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中国アンチモン輸出規制 価格は既に過去最高値 ガリウムや黒鉛、規制後の値動きさまざま

 中国商務省は8月15日、レアメタルの一種で半導体の材料となるアンチモンやその関連製品などを9月15日から輸出規制の対象にすると発表した。アンチモンの国際価格は既に過去最高値圏にあり、世界の生産量の半分近くを占める中国としては西側諸国に対する有効な対抗カードとなる。ただ、規制後の対象鉱物の値動きはさまざまで、反応はこれからだ。

 

■アンチモン価格、資源枯渇懸念で6月から高値

 

関連記事: 中国 アンチモンやその関連製品などを輸出規制対象に――9月15日から | MIRU (iru-miru.com)

 

 アンチモンの国際価格は7月25日に仲値$2万3250/tonと過去最高値を更新した。6月初旬に最高値を付けたが、その後も一段高となっている。理由は希少な鉱物であるゆえの資源枯渇懸念で、兵器に用いられることからから先行きの軍需需要も堅調と見た買いが入っていた。

 

過去3か月間のアンチモン価格の推移(99.65% China)($/ton)

 

過去20年間のアンチモン価格の推移(99.65% China)($/ton)

 

関連記事:アンチモン価格、最高値続く 鉱石枯渇の観測と軍需需要の期待で 戸惑う業界 | MIRU (iru-miru.com)

関連記事:アンチモン資源の現状分析と今後の展望 | MIRU (iru-miru.com)

 

■ガリウムは上昇一服、ゲルマニウムに供給懸念 黒鉛は下落

 折しも、8月は中国が一連の鉱物輸出規制の緒となったガリウムとゲルマニウムの輸出規制を始めてから丸1年になる。両鉱物に関しては同年7月初旬の発表以来、パニック的な先回り買いが見られたが、特にガリウムは代替品や調達元の開拓が進み、価格は高値圏ではあるものの落ち着いている。

 

過去3年間のガリウム価格の推移(EU Spot market)($/kg)

 

 一方、当初在庫が充足していたことから反応が鈍かったゲルマニウムは、特に2024年に入り供給ひっ迫感が出て価格が高騰している。市場でも「規制発表直後は在庫があったうえ、光ファイバーの需要が落ち気味だったこともあってガリウムのような狼狽的な先回り買いは入らなかったが、2024年に入り在庫消化が進んだ」(ハヤカワカンパニー副社長 西野義幸氏)との声が聞かれていた。

 

過去3年間の金属ゲルマニウムと酸化ゲルマニウム価格の推移(99.99% China)($/kg)

 

関連記事: 「中国産ゲルマニウム、しっかりした申請で輸入可能に」ハヤカワカンパニー西野副社長に聞く | MIRU (iru-miru.com)

 

 中国は2023年12月には電池材料のグラファイト(黒鉛)の輸出規制も実施した。ただ、黒鉛は日本政府がカナダなどとの供給提携を結ぶなど中国以外の生産元が多く、反応は限られた。規制対象となった球状黒鉛価格は一貫して値下がりしている。

 

過去1年間の球状黒鉛価格の推移(99.95% min 17un max in china)(RMB/ton)

 

■米国に採掘企業が存在、鉱石輸入経路がカギか

 アンチモンは軍用向け需要が大きいため、輸出規制はほかの鉱物よりもあからさまな政治面でのカードの意味が強い。それだけに、西側諸国も中国がアンチモンをカードに使ってくる可能性は早くから意識していたようだ。米国では既にアンチモンの採掘会社が政府の認可待ちとなっているが、中国の動きを受けて認可取得が早まるとの観測が出ている。

 一方、中国もアンチモン精鉱は輸入に頼っている。鉱石は多くをタイやミャンマー、ロシアなどから輸入しており、中国は加工品を輸出している。このため、原材料の輸入経路に変化があれば、輸出規制によるアンチモン価格への影響にとっても変数となるだろう。

 ただ、いずれにせよ、アンチモン自体は資源枯渇が危ぶまれる希少な鉱物だ。代替品の開発が進まない限り、価格の上昇基調は変わりにくいとみられる。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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