金属技術が支えるドローン産業―TECHNO-FRONTIER 2024③
JFEスチールは東京ビッグサイトで7月に開催された「TECHNO-FRONTIER 2024」に出展し、高周波用途電磁鋼板「スーパーコア®」などの製品をPRした。同製品は、高周波で励磁した際に発生するエネルギー損失を指す高周波鉄損が低く、モータ効率を高めることからドローン用途として引き合いが増えているという。
電磁鋼板は鉄に鋼の電気抵抗を高めるSi(珪素)を添加したもので、珪素鋼板とも呼ばれる。モータや変圧器の鉄心材料として広く活用されている。特に同社が2020年にスーパーコアシリーズとして発表した高速モータ用Si傾斜磁性材料「JNRF®」は、浸珪量と拡散条件の最適化により、従来の無方向性電磁鋼板(3%Si鋼板)並みの磁束密度(トルク)を維持したうえでの、モータの大幅な高効率化に成功。ドローンや次世代自動車など多くの産業からの注目を集めている。
国内のドローンビジネスの市場規模は2023年時点で3800億円に到達したともいわれており、現在も成長を続けている。農業や水産業、エネルギー、建築など産業分野においても機動力やコストが評価され、急速に普及しているところだ。「TECHNO-FRONTIER 2024」と同時開催された国際ドローン展でも、多様化するニーズに応えた機体が数多く紹介された。
Liberawareの屋内狭小空間点検用ドローン
産業分野に特化した非GPS型小型ドローンの開発を行うLiberaware(リベラウェア、千葉市、閔弘圭代表)は、屋内狭小空間の点検用ドローン「IBIS2」などを展示し、来場者の関心を引いた。同機体は横幅約20㎝、重量243gで業界最小、最軽量クラスの小型ドローン。30cm点検口への進入や、直径50cmの配管内の飛行ができるほか、柔軟なポリカーボネート素材をボディ部分に採用し、施設を傷つけないよう配慮されている。
また、独自の防塵構造モータを搭載したIP51規格の機体は粉塵・水滴環境下での飛行も可能。金属業界を含めた工場点検での活躍が望まれる。金属業界と関係が深いドローン産業の動向に今後も注視していきたい
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(IRuniverse K.Kuribara)
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