海外企業の6月期決算②中国企業、レアアースとリチウム惨敗、国内需要鈍く 決算一覧
海外企業の2024年6月期決算がほぼ出そろった。中国企業は8月30日までに多くが1-6月期決算を発表した。金や銅、アルミを手掛ける企業が増益を確保した半面、レアアースやリチウムは赤字転落や大幅減益が相次いだ。中国国内の金属需要縮小も響き、増益は確保できても減収となった企業も多い。
中国資源大手の2024年6月期決算概要
(注)名称は本文も含め通称。通貨単位は億。五鉱資源は米ドル、中国稀土は香港ドル、他は人民元。数字の端数は四捨五入。▲は赤字。
まずは業績が改善した企業を見ると、ベースメタルを主力とする企業は総じて堅調で、江西銅業や紫金鉱業などが増益を確保した。中国アルミ業はアルミナ価格の上昇を受け、販売量減少も2倍の増益。海外事業の多い五鉱資源は米ドル建て決済による為替差益計上も追い風になり黒字転換した。
一方、マイナーメタル系は総じてさえなかった。中でも傷が深いのがレアアースとリチウムで、中国稀土は規模が縮小したものの赤字が続き、北方稀土も大幅減益となった。リチウム2社はそろって赤字転落。コバルトは、コンゴの鉱山再開で生産が大きく伸びたチャイナ・モリブデンはともかく、華友コバルトは減収減益となった。何とか踏ん張ったのはアモイタングステン。生産効率の向上で減収増益を確保した。
中国経済は不動産を中心に低迷が続き、景気の見通しに不透明感が強い。8月31日発表の8月の製造業景況感指数(PMI)は49.1と4か月連続で好不況の境目である50を下回り、2月以来半年ぶりの低水準となった。秋以降の需要喚起が心もとない中、各社は厳しい対応を迫られそうだ。
中国PMIの推移
(出所:中国国家統計局)
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(IR Universe Kure)
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