日本トムソン(6480)25/3Q1決算メモ ややポジティブ継続
25/3Q1は半導体不振で10.9%減収93.3%営利減、25/3期1.7%増収2.0%営利減に減額
株価494円(8/13) 時価総額363億円 発行済株73501千株
PER(25/3DO予16.2X)PBR(0.44X)配当予19円 配当利回り:3.8%
・25/3Q1は12.9%減収44.4%営利減と半導体製造装置、チップマウンタ向け不振で低迷
・25/3期半導体製造装置等の回復遅れ、1.7%増収、2.0%営利減に減額修正
・中計2026策定し25/3期~27/3期平均で営利90億円目標達成はハードル高い
25/3Q1は12.9%減収44.4%営利減と半導体製造装置、チップマウンタ向け不振で低迷
直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等に強味。8/8に25/3Q1決算が行われ、同日説明資料が開示された。25/3Q1は売上高130.06億円(10.9%減)、営業利益10.69億円(93.3%減)、経常利益8.09億円(52.9%減)、税引損失3.19億円(15.28億円減で赤字転落)と収益低迷に。さらに生産高は114.44億円(13.0%減)と低迷、但し受注高139.20億円(28.3%増)、と本格回復している。
なお工作機器工業会生産統計でも24年第2四半期生産が15.5%減となっており、業界動向通りの低迷となっている。
地域別で米州を除き減収、日本は63.44億円(7.8%減)とマウンタ需要、半導体製造装置、工作機械向けが減退。中国は景気減速で15.80億円(27.2%減)、欧州も16.60億円(7.1%減)と精密、一般、市販が減少、その他地域も11.27億円(35.1%減)と低迷した。米国は22.94億円(13.8%増)とエレクトロニクス向けは低調もロボット、一般機械向けが増加、円安も寄与し増収に。
業界別では直販分が67.61億円(5.8%減)で、工作機械向けが5.88億円(25.9%減)と大きく減少、エレクトロニクス向けが21.79億円(3.3%減)とマウンタ、半導体製造装置向けが一服、一般機械向け33.65億円(3.9%減)などは1ケタ減少。厳しさが増したのが市販と輸出を加えた合計で62.45億円(15.8%減)と、円安でも海外向けが販売減、国内代理店の在庫調整の影響が大きく出ている。
利益面では円安効果で為替差益5.19億円のプラス効果も、減収影響7.21億円、在庫評価減(金額の開示は無い)や生産減(同期比13.0%減の114.44億円)で原価高影響が8.91億円有り、売上総利益率が3.3ポイント悪化し29.8%に低下した。更に販管費が人件費、諸経費増で38.07億円(0.4%増)と増加する等で大幅営利減に。また税引利益は繰延税金資産の取崩しから税負担が11.29億円(2.2倍)に増加し、税引利益で赤字転落となった。
25/3期半導体製造装置等の回復遅れ、1.7%増収、2.0%営利減に減額修正
25/3Q1の収益低迷を受け、25/3期会社予想を減額、売上高560億円(期初計画比20億円減額、1.7%増)、営利31億円(同12億円減額、2.0%減)、経常利益41億円(同8億円減額、9.4%減)、税引利益21億円(同10億円減額、21.5%減)予想と営業減益予想に転じた。
地域別では日本が 277億円(同5億円減額、1.8%減)と半導体関連の回復遅れで減収予想。海外は中国が73億円(同1億円増額、1.8%増)と堅調、一方で欧州は66億円(8億円減額、3.6%減)、中国除くアジアは55億円(同7億円減額、8.2%減)など停滞見通し。米国も89億円(同1億円減額、7.0%増)と増収予想ながら期初計画比では円安ながら減額予想に。
仕向先予想の開示はないが、半導体製造装置、電子部品実装機の受注回復が売上では下期から一部貢献、工作機械向けなどは底バイ見通しで、受注回復効果は下期以降にずれ込み、期初計画比では減額予想に。現状、受注の回復が継続する見通しで、受注増加効果が下期に寄与するものの、上期の減少を補えないと見られる。
利益面ではQ1に棚卸資産の評価減による原価高も、Q2以降は正常化する見通し。このため、下期に半導体関連の収益急回復で収益性が正常化、為替の円安効果がほぼ計画並みに推移する見通しとなってきたことから、今回の減額修正見通し並みの利益に止まろう。
中計2026策定し25/3期~27/3期平均で営利90億円目標達成はハードル高い
同社は新たに中計2026を策定、3カ年平均営業利益90億円目標、期間中に23/3期営利94.59億円超え達成を掲げ、ROE8.0%を目標とした。
現状、半導体生産の回復が想定よりも半期程度遅れ、また中国経済の不透明感が依然としてあるが、26/3期には半導体産業がAI中心に大きく拡大が見込まれる。同社は3月にベトナム新工場用の土地を取得、またメカトロユニットの拡大など、中計達成に向けた施策を実行中であり、売上拡大は順調に進もう。但し収益性については新興メーカーの台頭等も有り過去水準まで回復する状況にはないと判断、27/3期には営利最高益更新は可能も、3年合計での営利270億円超達成は今回の減額もあり、かなりハードルが高くなった。
株価は業績低迷を受けて下落、25/3期も上期まで減益予想となり類似企業のTHKと同様、冴えない状況が続いてきた。今回、THKが業績を上方修正(懐疑的)、同社が減額修正となり、一段安となった。現在25/3期会社修正予想EPS30.43円に対しPER15.6倍はプライム機械平均PER17.9倍に対し割安、THK14.4倍に対してはやや割高となった。PBRが0.44倍、配当利回り3.8%予想となり、悪材料を織込み下値不安は少なくなったと判断、受注増でBBレシオが10.7と23/3Q1以来の1超えとなっていることも有り、上期業績不振ながらややポジティブ継続としたい。
(H.Mirai)
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