バルカー(7995)25/3Q1決算メモ ニュートラル継続
25/3期はフッ素樹脂特殊製品需要剥落で1.2%増収8.5%営利減予想、26/3期は回復期待
株価3520円(8/6) 時価総額657億円 発行済株18,689千株
PER(25/3DO予:11.7X)PBR(1.27X) 配当(25/3DO予)160円 配当利回り:4.5%
要約
・25/3Q1はフッ素樹脂特殊タンク需要一服し1.7%減収27.8%営利減
・25/3期予想変更なく1.2%増収8.5%営利減予想も下期半導体製造装置向け増額期待
・27/3期に売上高800億円、営利120億円目指すが達成には課題も
25/3Q1はフッ素樹脂特殊タンク需要一服し1.7%減収27.8%営利減
25/3Q1決算が7/30に発表され、売上高152.30億円(1.7%減)、営業利益14.46億円(27.8%減)、経常利益18.56億円(12.1%減)150.10億円(7.0%減)、受注残105.78億円(27.5%減)となった。フッ素樹脂特殊タンク需要一服で利益低迷に。
事業別にシール事業は売上高98.93億円(0.8%増)、営利11.90億円(1.5%増)、受注102.08億円(15.7%増)、受注残60.56億円(4.5%増)に。受注は高シェアのエラストマー製品でフッ素樹脂ガスケットやOリングなど半導体産業向け等が回復基調、市場別売上では先端産業向けが34億円(6.3%増)と緩やかな回復に。一方で機器市場向けは36億円(2.7%減)と一般産業向けが一服した模様。利益面では先端産業向け増加で微増益に。
機能性樹脂製品は売上高45.68億円(6.7%減)、営利2.89億円(65.3%減)、受注は40.61億円(36.7%減)。先端産業向けが売上高26億円(18.2%増)と、スクリーンなどの好調で洗浄装置向けなどが拡大、一方機器市場は7.0億円 (17.6%減)、プラント向け11.5億円(34.3%減)と高機能フッ素樹脂タンクの特需剥落が影響した。利益面でも特需剥落影響が大きく大幅減益に。
再生ウエハ事業他は売上高7.68億円(1.4%減)、営業損失0.33億円(0.28億円悪化)、受注7.48億円(17.6%減)に。主力のウエハ再生事業が堅調もH&S事業が停滞、利益は新規事業の停滞が続き赤字継続。
全体を通じ市場別で先端産業向けが68億円(11.5%増)と回復基調もフッ素樹脂特殊タンク製品の特需剥落、諸経費増2.58億円などが影響し利益低迷に。
25/3期予想変更なく1.2%増収8.5%営利減予想も下期半導体製造装置向け増額期待
25/3期会社予想に変更はなく、売上高625億円(1.2%増)ながら、営業利益65億円(8.5%減)、経常利益65億円(12.2%減)と、特殊タンク特需一服でMIX悪化から減益予想としている。
製品別ではシール製品が売上高402億円(8.2%増)、営利51億円(62.4%増)予想。下期にかけ半導体設備投資が本格拡大し、先端市場向けが149.5億円(26%増)と伸長、機器、プラント向けが横ばいでMIX良化から利益率が向上し大幅増益見通しに。一方、機能性樹脂製品は売上高192億円(11%減)、営利14億円(65%減)予想。特殊タンク特需が剥落、先端市場向けを96億円(20%減)と見込み、機器、プラント向けが横ばいでMIX悪化から利益大幅減予想。その他事業は売上高31億円(3%増)営利0億円と赤字解消を見込む。
市場別では先端市場向けが273億円(2.6%増)と特殊タンクの大幅減、シール製品の大幅回復を見込み、全体では緩やかな回復に止まる予想。機器市場(0%増)は自動車向け堅調も産機向けが低調継続で横ばい見通し。プラント市場も164億円(1%増)予想と横ばいを見込む。
全体としてスクリーンの増額修正や国内半導体工場の設備増強などが相次ぎ、先端産業向けは下期に回復が加速すると見られ、特殊タンクも半導体新規設備投資増で改めて受注が回復しよう。このため会社計画を若干上回る収益が期待される。
27/3期に売上高800億円、営利120億円目指すが達成には課題も
同社は新中計としてNF2026を策定、27/3.期に売上高800億円、営利120億円の実現を目指す。事業別では戦略製品の拡大等で先端産業向け売上高を24/3期266億円から420億円、売上高比率で50%超を目指す。機器分野は横ばい基調、プラント事業はソリューション事業拡大などで190億円を目指す。また新規分野についてAI/ITソリューション事業を27/3期に30億円まで拡大する方針。
現在、先端産業向けは25/3期に増額が見込まれるが、シール事業、機能性樹脂はライバル企業もあり、達成のハードルは高い。また新規事業は具体化が見えず、中計計画の未達懸念がある。
株価は25/3期会社予想EPS284.43円に対しPER12.4倍と、日本ピラー工業の11.3倍、イーグル工業の10.2倍、ニチアス10.4倍と似通った水準にある。プライム市場機械平均PER17.9倍に対し割安であるが、中計達成に向けた具体性に欠けるところもあり、当面、ニュートラル継続としたい。
(H.Mirai)
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