推計した既存のデータベースを活用することで、排出量推計のプロセスを省き、施策の検討やその後の具体的な施策にコストを割くべきだと見解を示した。
自治体排出量カルテは都道府県・市区町村の部門別CO₂排出量の現況推計等の時系列データをわかりやすく可視化した資料のこと。CO₂排出量に加えて、FIT・FIP制度による再エネの導入状況やほかの地方公共団体と比較したデータを包括的に把握できる。
越智氏は、同システムに加え、地域の再エネポテンシャルをマップで確認可能な再生可能エネルギー情報提供システム「REPOS」(環境省)なども紹介。現時点では対象地域が限られるなどの課題もあるものの、実行計画の作成を支援するツールとして積極的な活用を推奨した。
また、区域施策の目標設定の考え方にも言及し、国の目標を踏まえて、「2013年度を基準年度として30年度を目標年度に設定するのが基本」となると説明した。さらには、短期的にはCO2排出量の削減効果のある対策でも、長期的には「脱炭素化の足枷(ロックイン)になる可能性もある」と注意喚起し、長期的な視点の重要性を主張した。
第3回のテーマは「地域にあった再エネ導入を探る(太陽光、木質バイオマス熱利用、小水力、畜産・農業・水産バイオガス)」。再エネルギーの種別ごとの特徴の理解を促す。8月21日13時開始。
(IRuniverse K.Kuribara)
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